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事件の真相と新しい命
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「やあ、久しぶりだね。ウィストン、少し痩せた?」
「そんなに経ってないだろう。気のせいだ」
「ふふ、相変わらずだね。まあ、いいや。今日はお客様をお連れしたよ。君が会いたいだろうと思ってね」
アンドレが、そう言うと後ろに控えていた二人が、変身術を解いた。
一人は、セドリック・クリーク
もう一人は、第一王子ルドルフ・エバンス
もう王太子と呼んだ方がいいか。俺の妹と結婚した。この王子には、既に二人の子供がいる。しかも側妃も現在懐妊中だ。
(可哀想に妹も苦労が多い)
ため息まじりにそう思った。ヴィオレットの結婚を望んでいたのは、俺だけではない。この王子もそうだった。だが、ヴィオレットには、子供の頃、毒によって味覚を奪われた。
王家に入宮する者は、身体に傷や異常無いことが決まりだ。嘘の申告をすれば、国家反逆罪に問われる。
「変身術まで使って王宮を抜けて来るとは、余程の理由があるのか」
俺は、鬱憤を晴らす様に言った。
「ああ、お前達のこれからの事を話すためだ」
セドリックが言った。
「ヴィオレットのことだ」
ルドルフが続いた。
「彼女の事は、耳に入っている。妊娠しているそうだな」
「ああ、今2ヶ月程だ。だから確認したい。お前の子か?」
「ヴィオレットは、なんと言っている」
「彼女は、答えない。いや正確には、答えられないんだ」
「どういうことだ」
「それについては、僕の方で調べたよ。ウィストン、間違いなく君の子だよ。夏に休暇を取ったよね。その時、君、彼女に、手を出した。僕の配下に確認したんだけど違う?」
アンドレが待ちきれないとばかりに割って入った。
「お、ウィストンお前、よくも…」
それを聞いて、セドリックに殴り飛ばされそうになった。隣にいたルドルフに止められて、思い止まった。
「なら、何故言えない。婚約者の子だぞ。問題ないだろう?」
「それ、本気で言ってるの?その脳筋どうにかしなよ」
イライラした様子でアンドレが言った。
「喧嘩を売りにきたのなら帰れ!俺は機嫌が悪い」
「止めろ、アンドレ、茶化すな!」
静止したのは、ルドルフだった。
「すまない、まだ状況がわかっていないお前に、きちんと説明する必要がある」
「事件の報告と今後の対策をしに来た」
セドリックが補足した。
「一つ、ルドルフに確認したい。俺を狙ったのは、王家の意思か?」
「それは、半分は合ってる。だが、王や私は関与していない」
「なら、いい。どうせ俺を邪魔に思う奴等の仕業だろう」
俺は、ルドルフに目をやり、彼の表情を見て安堵した。嘘はついていない様だ。
ルドルフは、王族なのに嘘をつくのが下手だった。嘘をつくと目を反らす癖がある。いまは、それが無かった。
友人を疑わなくてはならないこの状況に俺は、苛立ちと貴族である虚しさを感じていた。
「そんなに経ってないだろう。気のせいだ」
「ふふ、相変わらずだね。まあ、いいや。今日はお客様をお連れしたよ。君が会いたいだろうと思ってね」
アンドレが、そう言うと後ろに控えていた二人が、変身術を解いた。
一人は、セドリック・クリーク
もう一人は、第一王子ルドルフ・エバンス
もう王太子と呼んだ方がいいか。俺の妹と結婚した。この王子には、既に二人の子供がいる。しかも側妃も現在懐妊中だ。
(可哀想に妹も苦労が多い)
ため息まじりにそう思った。ヴィオレットの結婚を望んでいたのは、俺だけではない。この王子もそうだった。だが、ヴィオレットには、子供の頃、毒によって味覚を奪われた。
王家に入宮する者は、身体に傷や異常無いことが決まりだ。嘘の申告をすれば、国家反逆罪に問われる。
「変身術まで使って王宮を抜けて来るとは、余程の理由があるのか」
俺は、鬱憤を晴らす様に言った。
「ああ、お前達のこれからの事を話すためだ」
セドリックが言った。
「ヴィオレットのことだ」
ルドルフが続いた。
「彼女の事は、耳に入っている。妊娠しているそうだな」
「ああ、今2ヶ月程だ。だから確認したい。お前の子か?」
「ヴィオレットは、なんと言っている」
「彼女は、答えない。いや正確には、答えられないんだ」
「どういうことだ」
「それについては、僕の方で調べたよ。ウィストン、間違いなく君の子だよ。夏に休暇を取ったよね。その時、君、彼女に、手を出した。僕の配下に確認したんだけど違う?」
アンドレが待ちきれないとばかりに割って入った。
「お、ウィストンお前、よくも…」
それを聞いて、セドリックに殴り飛ばされそうになった。隣にいたルドルフに止められて、思い止まった。
「なら、何故言えない。婚約者の子だぞ。問題ないだろう?」
「それ、本気で言ってるの?その脳筋どうにかしなよ」
イライラした様子でアンドレが言った。
「喧嘩を売りにきたのなら帰れ!俺は機嫌が悪い」
「止めろ、アンドレ、茶化すな!」
静止したのは、ルドルフだった。
「すまない、まだ状況がわかっていないお前に、きちんと説明する必要がある」
「事件の報告と今後の対策をしに来た」
セドリックが補足した。
「一つ、ルドルフに確認したい。俺を狙ったのは、王家の意思か?」
「それは、半分は合ってる。だが、王や私は関与していない」
「なら、いい。どうせ俺を邪魔に思う奴等の仕業だろう」
俺は、ルドルフに目をやり、彼の表情を見て安堵した。嘘はついていない様だ。
ルドルフは、王族なのに嘘をつくのが下手だった。嘘をつくと目を反らす癖がある。いまは、それが無かった。
友人を疑わなくてはならないこの状況に俺は、苛立ちと貴族である虚しさを感じていた。
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