【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

文字の大きさ
25 / 61

事件の真相と新しい命

しおりを挟む
 「やあ、久しぶりだね。ウィストン、少し痩せた?」

 「そんなに経ってないだろう。気のせいだ」

 「ふふ、相変わらずだね。まあ、いいや。今日はお客様をお連れしたよ。君が会いたいだろうと思ってね」

 アンドレが、そう言うと後ろに控えていた二人が、変身術を解いた。

 一人は、セドリック・クリーク

 もう一人は、第一王子ルドルフ・エバンス

 もう王太子と呼んだ方がいいか。俺の妹と結婚した。この王子には、既に二人の子供がいる。しかも側妃も現在懐妊中だ。

 (可哀想に妹も苦労が多い)

 ため息まじりにそう思った。ヴィオレットの結婚を望んでいたのは、俺だけではない。この王子もそうだった。だが、ヴィオレットには、子供の頃、毒によって味覚を奪われた。

 王家に入宮する者は、身体に傷や異常無いことが決まりだ。嘘の申告をすれば、国家反逆罪に問われる。

 「変身術まで使って王宮を抜けて来るとは、余程の理由があるのか」

 俺は、鬱憤を晴らす様に言った。

 「ああ、お前達のこれからの事を話すためだ」

 セドリックが言った。

 「ヴィオレットのことだ」

 ルドルフが続いた。

 「彼女の事は、耳に入っている。妊娠しているそうだな」

 「ああ、今2ヶ月程だ。だから確認したい。お前の子か?」

 「ヴィオレットは、なんと言っている」

 「彼女は、答えない。いや正確には、答えられないんだ」

 「どういうことだ」

 「それについては、僕の方で調べたよ。ウィストン、間違いなく君の子だよ。夏に休暇を取ったよね。その時、君、彼女に、手を出した。僕の配下に確認したんだけど違う?」

 アンドレが待ちきれないとばかりに割って入った。

 「お、ウィストンお前、よくも…」

 それを聞いて、セドリックに殴り飛ばされそうになった。隣にいたルドルフに止められて、思い止まった。

 「なら、何故言えない。婚約者の子だぞ。問題ないだろう?」

 「それ、本気で言ってるの?その脳筋どうにかしなよ」

 イライラした様子でアンドレが言った。

 「喧嘩を売りにきたのなら帰れ!俺は機嫌が悪い」

 「止めろ、アンドレ、茶化すな!」

 静止したのは、ルドルフだった。

 「すまない、まだ状況がわかっていないお前に、きちんと説明する必要がある」

 「事件の報告と今後の対策をしに来た」

 セドリックが補足した。
 
 「一つ、ルドルフに確認したい。俺を狙ったのは、王家の意思か?」

 「それは、半分は合ってる。だが、王や私は関与していない」

 「なら、いい。どうせ俺を邪魔に思う奴等の仕業だろう」

 俺は、ルドルフに目をやり、彼の表情を見て安堵した。嘘はついていない様だ。

 ルドルフは、王族なのに嘘をつくのが下手だった。嘘をつくと目を反らす癖がある。いまは、それが無かった。

 友人を疑わなくてはならないこの状況に俺は、苛立ちと貴族である虚しさを感じていた。
 
 

 
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

女性執事は公爵に一夜の思い出を希う

石里 唯
恋愛
ある日の深夜、フォンド公爵家で女性でありながら執事を務めるアマリーは、涙を堪えながら10年以上暮らした屋敷から出ていこうとしていた。 けれども、たどり着いた出口には立ち塞がるように佇む人影があった。 それは、アマリーが逃げ出したかった相手、フォンド公爵リチャードその人だった。 本編4話、結婚式編10話です。

聖女でしたが国に使い捨てされたので、代わりに魔王にざまぁしてもらいました。

柿崎まつる
恋愛
癒しの聖女として国に仕えるエルヴィーラ。死ぬまで搾取された彼女が次に目を覚ましたのは敵であるはずの魔王の居城だった。ドアマット聖女が超絶美形の魔王に溺愛されて幸せになる話。気持ちちょろっとグロあります。苦手な方は閲覧にご注意ください。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。 夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。 気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……? 「こんな本性どこに隠してたんだか」 「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」 さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。 +ムーンライトノベルズにも掲載しております。

【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。 突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。 悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。

【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~

世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。 ──え……この方、誰? 相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。 けれど私は、自分の名前すら思い出せない。 訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。 「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」 ……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!? しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。 もしかして、そのせいで私は命を狙われている? 公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。 全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね! ※本作品はR18表現があります、ご注意ください。

【完結】妻至上主義

Ringo
恋愛
歴史ある公爵家嫡男と侯爵家長女の婚約が結ばれたのは、長女が生まれたその日だった。 この物語はそんな2人が結婚するまでのお話であり、そこに行き着くまでのすったもんだのラブストーリーです。 本編11話+番外編数話 [作者よりご挨拶] 未完作品のプロットが諸事情で消滅するという事態に陥っております。 現在、自身で読み返して記憶を辿りながら再度新しくプロットを組み立て中。 お気に入り登録やしおりを挟んでくださっている方には申し訳ありませんが、必ず完結させますのでもう暫くお待ち頂ければと思います。 (╥﹏╥) お詫びとして、短編をお楽しみいただければ幸いです。

【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精

紬あおい
恋愛
初恋は心に秘めたまま叶わず、結婚した人まで妹を愛していた。 誰にも愛されないと悟った私の心の拠りどころは、公爵邸の敷地の片隅にある小さな隠れ家だった。 普段は次期公爵の妻として、隠れ家で過ごす時は一人の人間として。 心のバランスを保つ為に必要だった。 唯一の友達だった妖精が、全てを明かした時、未来が開ける。

【完結】21距離をおきたいと言れたので、隣国に逃げたけど、、、

華蓮
恋愛
距離をおきたいと婚約者であるレイト王子から告げられ、その横には、妹がいた。 私のもの全てを奪っていった妹。もう、嫌になり、隣国に渡ったアオイ。

処理中です...