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教会への慰問
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昨夜の異様な行動を払拭する為、俺はジョゼフィーネとダンドーラ侯爵とクリーク公爵を教会へ案内した。
「実は今回、こちらにお呼び立てしたのは、ある人に会って欲しいのです」
「何故?我々を…」
クリーク公爵とダンドーラ侯爵は、顔を見合せて、首を傾げた。
「教会で孤児の世話をしている人なのですが、ダンドーラ侯爵に一度会って話さなければならない事があると、頼まれました」
「私とか、一体どういう人なんだ」
「ダンドーラ侯爵の母君の縁のある方だと伺っております」
「わかった。訪ねよう」
朝食をとった後、乗馬がてらに訪ねる事になった。
教会に着くと孤児の赤毛の女の子がシスターを呼びに行った。
中から老齢のシスターが出てきて、ダンドーラ侯爵を見て涙ぐんだ。
そして、彼女から自分の祖母や母の死の真相を聞き、両手で顔を塞ぎ声を殺して泣いていた。
そんな父を憐れに思ったのかジョゼフィーネは、彼を抱え込む様に抱き締めていた。
彼が暫く落ち着くのを待って、俺は
「落ち着かれましたか。義父上」
「ああ、まさか誰も知らない真実があるなんて…」
「俺も聞かされる迄、貴方方と同じ誤解をしていました」
「だが、まだ信じられない」
「では、義父上。本人に聞いて見たらいかがです?あちらもジョゼフィーネに会いたがっていますよ。なんといっても肉親ですからね」
俺がそう言うと、クリーク公爵が
「簡単に会える相手ではない。無理だ」
俺は少し意地の悪い言い方をした。
「俺の隠し玉は、まだありますよ」
その言葉にクリーク公爵は、驚きの表情を見せた。
ダンドーラ侯爵とジョゼフィーネは、訳がわからないといった表情を見せた。
「取り敢えず、あちらの建物に行きましょう」
シスターに「又、来ます」と言い、離れた小屋迄歩いて行った。
「こんな所に何があるんだ?」
怪訝な顔をした三人に中に入る様に促した。
扉を開けると、広々とした空間で外見は粗末な一階建ての建物だったのに、中は上まで螺旋状の階段が上まで続いていた。その階段には、幾つもの扉があり、迂闊に開けない様に注意した。
「言っておきますが、無闇矢鱈に開けると何処に飛ばされるかわかりませんからね」
そう釘を差し、二階の扉を開けると、品の良い貴族の庭園の様な場所に出た。
「これは一体…」
全員が呆然と立っていると、庭の真ん中程にガゼボがあり、そこに女性が一人座って優雅にお茶を楽しんでいた。
近づいてみると高齢な女性は鋭い目と威圧で
「小僧、妾をこんな使い魔で呼び出すとは、何用じゃ」
開口一番に叱責された。
「別にいいでしょう。婆さんの望み通り、二人を連れて来ましたよ。ここなら誰にも知られずに会えるでしょう」
俺は、悪びれた仕草で話しかけると、クリーク公爵が真っ青な顔で、臣下の礼をとり、膝ま付いた。
「よい、ここには人払いをしている。妾とそなた達だけだ。堅苦しい挨拶は抜きにせよ」
(いきなり突撃するなー、心の準備があるだろう)
クリーク公爵とダンドーラ侯爵は、冷や汗をかきながら、こんな事を思っていたに違いない。
一方、ジョゼフィーネは、手招きされた方へ近寄り、横に座るように指示された。
「あの、貴女はどなたなのですか?」
「ああ、妾はそなたの曾祖母じゃ。大きくなったな」
目を細めてまるで愛しい者を見るように、ジョゼフィーネの頭を撫でていた。
彼女こそ『ビクトリア女王』と呼ばれるその人だった。
(一体、エル様とは、どういう繋がりがあるのでしょう?)
ジョゼフィーネは、ふとそんな風に思った。
「実は今回、こちらにお呼び立てしたのは、ある人に会って欲しいのです」
「何故?我々を…」
クリーク公爵とダンドーラ侯爵は、顔を見合せて、首を傾げた。
「教会で孤児の世話をしている人なのですが、ダンドーラ侯爵に一度会って話さなければならない事があると、頼まれました」
「私とか、一体どういう人なんだ」
「ダンドーラ侯爵の母君の縁のある方だと伺っております」
「わかった。訪ねよう」
朝食をとった後、乗馬がてらに訪ねる事になった。
教会に着くと孤児の赤毛の女の子がシスターを呼びに行った。
中から老齢のシスターが出てきて、ダンドーラ侯爵を見て涙ぐんだ。
そして、彼女から自分の祖母や母の死の真相を聞き、両手で顔を塞ぎ声を殺して泣いていた。
そんな父を憐れに思ったのかジョゼフィーネは、彼を抱え込む様に抱き締めていた。
彼が暫く落ち着くのを待って、俺は
「落ち着かれましたか。義父上」
「ああ、まさか誰も知らない真実があるなんて…」
「俺も聞かされる迄、貴方方と同じ誤解をしていました」
「だが、まだ信じられない」
「では、義父上。本人に聞いて見たらいかがです?あちらもジョゼフィーネに会いたがっていますよ。なんといっても肉親ですからね」
俺がそう言うと、クリーク公爵が
「簡単に会える相手ではない。無理だ」
俺は少し意地の悪い言い方をした。
「俺の隠し玉は、まだありますよ」
その言葉にクリーク公爵は、驚きの表情を見せた。
ダンドーラ侯爵とジョゼフィーネは、訳がわからないといった表情を見せた。
「取り敢えず、あちらの建物に行きましょう」
シスターに「又、来ます」と言い、離れた小屋迄歩いて行った。
「こんな所に何があるんだ?」
怪訝な顔をした三人に中に入る様に促した。
扉を開けると、広々とした空間で外見は粗末な一階建ての建物だったのに、中は上まで螺旋状の階段が上まで続いていた。その階段には、幾つもの扉があり、迂闊に開けない様に注意した。
「言っておきますが、無闇矢鱈に開けると何処に飛ばされるかわかりませんからね」
そう釘を差し、二階の扉を開けると、品の良い貴族の庭園の様な場所に出た。
「これは一体…」
全員が呆然と立っていると、庭の真ん中程にガゼボがあり、そこに女性が一人座って優雅にお茶を楽しんでいた。
近づいてみると高齢な女性は鋭い目と威圧で
「小僧、妾をこんな使い魔で呼び出すとは、何用じゃ」
開口一番に叱責された。
「別にいいでしょう。婆さんの望み通り、二人を連れて来ましたよ。ここなら誰にも知られずに会えるでしょう」
俺は、悪びれた仕草で話しかけると、クリーク公爵が真っ青な顔で、臣下の礼をとり、膝ま付いた。
「よい、ここには人払いをしている。妾とそなた達だけだ。堅苦しい挨拶は抜きにせよ」
(いきなり突撃するなー、心の準備があるだろう)
クリーク公爵とダンドーラ侯爵は、冷や汗をかきながら、こんな事を思っていたに違いない。
一方、ジョゼフィーネは、手招きされた方へ近寄り、横に座るように指示された。
「あの、貴女はどなたなのですか?」
「ああ、妾はそなたの曾祖母じゃ。大きくなったな」
目を細めてまるで愛しい者を見るように、ジョゼフィーネの頭を撫でていた。
彼女こそ『ビクトリア女王』と呼ばれるその人だった。
(一体、エル様とは、どういう繋がりがあるのでしょう?)
ジョゼフィーネは、ふとそんな風に思った。
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