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第三部

36※ 有×夏義

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 夏に連れてこられたのはバスケ部の部室だった。壁には四季坂学園高等学校という名前の旗や、応援の旗が掲げられ、棚にはトロフィーや盾も飾られている。右側にはロッカー、左側にはミーティング用のスペースや筋トレ用の機材が置かれている。漫画で見ていた部室の4倍くらいの大きさがありそうだ。

「初めて入ったな」
「鍵持ってんのは俺以外にも一人いるが、そいつは滅多に来ねぇから安心しろ」
「そういうのはフラグと言うのだぞ。まぁ、そいつが来たら3Pに切り替えれば良い」
「……お前が良くても俺が嫌なんだよ」

 夏は内鍵をかけると大きいロッカーからロール状に纏められた青いマットを取り出した。マッサージやストレッチに使うためのものらしい。夏は黙々と空いているスペースにマットを敷く。広々とした空間にポツンと置かれたマットが何だか寂しい。そして俺達はその上でセックスをするのかと思うとじわじわ笑えてきた。

「夏、脱がせてくれ」
「あぁ」
「そして終わったら着せてくれ、一人で服を着るのは苦手だ」
「……お前、変な口調とエロさで忘れそうになるけど、妙に箱入りだよな」

 いつもだったら秋名が助けてくれるのだが、生憎秋名はいないのだから仕方ない。
 夏は俺のネクタイを引き抜くと、シャツのボタンを一瞬で外してしまう。俺も夏の服を脱がそうとするが、ボタン一つ外すのにも手こずっていた。

「おい、有。何だよ。着たまましたいのか?」
「違う。上手く外れんのだ」
「あとはパンツだけだぜ? 有だけ裸でヤんのもいいな。ほら、早くしねーと全部剥かれるぞ?」

 俺が抱くと言ったのに、夏は俺が不器用なのを弄り始めた。余裕のある笑みを向ける夏は小生意気で可愛らしいが、煽られると何だか負けたくなくなってしまう。夏は俺の下着に指を引っ掛け、わざとゆっくり引き下ろす。

「全部見えてるぜ、有」
「……夏、調子にのるのも可愛いが、あまりに馬鹿にされると俺も黙ってないぞ」
「へぇ~?」
「……」

 そいつは楽しみだな、と夏の指がパンツから離れる。全裸になった俺を襲おうと、夏がマットに俺を押し倒した。首筋に夏の唇が触れ、俺の手を押さえつけようと一括りにする。

「夏、キスしてくれ」
「何だ? 観念したか?」

 夏は俺が抱かれる気になったと思ったのだろう。にやにやしながら俺の唇を塞いだ。夏の大きな舌が俺の唇を舐め、咥内に入り込む。柔らかい頬の内側や敏感な上顎を撫でながら、深く口付け合った。ゴクリ、と夏の喉が動いたのを確認し、俺は快感増幅をかける。

「っはぁ、あっ!」

 夏は唇を離すと、苦しそうに顔を歪めた。最高の快楽も、過ぎれば苦痛に変わってしまう。服が身体を擦るだけでも辛いのだろう。喘ぎながら慌てて服を脱ぎ始めた。
 初めてセックスした時と同じ状態になっている夏に俺はくつくつ喉を震わせて笑う。学習しないな夏。

「くっそっ、何でまたっ!!」
「俺とのキスでそれほど興奮してくれたのか? 夏、嬉しいぞ」

 夏はマットに横たわって小刻みに呼吸を繰り返していた。真っ赤になった身体に俺は指を伸ばす。引き締まった腹を突くだけで夏は過敏に反応し、胸を弄ると目を開いて身悶えていた。

「夏は本当に感じやすいな」
「ち、げぇっ! んぁあっ!?」

 俺が胸の先端を摘んで捻ると夏は甲高い声を上げ、目尻から涙を零す。夏が感じやすいのではなく、俺の魔法のせいだとわかっているのだが、夏が否定するのが可愛くて仕方ない。つい虐めてしまう。

「有っ、くそっ! っはぁ、ぁっ!?」

 胸の先端を虐めるたび、夏の身体は大げさなほどビクビク跳ねる。下着を取り払った下肢、その中心では、既に性器が先走りを零して猛っていた。少し撫でただけで、性器はビュクッと精液を吐き出す。

「なんだ夏、随分早いな。俺は少し『よしよし』しただけだぞ」
「ぁああっ、ぁっ! ぁあっ!」
「あぁん、聞いてくれないと言葉責めの意味がないではないか!」

 俺は口を開けたまま射精の余韻に浸る夏の尻に指を差し込む。案の定、中は快感増幅の効果で濡れ始めていた。

 俺の魔法で雌にされた夏は全身を真っ赤に染めて身悶えており、俺が指を抜き挿しするだけで性器が再び擡げている。しかしずっと喘いでいるままでは何だかつまらない。最初はそれでも良かったが、俺は夏が羞恥に塗れる様が見たかった。そのためには快感増幅がちと邪魔だ。少しずつ取り去っていく。

「夏、声が高くて可愛いな」
「えッ!? ぁっ! ッッ!!」

 声が女の子のようだと指摘すれば、バスケットボールを片手で掴めるという大きな掌で必死に唇を押さえていた。羞恥を取り戻せるくらいには意識が戻ったようだ。
 俺の服を脱がせた時の夏のような笑みを浮かべて見せるとギロリと睨まれる。しかし真っ赤な顔で睨まれても逆効果だ。狙ってやっているとすれば、煽るのが上手すぎる。

「夏の中はすごいな。俺のためにこんなに拡がってくれる、熱くて、濡れて、女と変わらない。いや、女よりも何倍も良いな。すまない」
「ッ――!! ッッ、ッ!!!」

 夏は掌の中から何やら騒いでいる。多分『んなわけねぇだろう! 抜け!』みたいなことを言っているのだろう。掌で抑えたままなのは、口を開けば喘ぎしか上げられぬからだ。

「わかったわかった。今挿入いれてやるから」
「ッッ!? ッッ――――!!!!!」

 夏が強請ってくるので俺は思いきり奥まで性器を突き立てる。夏はあまりの衝撃に俺の腕を掴んで背を反らし、目を見開いていた。

「あ、るっ!!! んぁあ!! 待てっ!! 有!!!!!」

 熱い夏の身体を押さえ込んで腰を動かすと、夏が俺の下でじたばたと藻掻く。最初の余裕に満ちた顔はもうない。涙がボロボロと溢れる夏の顔は、無様で、何とも可愛らしい。可愛すぎて腰が止まらない。夏の身体も俺の性器を包み込んでぎゅうぎゅうと締め付ける。もっとしてくれと言われているようだ。

「夏、沢山動いてやろう」
「ひっ! ぁ、あああっ!!」

 俺が腰の動きを速めると、夏は悲鳴のような声をあげる。身体を密着させ、性器を俺の腹で押しつぶしてやると温かいものがじわりと腹に広がった。夏が射精したのだろう。

「そういえば、夏は射精せずにイッたことはなかったな?」
「イけ、るわけねぇだろ!」

 夏は俺に出会うまではタチ専門だったらしいし、ドライなんて体験していないだろう。プライドの高い夏がもしドライでイかされたらどうなるか。想像するだけでも面白い。

「ちょっと、試してみよう。夏が雌になれるかどうか」
「は!? おい、有っ!? うご、くなっ!! くそっ!!! ケツだけなんてできねぇからやめろ!!」
「やってみなければわからんぞ?」

 俺は夏の性器の根本をぎゅっと掴むと再び腰を振り始める。深い場所ではなく、浅い場所を臍に向かって突き上げた。

「あぁっ、く、そっ!! だめ、駄目だっ! やめろっ!! やめてくれっ!! 止まれ、有っ!!」
「可愛いっ、夏、とても可愛いぞ!」
「でき、ねぇっ! できねぇからっ!!」

 夏は尻だけで射精するのが嫌のようで、歯を食いしばって耐えているが、亀頭が真っ赤になっている。我慢しなくて良いのだぞ、と俺は夏の尻を性器でかき回す。何度も執拗に前立腺を押し上げれば、夏の足先がマットではなく床を踏ん張っていた。あぁ、夏それでは……

「逆効果だぞ、夏」
「だめ、だっ! 有っ! くっ、ぅ――――ッッ!!」

 ガクガクッ、と夏の身体が震えるが俺に根本を握られた性器は射精できず真っ赤になったままだ。雌イキしたのだとわかったが、俺はあえて腰を動かし続ける。

「ひっ! ぁあああっ!!! 有っ!!! やめろッ!!」
「大丈夫。まだイッてないだろう? 射精してないではないか」
「ちがっ! ちげぇ!! 俺、イッて、んだよ!!! 止まれ!!!!」
「まさか、殆どネコをしたことがない夏が、ドライで……雌イキなどできないのであろう?」
「!?」

 夏はプライドが邪魔しているのか、何も言えずに口をパクパクさせていた。尻だけでイッたと素直に認めるか、苦しいくらいの快楽に身悶えるか、夏は涙を流しながら後者を選んだ。

「夏っ! あぁっ! 可愛いっ!!」
「く、そっ! ぁあっ! うっ!!! ぁ、ああああっ――――!!」

 俺が手を離すと、夏の性器から白濁が溢れる。きつく締め上げられるとゾクゾクするような快感が身体を駆け巡り、俺は夏の中に射精する。足りないとひっくり返して後ろから覆いかぶさると、勘弁してくれ、という泣き言が聞こえた気がした。





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