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第三部
42※ 有+夏(奉仕)
しおりを挟む「なんだこの壊滅的な回答。しかもこれ中学の範囲じゃねぇか」
自習スペースに戻り、早速キスの一つでもぶちかましてやろうと思ったが、夏は机に出されたままの俺のテキストを見て固まってしまった。
そんなものより俺と二人きりの個室だぞとアピールするため、カーディガンの袖を可愛こぶって引っ張ってみたが、夏は無視して席に座り、俺のテキストをパラパラと捲って顔を顰めた。
机に転がっていたシャーペンを握り、ここも違う、ここもおかしい、と回答を見ていないのにスラスラと答えを修正している。
「夏はすごいな」
「ある意味お前がすげぇよ。こんな珍回答見たこともねぇ」
「夏には答えがわかるのか?」
「この程度ならな」
「む……」
聞けば、夏はなんと学年三位という実力者だった。なんだ。俺のまわりは頭が良い面子ばかりではないか。ならば俺の勉強する意味は殆どないな。できることはできるものがすればよいのだから。
ちなみに学年首席は春樹、次席は汐だそうだが、この順位は時たま入れ替わるらしい。雲の上の話だな。見えないので興味がない。
「そんなことより夏……」
「そんなことじゃねぇだろ……」
「それはできる人間がやればいいではないか……」
「いや、さすがにこれはひでぇ……」
夏もドン引くほどの俺の頭脳は酷いのか。何だか急にまずい気がして、俺も夏の隣に腰を下ろした。
「答えがわかるならどうにかしてくれ。このままでは秋名にスパンキング100回の刑にされてしまう」
「尻百叩きをエロく言ってる場合じゃねぇだろ」
しかたねぇな、と今度は夏が俺の先生になった。夏せんせぇ、と甘えてみたが夏は俺の誘惑よりもテキストの回答のほうが衝撃らしく全く相手にされなかった。解せぬ。
「有、お前多分ミスりたくなさすぎて混乱してんだよ。数こなせ」
「し、しかし沢山あっても進まんぞ……それにミスしたら秋名達に叱られるのだ……」
「有の場合、勉強の仕方があってねぇんだよ。失敗したらペナルティがあるって思うから駄目なんだろ」
間違えてはいけないと思うから進まないのだ、という夏の言葉に俺は頷く。思い当たる節しかない。
「100点取ったらご褒美ってのはどうだ?」
「ご褒美?」
「今からこれ全部解いて8割正解だったら、この場で舐めてやるよ」
「!?」
こ、この場で!?
自習室は最初こそ鍵が必要だが、一度開けたら閉めるまで誰でも扉を開けることができる。こんないつ誰が入ってくるやもしれない場所でそんなご褒美が……。
「は、春樹達がくるかも知れんぞ?」
「関係ねぇよ。あいつの目の前で舐めてやる」
「~~~!!」
春樹の目の前で夏に舐めてもらうなんて最高すぎる。俺は嫉妬するのはあまり好きじゃないが嫉妬されるのは好きだ。ちょっと荒っぽく抱いて欲しい。想像するだけで体が熱くなってしまった。
「やるか?」
「やる!」
大きく頷いてテキストに取り掛かる。終わったらテキストに付属された復習問題を解き、それが8割正解したらご褒美だ。
俺はうきうきしながら勉強を進める。こういう勉強方法なら楽しくやれそうだ!
+++
それから一時間ほどで勉強を終わらせ、復習問題を解く。何と8割どころか9割も正解することができた。煩悩の勝利である。
「本当にとりやがったな」
「ふふん。辞典さえあればな! 随筆も怖くないぞ!」
清少納言、吉田兼好とも、今なら仲良くセックスできる気がする。
しかしこんな良い成績を出したというのに、夏は俺の復習問題を見ながら呆れていた。ご褒美という人参のおかげですっかりやる気が漲っているのに失礼なことだ。
「夏ぅ」
「わかってる。おら、椅子引け」
夏の腕を引っ張ってご褒美を催促すると、夏は椅子から立ち上がって机の下にもぐる。俺のベルトをはずし、ズボンを下ろした。
「足開けよ」
下着も取り払われ、俺は夏に言われたとおり足を開く。椅子を引き、浅く座ると夏が俺の性器に指をかけた。ほんの少し触られただけでも夏の指や唇を待ちわびた俺の性器は芯を持ち始めている。
「ん、っふぅ……」
夏の熱い舌が亀頭に絡む。ゾクゾクと腰に快感が疼き俺は口を押さえた。気持ちよくてあられもない声をあげてしまいそうだが、そんな声を出したらさすがに人が集まってしまう。見られるくらいなら全然構わないが、途中で止められては面白くない。何より、前に夏がしてくれて俺は大変興奮したのだ。
「随分可愛いことしてんな」
夏は声を我慢しようとしている俺が気に入ったらしく、わざと性器に息を吹きかけたりして遊んでいる。俺が眉間に皺を寄せて身体を跳ねさせると、夏は目を細めてニタリと笑った。高校生なのに、やたらと色気のある男だ。もっとそういう顔で俺を見て欲しい。見られるだけで、勃起してしまう。
「ん、っ……ひ、っ!」
俺が震えながら声を我慢していると、夏は煽るように奥まで俺の性器を銜え込んだ。温かい口の中に性器が収まると体中が帯電しているようにビリビリする。気持ちよさに腰が揺れそうだ。
「ッ、んぅ……っはぁ、ぁ」
快楽に意識を取られると、疎かになった手の隙間から声がこぼれてしまう。
太腿に力がこもり、開いた足を閉じそうになるが、夏の手で無理矢理足を広げられて閉じられない。あられもなく足を開かされ、抗えない状況に興奮してしまう。
「ひっ……っあ、ぁっ」
夏の頭が動き始め、温かい粘膜が性器を撫でる。未だ春樹達の気配はない。早く来て見て欲しい。夏にこんなに気持ちよくしてもらっている俺を。想像するだけで、興奮して尻の奥がキュンキュンと疼いた。
「っはぁ、はえぇな、ガチガチじゃねぇかよ」
「なつぅ、ダメだ、この場所、興奮してっ」
「お前ど淫乱だからな。おら、もっと咥えてやるからさっさとイけよ」
「ひぅっ!」
再び夏に咥えられると俺は前のめりになって射精するのを堪えた。この気持の良い時間にずっと留まっていたい。
しかし夏は早く射精しろとばかりにジュルジュルと唾液を絡めながら性器を吸う。亀頭が夏の上顎や喉に触れると、耐えきれず腰が揺れ、口の端から涎が垂れた。
「ん、んんぅ……ぁっ、で、るっ……!」
背中をせり上がる快感に咽喉を反らす。
夏がきつく俺の性器を吸い上げながら頭を前後に動かす。聞こえる水音、絡む熱い舌、足を開かせる手が太腿の肉を揉む。俺は机を掴んで歯を噛みしめるが、腰が夏の頭の動きに合わせて勝手に動いてしまう。
「ぅあっ、あっ、ぁああっ! ひ、ッ! ッッ――――!!」
夏の舌が陰茎の裏筋を押し上げる。頭の先へと押し出されていくような快感に耐えきれず俺は夏の口の中に欲望を吐き出す。動きの止まった夏の頭に手をまわし、最後の一滴まで吐き出すと、夏がゴクリと喉を鳴らす音が聞こえた。
「っはぁ、満足かよ?」
「ぁ、んぁ……」
最高に気持ち良かったし、もっとしたい。不満があるとすれば春樹達が俺の射精に間に合わなかったことくらいだ。俺は机から顔を出した夏の首に手を回し、その唇を貪る。俺の精液がまだ残る夏の唇は苦く、ツンと鼻を刺すような青臭い匂いがした。
「んんっ、夏ぅ」
「ん、有、次勉強しろっ……」
「ぁ、触ってくれ……足りんっ」
「そうしてやりてぇが、右大臣をみぎだいじんって書くやつにはまず勉強が必要だろ」
甘やかしてくれるかと思ったのに、夏はご褒美が欲しければ勉強をしろと俺の前にテキストを置く。何だか乗り気にならないな~と夏をちら見したら、夏は新しいご褒美を出してくれるという。
「何が良いんだ?」
「夏に目隠しして乳首開発がしたいな」
「却下。後ろガンガン指で犯してやるから我慢しろ」
「ちんこは入れないのか?」
「それ見つかったらさすがに出禁になんだろ」
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馬鹿と言われても、事実なので『確かに』としか言えない。そして教師に見つかるのはいいのだろうか。
「そんなことよりさっさと次の問題やれよ」
「うむ。ご褒美が貰えるならやろう」
まだまだご褒美を貰えるようなので、俺は真摯に勉強に取り組むことにした。こういう時の俺は素直だ。
そしてその結果、何と俺はノルマの倍の量のテキストを終わらせることができた。えっちなご褒美の威力は凄まじい。後からやって来た秋名達にテキストや復習問題を見せると褒められるどころか熱を測られたが、俺は至って健全健康である。
夏が教えてくれたこのご褒美勉強法は俺に効果覿面であったため、俺はイウディネ、春樹、秋名にもご褒美をくれる方法に切り替えてもらった。まだまだ危ういというのが秋名達の厳しい意見ではあるが、この勉強方法のおかげで俺はようやく中学生を終え、高校生になることができたのである。
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