剣と魔法と愛と

御夢

文字の大きさ
上 下
11 / 38
出会い

俺、殿下を

しおりを挟む
 「ち、ちょっと待ってください!俺なんかが皇太子殿下の婚約者なんて務まりません!」

 こんなキラキラした人の婚約者なんて無理だよ。友達ってだけでダメなのに。

 「うん?そんなことないよ。皇太子妃の教育等は、今からでも十分できるし、何より、アカネは可愛いから大丈夫。」

 か、かわいいって。悪いけど殿下の目は腐ってる?腐ってるよね。絶対。そうじゃないと、こんな平凡な男を可愛いって言ったり、好きだなんておかしいもの。

 色々と考えていたら、チャイムがなった。

 「あ、もう時間だね。じゃ、後日公爵家に婚約の申込みをするから。……逃げないでね?」

 諦めなきゃいけないのかな?
 はぁ、やだなー。

 



 「アカネ、これはどういうことかな?」

 「えっとー、どういうことなんでしょう………?」

 「はぁ、リアン、説明を。」

 「はい。ざっくり言いますと、皇太子殿下がアカネ様に一目惚れをして、是非婚約者にと。
。」

 「……、わかった、そういうことなら、判断はアカネに任せる。お前はどうしたい?」

 え、どうしたいって、うーん。
 皇太子殿下のことは嫌いじゃないよ。でも、なったとしてなんも知らない平凡な俺より、きちんと教育を受けた綺麗な人の方がいいと思う。

 だからどうしたいって言われても………。

 「えっと、どうって言われても。俺、あんまり綺麗じゃないし、皇太子殿下のこともよく知らないし。」

 「……、わかった、では、保留ということに。」

 保留?保留なんてできるの?
 皇太子殿下からなのに?

 「ちょっとこれから城に行ってくるから。あいつに一言いってやらないと気が済まない。」

 あ、あいつって誰だろう?

 「ど、どうしてそこまで怒っているんですか?」

 「ん?あぁ、アカネに対してじゃないから安心して。あいつっていうのは、この国の皇様だよ。皇名で送ってきやがったからね。」

 え、えぇー。この国で一番偉い人をそんなふうに扱えるのは、義父さまくらいだよ。
 
 ん?皇名?皇名できたの?じゃ、普通は断ることなんてできないよ。

 なんで俺にそこまでするんだろう?
 
 「旦那様、私の分までよろしくお願いします。×2でお願いします。」

 な、なんかリアンが黒い?
 ドス黒いような……。気のせいかな?
 うん、そうしよう。

 「あぁ、任せてくれ、しっかりと灸をすえてくるから。留守は任せたよ。」

 「はい、旦那様。」

 と言って、義父様は馬車で皇宮へと出かけていった。

 大丈夫かな?主に陛下の方が。

 




 そして、今日も今日とて庭園で、な・ぜ・か殿下とご飯を共にしている。

 「アカネ、私との婚約は嫌だったかい?」

 「いえ、別に。おr、私は、嫌というわけではないですが……。」

 「ありがとう。なら、敬語はとってね。」

 「あ、はは。頑張ります。」

 んー。無理だ。俺にはハードルが高い。
 だって、こんな優しくて、綺麗で、カッコいい人の隣でウフフなんてできないと思うんだけど。

 「私は、アカネの頼みはなんだって叶えたいと思うよ。それだけ私は君のことが好きなんだ。どうか意識してほしいなぁ。」

 意識、意識か。でも、確かに殿下って俺のいうことを聞いてくれるよな。

 あれ、俺ってなんか殿下のことを追いかけてる?ん?

 告白されてからずっと殿下のことばかり考えている気がする。ん?俺、チョロすぎない?

 かっこよくて、みんなから慕われている人から告白されたからって、意識し始めた?

 どうしよう。考えれば考えるほど、顔に熱が集まってくるのが分かる。どうしよう、どうしよう。

 絶対今、顔赤いよ!あわわ。もうどうすればいいのか分からない。

 みんなも思ったよね。展開はやいよね。

 ごめん。俺のせいでごめん。どうしようもないんだ。意識し始めたら止まらないんだ。

 つまり、おれは、でんかのことが?!
しおりを挟む

処理中です...