剣と魔法と愛と

御夢

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出会い

俺、皇子様の?!

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 はい、家です。安定の展開の速さ。
 だって、頭の整理が追いつかないんだもの。
 リアン以外の友達ができたと思ったら、実はこの国の皇太子殿下だったし。

 俺、数日で色々なことを体験してると思う。
 もう嫌。

 「はぁ。」

 「アカネ様、どうしました?」

 「いや、俺、皇太子殿下と友達って。」

 「あぁ、大丈夫だよ。あの人、見た目通りに優しいし。」

 「えっ、リアン殿下のこと知ってるの?」

 「まぁ、そうですね。」

 あ、だからか。リアンが昨日ずっと笑っていたの。皇太子殿下と知り合いで、俺が誘いを断ったから。そりゃ、殿下の誘いを断るやつなんて、そうそういないからね。

 「幼馴染と言う分類になるのでしょうか。小さい頃は、よく一緒に遊びましたよ。」

 「へー、じゃぁ、リアンも偉い人だったの?」

 そうだったら、俺失礼な態度をとっちゃった。

 「いえ、僕は、その……。あの……。」

 俺、まずいこと聞いちゃったかな?
 えーと、話題を変えないと。

 「えっと、明日は、卵焼き入れてほしいな!甘いやつ。」

 「!はい、お任せください…。」

 うん、そういうのは、触れないことが大事だよね。

 


 「へー、アカネくんはリアンの料理が一番好きなんだ。」

 「は、はい。とっても美味しいので。」

 「アカネくん、そんなにかしこまらなくていいよ。君とは、もっと気軽に話したいから。」

 「えっ、えっとー、ぜ、善処します……。」

 「うん。」

 無理。無理だよ。皇太子殿下と話なんて。
 俺、不敬罪で殺されないかな。

 「アカネくんは本当に可愛いね。」

 「へ?!え、あ、ありがとうございます?」

 可愛いって、俺、褒められてる?可愛いって、褒め言葉だっけ?あ、一応友達になってから、数日経っています。数日間、こうして一緒に庭園でお話ししてるけど、話すことはいちいちかっこいいし、座っている姿勢は綺麗だし。

 こんな人と一緒にいたら、俺の存在が消えてしまう……。あれの周りは何故か美形ばっかりなんだよな。なぜ?

 「アカネくんと話すのはとっても楽しいね。君と話すのは、私の毎日の楽しみになっているんだ♪」

 「ははは、あ、ありがとーございますー。」

 もう、終わってくれ。俺の心臓がもたない。
 偉い人と長く話すのは嫌なんだ。

 「うん、君は、花がとても似合う。」

 そう言って殿下は、俺に薔薇を差し出した。
 赤の薔薇を一本。

 「これ、受け取って?」

 「あ、はい。」

 殿下から、花をもらっちゃった。もらっちゃったよ。あ、そういえば、義母さまは薔薇の姫君と呼ばれてたんだっけ?

 そんな人たちに似合う花が、俺に似合うかな?俺は、カッコよくも美しくもないのに。

 「アカネ様?それ、本当に受け取るんですか?」

 「えっ、うん。ダメだった?」

 「ダメじゃないと思うよ。ね、リアン。」

 「え、いや、まぁ、はい。」

 リアン、どうしたんだろう?急に慌て出して。何かおかしいかな?

 「アカネ、受け取ったね。君の返事を聞かせてくれるかい?断るなんて選択肢はないと思うけど…。」

 え、返事?何の?どういうこと?

 「あの、返事って何の?」

 「アカネ様、アカネ様は花言葉を知っていますか?」

 花言葉?花それぞれに意味があるのは知ってるけど、今関係あるのかな?

 「知ってるけど、何?」

 「では、薔薇の花言葉を知っていますか?」

 薔薇?薔薇の花言葉って何だろう。
 確か、美しいとかあったかな?でも、俺美しくないんだけど、何でそんなの贈るのかな?

 「知ってるよ。美しいって意味だろう?俺には似合わないけど。」

 「そんなことないよ、アカネ。」

 なんか急に慣れ慣れしくなったような…。
 気のせいかな?

 「アカネ様、薔薇などの花には色ごとに花言葉がございます。薔薇全体だと、〔愛・美〕、桃色の薔薇だと〔感謝・しとやか・上品・感銘〕、白色の薔薇だと〔純潔・私はあなたにふさわしい・深い尊敬〕など。そして赤色の薔薇だと…、[情熱、愛情、【あなたを愛しています】]」

 へー、そうなんだー。花には色々意味があるんだね。ふーん。あれ?俺がもらったのは、赤い薔薇。

 赤だと、情熱?愛情?あなたを愛してます?!

 え?どういうこと?え?あれ?

 「赤くなって可愛いね。私の気持ち、伝わってくれた?嬉しい。」

 殿下の気持ちって、え?やっぱり、そういうことだよね?!え?なんで俺?

 「アカネ様、しかも渡された薔薇は一本です。」

 え、一本だと何かあるの?

 「薔薇は他の花とは違って、本数によっても意味があるんです。例えば、一本の薔薇だと、【一目惚れ、あなたしかいない】」

 え?一目惚れ?あなた(俺)しかいない?
 え?つまり、告白?!え?え?

 「あ、あの、えっと。その、えっと。」

 「ふふ、可愛いね。アカネ。そんなところに惹かれるんだ。リアン。」

 「はい。」

 「公爵家に正式に婚約の申込みをさせていただくから。そのつもりでいてね。」

 婚約?だれが?俺と殿下が?え?!
 え、でも、殿下は婚約者とかいないの?

 「あの、殿下は、婚約者とか居られないのですか?」

 「うん、いないよ。だから安心してお嫁においで。僕の愛しい人。」

 え、これ、決定事項?うそ、どうしよう。
 この間まで平民だった俺が、どうして皇太子殿下の婚約者に?!

 俺、殿下の婚約者になりました?!

 

 
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