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しおりを挟むセリ先生がきて一週間
セリ先生は30歳前後。少し細身で賢そうな美人ね。
真面目で性格も仕事も真っ直ぐな人。
私に身分や容姿に関係なく学力を上げることを優先できる人。
経験も豊富なようで、私の不足している部分をすぐ見抜いて先回りして教えてくれる。
本当に優秀だわ。
逆になぜこんな優秀な人が家庭教師なのかしら。
まあ、今までも貴族の子供の家庭教師を臨時で受けていたとは聞いたけど本職は教師よね。
まあ、色々な事情があるのでしょう。
人の事情にズカズカ入り込むのは不粋ね。
セリ先生は要求することはしてくれている。それで十分だわ。
ただ、もう少し授業時間があれば申し分ないのだけれど。
結婚しているようだから、早く自宅に帰らないといけないわよね。
そろそろデリスの代わりに身の回りを世話してくれるメイドさんを探さないと。
セリ先生のご友人で信頼のおける人はいないかしら。
今日あたりセリ先生に打診してみましょう。
ーーーーーーーーーーーー
「セリ先生、授業に入る前におりいってご相談が…先生?
なんだか顔色が優れないですよ?」
「え?そんな事ございません。リリア様ご相談というのは…う、ううう。」
セリ先生が青白い顔でもどしそうになっている。
「先生!とりあず横になりましょう!こちらに!」
「リリア様、申し訳ありません。情けないです。」
セリ先生を客室のベッドに寝かす。
リリアの離れ屋敷に客など来たことがないので初めて使用する。
「セリ先生、顔色が悪いわ。それに痩せすぎよ。
しっかり食べているのですか。
あなた、生活どうなっているの?あまり詮索はしたくないけれど、この姿を見たら放っておけないわ。事情を説明して。」
「リリア様、申し訳ありません。
わたくしのお腹に子を宿しているようなのです。
月のものが来ていません。ふらつきと吐き気があり、帰宅するとすぐ寝てしまうのです。」
「妊娠しているということですね
。なぜ、こうなる前におっしゃってくれないのですか?
それを言うと私があなたに危害を加えると思っていたのですか?」
「そうではありません!実は、結婚はしています。
この国では結婚後に女は職を失います。
私もそうです。本来夫であるべき男性をサポートするべきなのですが、
結婚後すぐ夫が隣領に行かなければならなくなりました。
あそこは治安が悪く勝手が分からない私は連れて行けないと言われ送り出す形になりました。そのあと体調を崩して考えてみると子ができたと辻褄が合いました。」
「パートナーに帰ってきてもらえないのですか?」
「隣領の中でも酷い地区。
失礼ですが、リリア様が今後行かれるバスク地区です。
人手が集まらず今抜け出すことは酷い罰則が生じるのです。
だから、今の状況を夫には伝えていません…うっうっ…。」
セリ先生は今までの不安や情けない気持ち、澱んだ心情をせき止めていた。
リリアに話すことで涙が止まらなくなってしまった。
「リリア様には話さないでおこうと思いました。
でも、リリア様、いつも見守ってくれている、どこか頼りになる上司のようで…。
変ですね。私が年上なのに。」
「こうなってしまったので、私を解雇して下さい。
新たな家庭教師は私がつてを頼って紹介します。」
「あなた、優秀なのに、いえ、優秀だから自分で背負ってしまうのね。
あなたも生まれた世界が悪いわね。
このような人材はお金を払ってでも保護し育成しなければならないのです。
あなたを解雇する気はさらさらありません!その考えは捨てて下さい。」
リリアがセリ先生の手を握り、真っ直ぐ目を見て伝えた。
「ふっ。今は腐っても貴族令嬢ですよ。この特権は使います。セリ先生は引き続き先生でいてもらいます。」
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