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むかつくな(田所視点)
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あ~、腹減った。
いや、でもなんかむかむかしてるって言うか、ここ最近あまり胃の調子が良くない。
残業続きだし、ジムもあまり行けてない。
仕事はどんどん忙しくなるし家に帰ってもごちゃごちゃしていて落ち着きがない。
この前はワイシャツが全部ぐちゃぐちゃで慌ててコンビニで買う羽目になった。
今まで洗濯なんてマコにやらせてたからアイロンなんて自分でかけないし、クリーニングに出しても取りに行く時間なんてない。
結局今は形状記憶のシャツを使っている。
着心地は悪くないが、あのアイロンかけたてのしゃきっとする感覚は欲しいところだ。
瑠美に何度か洗濯した後アイロンをかけろと言ったが一度だけかけて後はサボるようになった。
自分の服はいつも手洗いだのドライクリーニングだのせっせと手入れしているのに俺の服は興味ないと言い切った。
なら、クリーニングに俺のスーツ出しておけよな。
瑠美は仕事が終わったらいったい何をしてるんだ?
いや、そもそもあいつは仕事をしていないのはみんなうすうす気づいている。
今までマコが全部フォローしてたんだ。
マコが営業部を抜けてから明らかに外勤の仕事が増えている。
と言うか、俺たちの仕事を今まで内勤に頼めていた分を瑠美に全部断られている状態だ。
もしかしてだが…あれは全部マコが請け負ってくれていたんじゃないかとそれもみんなうすうす気づき始めている。
いや、ほぼ気づいている。
瑠美が前からマコの分の仕事を自分がやってあげているとかマコから嫌がらせを受けていて困ってるって言ってたよな。
あれも、瑠美の狂言なんじゃないかって疑い始めてしまっているんだが。
いやいやいや、ちがう。瑠美だってこの会社に入って1年の研修をこなすくらいなんだ。
ある程度優秀なはずだろ。
まさか今までの人生、全部人に面倒な事を押し付けてきたわけじゃないだろう。
考えすぎだな俺。
今日は健康的に焼き魚定食にするか。ちょっと高いけどサラダセットも追加だ。
座る席を探していると、でかい男が目に入った。
おい、隣に座ってるのマコか?
あいつ、あのでかい男と一緒に飯食ってんのか?
ってか、何でマコは俺と別れてからあんなに綺麗になったんだよ。
生活感丸出しの女だっただろ。
化粧もちゃんとしないし服だっていつも同じだし髪なんてあんな可愛くセットしてなかったじゃないか。
ああ、なんかムカついてきた。
マコが居ないせいで俺の職場も家もごちゃついているのに自分はのんきにぬりかべ男とランチかよ。
ちょっと一言いってやろう。
「平井さん、あと山根君だっけ?お疲れ~。俺も昼休憩なんだ。隣座らせてもらうね。」
「た、田所さん…。」
マコの顔が動揺まるわかりで面白い。
そうだよ、こいつはすぐ気持ちが顔に出て素直で可愛い奴だったんだよな。
デザイン課に行ってから服の系統変わったみたいだけど、これはこれでいいじゃん。
まあ、俺と付き合ったらやっぱりヒールははかせるけど。
「他にも席ありますよ。ここじゃなくても良いんじゃないですか?」
俺がマコをじっくり評価していたのに向かいから嫌な声がする。
「あのね、山根君には俺用がないの。っていうか、何?お前ら同じ弁当食べてんの?」
ぬりかべ男の前には大きくて豪勢な弁当が広げられている。
鮭の切り身や彩りのいいサラダ、カボチャやゴボウなど体によさそうな和食中心の副菜が綺麗に並べられていた。
マコと一緒に暮らしていた時はこの食事が当たり前だと思っていた。
生活感が漂う和食ばっかりで味気ないと思っていたのに、目の前にある料理は今俺の求めているモノだと脳内が強烈に俺にサインを送っている。
「何でマコの料理をお前が喰ってんだよっ。」
このうまそうな料理は俺に今まで作ってもらっていたんだ。
「田所さん関係ないでしょ。私が山根君に作らせてほしいって言ったの。私からお願いしたの。」
「なんだと?俺が今こんなに食事で困っている間、お前は別の男に願い出て弁当を作ってるのか?しかも俺に作っていた時より豪華じゃないか。見損なったよ、お前そんな女だったのかよ。」
「あんた、何言ってんの?平井さんと別れたんでしょ?何であんたが平井さんに文句言う立場なんだ?」
「うるさい、ぬりかべには関係ないだろ。」
「やめてください。田所さんと別れてからお金に余裕ができたの。一人分作るより一緒に食べてくれる人がいるほうが楽しいの。山根君にいつもお世話になってるから一緒に食べてもらっているの。それが理由です。田所さんには関係ない話ですから関わらないでください。」
「…マコ口答えするんだ。俺と付き合ってた時は俺の言う事素直に聞いてたじゃないか。ああ、そうだ。一人分作るのが寂しいなら俺の弁当作ったらいいじゃないか。一緒に食べてやるよ。前も一緒に食べたいとか言ってただろ?今その希望かなえてやるからさ。こんなぬりかべ男の隣で食べるより俺と食べた方が嬉しいだろ?」
「山根君の事変な名前で呼ばないでください。何で私が田所さんのお弁当作らないといけないんですか。瑠美ちゃんに作ってもらったらいいじゃないですか。」
「何でこの話に瑠美が出てくるんだよ。お前が…。」
「いい加減にしてください。あんたが平井さんを追い出したんでしょ?お金のトラブルもあるみたいじゃないですか。それで料理作れとか何様なんだよ。」
根暗そうなぬりかべ男が俺を睨みつけてきた。
何だよ、ただでかいだけのくせに妙に威圧感があるな…。
「あーあ、もういいわ。ぬりかべ君のせいで雰囲気台無し。あっちで食べるわ。じゃあな。」
追い出しとか金のトラブルとか食堂で色々聞かれたらややこしいから今は退散だ。
ってかマコあいつにどこまで話したんだ?まさか、あのぬりかべ男と付き合ってんのか?
いや~あれはないな。ただでかいだけだけで俺の足元にも及ばない。
俺と付き合ってたマコならもっと目が肥えているはずだしな。
あーあ、食堂の料理冷めちまったじゃん。最悪。
いや、でもなんかむかむかしてるって言うか、ここ最近あまり胃の調子が良くない。
残業続きだし、ジムもあまり行けてない。
仕事はどんどん忙しくなるし家に帰ってもごちゃごちゃしていて落ち着きがない。
この前はワイシャツが全部ぐちゃぐちゃで慌ててコンビニで買う羽目になった。
今まで洗濯なんてマコにやらせてたからアイロンなんて自分でかけないし、クリーニングに出しても取りに行く時間なんてない。
結局今は形状記憶のシャツを使っている。
着心地は悪くないが、あのアイロンかけたてのしゃきっとする感覚は欲しいところだ。
瑠美に何度か洗濯した後アイロンをかけろと言ったが一度だけかけて後はサボるようになった。
自分の服はいつも手洗いだのドライクリーニングだのせっせと手入れしているのに俺の服は興味ないと言い切った。
なら、クリーニングに俺のスーツ出しておけよな。
瑠美は仕事が終わったらいったい何をしてるんだ?
いや、そもそもあいつは仕事をしていないのはみんなうすうす気づいている。
今までマコが全部フォローしてたんだ。
マコが営業部を抜けてから明らかに外勤の仕事が増えている。
と言うか、俺たちの仕事を今まで内勤に頼めていた分を瑠美に全部断られている状態だ。
もしかしてだが…あれは全部マコが請け負ってくれていたんじゃないかとそれもみんなうすうす気づき始めている。
いや、ほぼ気づいている。
瑠美が前からマコの分の仕事を自分がやってあげているとかマコから嫌がらせを受けていて困ってるって言ってたよな。
あれも、瑠美の狂言なんじゃないかって疑い始めてしまっているんだが。
いやいやいや、ちがう。瑠美だってこの会社に入って1年の研修をこなすくらいなんだ。
ある程度優秀なはずだろ。
まさか今までの人生、全部人に面倒な事を押し付けてきたわけじゃないだろう。
考えすぎだな俺。
今日は健康的に焼き魚定食にするか。ちょっと高いけどサラダセットも追加だ。
座る席を探していると、でかい男が目に入った。
おい、隣に座ってるのマコか?
あいつ、あのでかい男と一緒に飯食ってんのか?
ってか、何でマコは俺と別れてからあんなに綺麗になったんだよ。
生活感丸出しの女だっただろ。
化粧もちゃんとしないし服だっていつも同じだし髪なんてあんな可愛くセットしてなかったじゃないか。
ああ、なんかムカついてきた。
マコが居ないせいで俺の職場も家もごちゃついているのに自分はのんきにぬりかべ男とランチかよ。
ちょっと一言いってやろう。
「平井さん、あと山根君だっけ?お疲れ~。俺も昼休憩なんだ。隣座らせてもらうね。」
「た、田所さん…。」
マコの顔が動揺まるわかりで面白い。
そうだよ、こいつはすぐ気持ちが顔に出て素直で可愛い奴だったんだよな。
デザイン課に行ってから服の系統変わったみたいだけど、これはこれでいいじゃん。
まあ、俺と付き合ったらやっぱりヒールははかせるけど。
「他にも席ありますよ。ここじゃなくても良いんじゃないですか?」
俺がマコをじっくり評価していたのに向かいから嫌な声がする。
「あのね、山根君には俺用がないの。っていうか、何?お前ら同じ弁当食べてんの?」
ぬりかべ男の前には大きくて豪勢な弁当が広げられている。
鮭の切り身や彩りのいいサラダ、カボチャやゴボウなど体によさそうな和食中心の副菜が綺麗に並べられていた。
マコと一緒に暮らしていた時はこの食事が当たり前だと思っていた。
生活感が漂う和食ばっかりで味気ないと思っていたのに、目の前にある料理は今俺の求めているモノだと脳内が強烈に俺にサインを送っている。
「何でマコの料理をお前が喰ってんだよっ。」
このうまそうな料理は俺に今まで作ってもらっていたんだ。
「田所さん関係ないでしょ。私が山根君に作らせてほしいって言ったの。私からお願いしたの。」
「なんだと?俺が今こんなに食事で困っている間、お前は別の男に願い出て弁当を作ってるのか?しかも俺に作っていた時より豪華じゃないか。見損なったよ、お前そんな女だったのかよ。」
「あんた、何言ってんの?平井さんと別れたんでしょ?何であんたが平井さんに文句言う立場なんだ?」
「うるさい、ぬりかべには関係ないだろ。」
「やめてください。田所さんと別れてからお金に余裕ができたの。一人分作るより一緒に食べてくれる人がいるほうが楽しいの。山根君にいつもお世話になってるから一緒に食べてもらっているの。それが理由です。田所さんには関係ない話ですから関わらないでください。」
「…マコ口答えするんだ。俺と付き合ってた時は俺の言う事素直に聞いてたじゃないか。ああ、そうだ。一人分作るのが寂しいなら俺の弁当作ったらいいじゃないか。一緒に食べてやるよ。前も一緒に食べたいとか言ってただろ?今その希望かなえてやるからさ。こんなぬりかべ男の隣で食べるより俺と食べた方が嬉しいだろ?」
「山根君の事変な名前で呼ばないでください。何で私が田所さんのお弁当作らないといけないんですか。瑠美ちゃんに作ってもらったらいいじゃないですか。」
「何でこの話に瑠美が出てくるんだよ。お前が…。」
「いい加減にしてください。あんたが平井さんを追い出したんでしょ?お金のトラブルもあるみたいじゃないですか。それで料理作れとか何様なんだよ。」
根暗そうなぬりかべ男が俺を睨みつけてきた。
何だよ、ただでかいだけのくせに妙に威圧感があるな…。
「あーあ、もういいわ。ぬりかべ君のせいで雰囲気台無し。あっちで食べるわ。じゃあな。」
追い出しとか金のトラブルとか食堂で色々聞かれたらややこしいから今は退散だ。
ってかマコあいつにどこまで話したんだ?まさか、あのぬりかべ男と付き合ってんのか?
いや~あれはないな。ただでかいだけだけで俺の足元にも及ばない。
俺と付き合ってたマコならもっと目が肥えているはずだしな。
あーあ、食堂の料理冷めちまったじゃん。最悪。
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