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お礼の気持ち
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変なタイミングで山根君への気持ちに気が付いた私。
今突然私の気持ちを伝えても優しい山根君の事だからすごく悩ませてしまうはずだ。
山根君にとって私は手のかかる特別な先輩、同僚なはずだから。
それに、散々恋愛で痛い目に遭ってたよね、私。
恋愛より仕事頑張るって山根君に宣言してたよね私。
今、気持ちを伝えるのは得策じゃない。
けど、一緒に居たい。
「山根君と一緒にご飯が食べたいです。」
これくらいなら言って良いかと思い恐る恐る言ってみた。
ああ…不安と緊張と恥ずかしさとで心臓がもたない。
「…。じゃ、じゃあお言葉に甘えて…。」
「やった!すぐ用意するね。山根君座って待っててね。」私はダッシュでエプロンを取りに行った。
よかったあ…。
山根君に食べてもらう予定じゃないから豪華な夕ご飯じゃないけど、精いっぱい盛り付けした。
いつもはお弁当だけど、今回は料理に合わせたお皿を使う。
いままでコツコツと食器を揃えててよかったと思うタイミングだ。
ちょっと心配だったけど、山根君は昼と同じように何度も美味しいと言いながら綺麗に食べくれた。
食後、コーヒーを二人で飲む。
お皿を片づけたり机を拭いたりと山根君は違和感なく動いてくれる。
「山根君、家事得意なの?」
「料理とか全然だめです。この身体を見てもらえれば分かると思いますが。他の家事は、昔祖母と暮らしていたので料理以外の家事は一通り出来るようになりました。」
「お裁縫とかも?」
「凝ったものは作れませんが、巾着とか雑巾くらいなら縫えます。」
「ボタンの縫い付けは?」
「え?できますよ。穴に針入れて縫うだけですよね。出来ない人いるんですか?」
田所さんに『これ縫っとけよ。』って言われながらよくワイシャツを机に放り投げられた過去を思い出した。
「そうだね、いろんな人がいるもんね。」
「…。あの、やっぱり気になって…。平井さんのあのパソコンって前に田所が返してくれないから自分でもう一度買ったって言ってたやつですよね。」
「あ、うん。そうだよ。」ああ、私山根君にそこまで言っちゃってたか。
「平井さんはデザインを極めたいんですか?」
「え?えっと…。」
もともと全然違う仕事内容だったから、そう聞かれるとすぐ答えられない自分が居た。
「すみません、追い詰めてるわけじゃないんです。クリエイター希望なのかなって単純に思っただけで。」
「どうなんだろう。絵はもともと好きだけど、専門的な基礎はないんだよね。美大出ているとかでもないし。けど、誰かに伝えることを絵で表現するのってすごい憧れは持ってるんだ。その一部でも関われるかと思ってパソコンを買いなおしたところ。なんか、ちゃんとした回答じゃないね。」
自分で言ってて抽象的過ぎてちょっと嫌になる。
「絵じゃないけど。」
「え?」
「田所のために平井さんが作っていた資料であいつは成績を上げていたんでしょう?資料見たことないけど、きっと相手が望む見やすい内容に平井さんが作っていたから契約とれたと思います。相手の思いをくみ取って表現して伝えるのは平井さんだからできることだと思います。」
山根君が真剣な顔で言う。
「あ、ありがとう。」そんな風に言われたら更に山根君に気持ちが傾いてしまう。けど、純粋に嬉しい。
「あの…。俺で良かったらパソコンの操作教えましょうか?」
「え?ええ?」
「そのパソコン、高スペックな分複雑ですよね。俺も似たようなの使ってますけど慣れるまでが大変だし。独学より重要ポイントから覚えた方が効率良いし、分かりやすいですよね。」
「え?山根君が教えてくれるの?」
「平井さんが作品をがっつり作り込みたいとかであればプロに頼んだ方がいいと思いますけど、基本操作で今のところ事足りるなら俺で良ければで。
いや、やっぱり良くないですね。聞かなかったことに…。」
「ぜひ!お願いします!」山根君が言い終わる前にお願いする。
「お月謝払います!」
「いや、いいですよ。普段お世話になってるんで。」
「お世話になってるのは私だよ。いつも頼りっぱなしの甘えっぱなしだから。どうしよう…なにかお礼を…。」
山根君が欲しい物、必要なもの…。
何だろう。あっ!そうだ。いや、でもこれはお礼と言うには不出来だよね…。言うだけ言ってみようか。
「山根君の夕食を私が作るっているのはどうでしょうか…?」
「へ?夕食?」
「いや、ちょっと言ってみただけ。こんなのがお礼になるわけないし、昼も食べてもらってるから夕食もなんて、重いよね。ごめん、忘れて。」
「いや、すごくありがたいですけど、平井さんが大変じゃないですか。」
「全然大変じゃない。お弁当もそうだけど一人分ってすごく難しいの。山根君みたいにちゃんと食べてくれる人がいてくれたらすごく楽しいんだ。大変じゃなくて嬉しい。」
「いやあ、でも…。これ以上平井さんに作ってもらったらバチがあたりそうだし…。」
山根君、嫌がってはいないんだよね。
山根君への思いを自覚してしまった私はこのチャンスを逃してはいけないと本能が忠告している。
いままで、こんなになりふり構わず行動する人間じゃなかったけど、逆に言えばいつも受け身だった。
もしかすると山根君への思いは失恋の結果もあるけど、後悔はしたくない。自分が変わらなくちゃ。
「決めました。山根君の夕食を作ります。一緒に食べましょう。嫌になったらすぐ言ってください。分かりましたか?」
山根君の顔の近くまで自分の顔を近づける。
山根君はびっくりした顔をしている。
強引な奴だと思われたかな?けど、もう引けない。
そう思っていると山根君が
「よ、よろしくお願いします。」と言ってくれた。
そして、ちょっと笑いながら
「この前と立場逆転ですね。」とか言ってくれるから
「山根君みたいにカッコよかったでしょ?」と言い返した。
山根君はポカンとした表情から何故か赤くなって黙ってしまった。
時々山根君の思考が本当に分からないことがある。
今突然私の気持ちを伝えても優しい山根君の事だからすごく悩ませてしまうはずだ。
山根君にとって私は手のかかる特別な先輩、同僚なはずだから。
それに、散々恋愛で痛い目に遭ってたよね、私。
恋愛より仕事頑張るって山根君に宣言してたよね私。
今、気持ちを伝えるのは得策じゃない。
けど、一緒に居たい。
「山根君と一緒にご飯が食べたいです。」
これくらいなら言って良いかと思い恐る恐る言ってみた。
ああ…不安と緊張と恥ずかしさとで心臓がもたない。
「…。じゃ、じゃあお言葉に甘えて…。」
「やった!すぐ用意するね。山根君座って待っててね。」私はダッシュでエプロンを取りに行った。
よかったあ…。
山根君に食べてもらう予定じゃないから豪華な夕ご飯じゃないけど、精いっぱい盛り付けした。
いつもはお弁当だけど、今回は料理に合わせたお皿を使う。
いままでコツコツと食器を揃えててよかったと思うタイミングだ。
ちょっと心配だったけど、山根君は昼と同じように何度も美味しいと言いながら綺麗に食べくれた。
食後、コーヒーを二人で飲む。
お皿を片づけたり机を拭いたりと山根君は違和感なく動いてくれる。
「山根君、家事得意なの?」
「料理とか全然だめです。この身体を見てもらえれば分かると思いますが。他の家事は、昔祖母と暮らしていたので料理以外の家事は一通り出来るようになりました。」
「お裁縫とかも?」
「凝ったものは作れませんが、巾着とか雑巾くらいなら縫えます。」
「ボタンの縫い付けは?」
「え?できますよ。穴に針入れて縫うだけですよね。出来ない人いるんですか?」
田所さんに『これ縫っとけよ。』って言われながらよくワイシャツを机に放り投げられた過去を思い出した。
「そうだね、いろんな人がいるもんね。」
「…。あの、やっぱり気になって…。平井さんのあのパソコンって前に田所が返してくれないから自分でもう一度買ったって言ってたやつですよね。」
「あ、うん。そうだよ。」ああ、私山根君にそこまで言っちゃってたか。
「平井さんはデザインを極めたいんですか?」
「え?えっと…。」
もともと全然違う仕事内容だったから、そう聞かれるとすぐ答えられない自分が居た。
「すみません、追い詰めてるわけじゃないんです。クリエイター希望なのかなって単純に思っただけで。」
「どうなんだろう。絵はもともと好きだけど、専門的な基礎はないんだよね。美大出ているとかでもないし。けど、誰かに伝えることを絵で表現するのってすごい憧れは持ってるんだ。その一部でも関われるかと思ってパソコンを買いなおしたところ。なんか、ちゃんとした回答じゃないね。」
自分で言ってて抽象的過ぎてちょっと嫌になる。
「絵じゃないけど。」
「え?」
「田所のために平井さんが作っていた資料であいつは成績を上げていたんでしょう?資料見たことないけど、きっと相手が望む見やすい内容に平井さんが作っていたから契約とれたと思います。相手の思いをくみ取って表現して伝えるのは平井さんだからできることだと思います。」
山根君が真剣な顔で言う。
「あ、ありがとう。」そんな風に言われたら更に山根君に気持ちが傾いてしまう。けど、純粋に嬉しい。
「あの…。俺で良かったらパソコンの操作教えましょうか?」
「え?ええ?」
「そのパソコン、高スペックな分複雑ですよね。俺も似たようなの使ってますけど慣れるまでが大変だし。独学より重要ポイントから覚えた方が効率良いし、分かりやすいですよね。」
「え?山根君が教えてくれるの?」
「平井さんが作品をがっつり作り込みたいとかであればプロに頼んだ方がいいと思いますけど、基本操作で今のところ事足りるなら俺で良ければで。
いや、やっぱり良くないですね。聞かなかったことに…。」
「ぜひ!お願いします!」山根君が言い終わる前にお願いする。
「お月謝払います!」
「いや、いいですよ。普段お世話になってるんで。」
「お世話になってるのは私だよ。いつも頼りっぱなしの甘えっぱなしだから。どうしよう…なにかお礼を…。」
山根君が欲しい物、必要なもの…。
何だろう。あっ!そうだ。いや、でもこれはお礼と言うには不出来だよね…。言うだけ言ってみようか。
「山根君の夕食を私が作るっているのはどうでしょうか…?」
「へ?夕食?」
「いや、ちょっと言ってみただけ。こんなのがお礼になるわけないし、昼も食べてもらってるから夕食もなんて、重いよね。ごめん、忘れて。」
「いや、すごくありがたいですけど、平井さんが大変じゃないですか。」
「全然大変じゃない。お弁当もそうだけど一人分ってすごく難しいの。山根君みたいにちゃんと食べてくれる人がいてくれたらすごく楽しいんだ。大変じゃなくて嬉しい。」
「いやあ、でも…。これ以上平井さんに作ってもらったらバチがあたりそうだし…。」
山根君、嫌がってはいないんだよね。
山根君への思いを自覚してしまった私はこのチャンスを逃してはいけないと本能が忠告している。
いままで、こんなになりふり構わず行動する人間じゃなかったけど、逆に言えばいつも受け身だった。
もしかすると山根君への思いは失恋の結果もあるけど、後悔はしたくない。自分が変わらなくちゃ。
「決めました。山根君の夕食を作ります。一緒に食べましょう。嫌になったらすぐ言ってください。分かりましたか?」
山根君の顔の近くまで自分の顔を近づける。
山根君はびっくりした顔をしている。
強引な奴だと思われたかな?けど、もう引けない。
そう思っていると山根君が
「よ、よろしくお願いします。」と言ってくれた。
そして、ちょっと笑いながら
「この前と立場逆転ですね。」とか言ってくれるから
「山根君みたいにカッコよかったでしょ?」と言い返した。
山根君はポカンとした表情から何故か赤くなって黙ってしまった。
時々山根君の思考が本当に分からないことがある。
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