社内恋愛にご注意!!

ミミリン

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私のモヤモヤ

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先日思い切って自分から山根君を外出に誘った。


付き合っていない男性を自分からデートに誘うなんて今までの自分からすれば考えられない行動だ。


けど、めぐちゃんにもらったチケットのおかげで勇気が出たんだ。


誘うというか頼むに近い方法だったかもしれない。

あの時は必死だったからとにかく誘う事に集中していた。

今思えば山根君の優しさに付け込んでいたのかもしれないと反省している。

でも、何もせずこの恋が終わる後悔だけはしたくないって思ってる。


だから、私の中で色々反省点はありながらも山根君とのお出掛けはすごく嬉しかった。


あの日、作家である大吾さんと山根君が再会した場面を思い出すと二人にはすごく強いきずながあるって部外者の私でも感じ取った。


あの大吾さんが山根君の過去に大きな影響を与えた人なんだろうな。


山根君の事遥って呼んでた。


大吾さんの婚約者の佐伯さんも山根君は自分を犠牲にするほど優しい人って言ってた。


山根君が優しいなんてちゃんと知っている。


けど、その優しさが自分にだけ向けられていると私は勘違いしていたのかもしれない。


山根君の優しさが今後別の誰かに向けられた時私はどんな気持ちになるんだろう。


何だろう、それを想像するとものすごく怖くなってきた。


焦っちゃいけない。

人の心をどうにかするなんて誰にもできないんだから。


けど、心がどうしてもモヤモヤする…。


そんなことを考えていた。





ある日、会社の食堂で山根君と一緒に私が作ったお弁当を食べる。


相変わらず綺麗に食べてお礼を言ってくれる山根君。



食堂を出たとき、前を歩いていた女性社員がハンカチを落としたけど気が付いていないようだ。


私はハンカチを拾って渡しに行こうとしたとき

「何か落としましたよ。」

と時々山根君から発する低くて周りに良く通る声がした。


女性は振り返って自分の落としたハンカチに気が付く。

私と同世代くらいの女性だ。


「あ、ありがとうございます。」

そう言って女性は山根君にお礼を言うと


「すごく背が大きいですね。何かスポーツされていたんですか?」と質問を受けていた。


「…空手を少し習っていました。」山根君が普段通りの声に戻っている。


「ああ、だから声が良く通るんだ。空手カッコいいですね。」


「いえ、別に…。」ぶっきらぼうに答える山根君。


「あの、じゃあ俺行きますんで。」そう言って私の方へ戻ってきてくれた。


一部始終を見ると何となくナンパをされていたのかな?と思った。


確かに山根君のいざと言う時のあの声はカッコいいと思う。


背も高いから高身長が好きな人は気になるよね。


世の女性はあんなにさらりと初対面の男性と会話を続けることが出来るんだ。


そうだよ。


山根君は優しいから困った人がいたらすぐ助けに行く人だもん。

親切なんだよ、みんなに。


きっと山根君の素敵なところを知る人が今みたいに関心を向けて距離を縮めていくんだ。



お出掛けに誘って自己満足している場合じゃないのかもしれない…。


私は何とも言えない危機感に襲われてしまった。
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