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言ってしまった
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次の金曜日、山根君を自宅に招いて夕食を振舞う。
「平井さんの食事のおかげでかなり体にキレが戻りました。
空手現役だったころの大吾には苦笑されましたけど。」
私の作ったおかずを美味しそうに食べながら話してくれる。
「大吾さんと連絡とってるの?」
「あ、はい。テレビ電話ですけどね。美術の先生しているみたいで生徒の課題を手伝っているとかなり遅い帰宅になるみたいです。」
「そっか、なかなか会えないね。」
「はい。あ、でも佐伯先輩が俺に元美術部のみんなと会わせたいから色々企画しようとしているって聞きました。
先輩はすぐ行動する人なんでそれまでに体形戻せるように頑張ってみます。」山根君が朗らかに笑う。
何だろう、すごく良い話なのに気持ちが重くなる。
一緒に喜んであげるべきなのに、暗くなる自分がひどい人間で嫌になる。
「平井さん、大丈夫ですか?あ、俺の話とか楽しくないですよね。すみません。」
「…山根君。あのね。」きっと今私の顔はこわばっているだろう。
今と言うタイミングは合っていないのかもしれない。
けど言ってしまって楽になりたい。
結果がダメだったとしても、ずっとこんな気持ちを抱えて山根君と接するのは辛い。
もう言ってしまおう。
「あのね…私ね、山根君と居ると辛くなるの…。」
「え…?」山根君が驚く顔をしている。
ちがう、言葉が足らない。
「…。ああ、そうですよね。平井さんがやっとそう思うようになりましたか。
こうやって直接言ってもらって良かったです。今までありがとうございました。」
山根君は食器を置いて少し寂し気に席を立とうとする。
何を言っているの?そうじゃないの、私が伝えたいことは…。
「違うの、私…私山根君が好きなの。」
「え?」
「山根君が好きだから…でも私は山根君の事何も知らない。
山根君はカッコいいし優しくてすごい人だからみんなに親切で、みんなが山根君の事好きになって…。
いつか山根君に彼女が出来たら私は山根君を独り占めできなくなって…。」
「ちょ、ちょっと待ってください。平井さん何の話をしてるんですか?」
「私と山根君の話だよ。私が山根君の事が好きだけど山根君は誰かの所に行きそうで辛いの。」
「え?そんな言い方じゃ、平井さんが俺の事を好きって聞こえますよ。またそんな誤解を招くような言い方…。」
「何で誤解なの?だから、何回も言ってるじゃない。私はあなた、山根遥さんが好きなんです!」
「…。いや、ありえないですよ。それは絶対ありえない。平井さんちょっと熱があるか疲れてるんですよ。」
「私は熱もないし、十分すぎるほど健康です。」
「いや…ありえない…。そんな事絶対ありえない…。俺、ちょっと冷静になりますね。今日はもう帰ります。ごちそうさまでした。」
「え?えええ…。」
山根君は私が引き留める隙を与えずすごいスピードで部屋を出て行ってしまった。
こ、これはフラれたことになるのかな…。初告白で失恋決定なの?
ぽんちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「平井さんの食事のおかげでかなり体にキレが戻りました。
空手現役だったころの大吾には苦笑されましたけど。」
私の作ったおかずを美味しそうに食べながら話してくれる。
「大吾さんと連絡とってるの?」
「あ、はい。テレビ電話ですけどね。美術の先生しているみたいで生徒の課題を手伝っているとかなり遅い帰宅になるみたいです。」
「そっか、なかなか会えないね。」
「はい。あ、でも佐伯先輩が俺に元美術部のみんなと会わせたいから色々企画しようとしているって聞きました。
先輩はすぐ行動する人なんでそれまでに体形戻せるように頑張ってみます。」山根君が朗らかに笑う。
何だろう、すごく良い話なのに気持ちが重くなる。
一緒に喜んであげるべきなのに、暗くなる自分がひどい人間で嫌になる。
「平井さん、大丈夫ですか?あ、俺の話とか楽しくないですよね。すみません。」
「…山根君。あのね。」きっと今私の顔はこわばっているだろう。
今と言うタイミングは合っていないのかもしれない。
けど言ってしまって楽になりたい。
結果がダメだったとしても、ずっとこんな気持ちを抱えて山根君と接するのは辛い。
もう言ってしまおう。
「あのね…私ね、山根君と居ると辛くなるの…。」
「え…?」山根君が驚く顔をしている。
ちがう、言葉が足らない。
「…。ああ、そうですよね。平井さんがやっとそう思うようになりましたか。
こうやって直接言ってもらって良かったです。今までありがとうございました。」
山根君は食器を置いて少し寂し気に席を立とうとする。
何を言っているの?そうじゃないの、私が伝えたいことは…。
「違うの、私…私山根君が好きなの。」
「え?」
「山根君が好きだから…でも私は山根君の事何も知らない。
山根君はカッコいいし優しくてすごい人だからみんなに親切で、みんなが山根君の事好きになって…。
いつか山根君に彼女が出来たら私は山根君を独り占めできなくなって…。」
「ちょ、ちょっと待ってください。平井さん何の話をしてるんですか?」
「私と山根君の話だよ。私が山根君の事が好きだけど山根君は誰かの所に行きそうで辛いの。」
「え?そんな言い方じゃ、平井さんが俺の事を好きって聞こえますよ。またそんな誤解を招くような言い方…。」
「何で誤解なの?だから、何回も言ってるじゃない。私はあなた、山根遥さんが好きなんです!」
「…。いや、ありえないですよ。それは絶対ありえない。平井さんちょっと熱があるか疲れてるんですよ。」
「私は熱もないし、十分すぎるほど健康です。」
「いや…ありえない…。そんな事絶対ありえない…。俺、ちょっと冷静になりますね。今日はもう帰ります。ごちそうさまでした。」
「え?えええ…。」
山根君は私が引き留める隙を与えずすごいスピードで部屋を出て行ってしまった。
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