夫婦で異世界放浪記

片桐 零

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第1章

第13話 今いる国と、心配事

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ナフタの独演会は、たっぷり2時間近く行われた。
内容が内容だけに集中して聞いていたため、気がつくと辺りは暗くなってしまっていた。

「おっと、そろそろご飯の時間だから僕は帰るね。バイバーイ。」

来る時も突然だが、帰る時も突然のナフタに呆れながらも、この星の主だった勢力について教えてもらえたことに感謝の念を抱きかける…
ま、調子に乗らせるだけな気がするのでやめておいたけどね。

途中で木から降りてきた優子マメは、大樹にもたれかかる様にぬいぐるみを抱いて眠っている。
そんな彼女の寝顔を眺めていると、なんだか見慣れないものを見ているような、なんとも言えない違和感が込み上げてきた。

彼女も15歳当時の姿に戻っているらしいが、そもそも自分が彼女と出会ったのが20歳を過ぎた頃なので、当時の顔は知るはずもない。
当時の写真を見た覚えもないし、見慣れないのは当然だとは思う。

若返るなんて超常現象にあってる時点で、もっと慌ててたり混乱したりした方が良いような気がするが、これもナフタが何か操作をしているからだろうな。
心理操作的な何かをね…

…ま、あまり考えていても、モヤモヤが解決されるわけじゃないしやめておこう…

一度寝ると、優子マメ達は暫く起きないから、ナビさんに周辺警戒をお願いしてから、ナフタに聞かされた情報を少しだけ整理しておこうとストレージリングからノートを取り出す。

この星[グランファミリア]には、8つの大国家と、多くの小国が存在する。
今いるのは、その8大国家の1つである[アルバート王国]の治める土地らしい。
アルバート王国は、絶対君主制で人族主体の王政国家で、建国から15代目に当たる現在の国王は、[サー・ヌル・フリアグネ・アルバート]と言うらしい。
首都(この国では王都と言う)は、ここから南西に結構な距離に進んだ場所にあるみたいで、名前はアルバニア。
今更通いたいとも思わないけど、騎士学校や魔法学校なんかもあるみたい。
因みに権力闘争中で、アルバニアの雰囲気はあまり良くないらしいから、積極的に向かうことはないかな。

小国は単民族のところも多いみたいだけど、多くの大国家は、多種族で構成されている。
唯一の例外がこのアルバート王国で、政治、経済、軍事、全ての統治を人種のみが行なっていて、人種以外では店を持つことすら禁止されている人種至上主義の国で、亜人は普通に奴隷にされて売り買いされる。

他の大きな国は7つ、軍事国家「ヒースロード」、商業国家「クリアカルマン」、魔導国家「レンネルシアス」、亜人国家「リティナルム」、冒険国家「ブレイバー」、海洋国家「アタランティウス」、天空国家「フィースフィア」、他多数の小国については、多過ぎて覚えきれないから、その国に行った時に改めて。
てか、その時々でナビさんに聞かないと、確実に忘れているだろうし、今はいいかと思って記憶に残っていないのが正解かな。

…と、気疲れなのか頭がボーッとする気がするから、これ以上はやめておこうかな…

とりあえず、今すぐ使うことはない知識は頭の隅に置いておいて、テントを設置する木の周りを整備しておこうと思う。

木の周りには、侵入防止の結界兼罠用に、豚男ピッグマン戦で使用した毒蔦を、更に範囲広めのに配置していく。

毒蔦を壁の様に立ち上がらせて、木の周囲に簡単な壁を作ろうかとも思ったけど、明らかに量が足りなくなるから点在させる形にしておく。
あくまで仮拠点だからね。

毒蔦設置時に感じたのは、あれだけ豚男ピッグマンに絡みついていた毒蔦だったが、俺が触る分には棘が刺さることも絡まることもなく動かすことが出来るってことが不思議だった。

作業が楽になったから良かったよ。


安全対策も終わったことだし、そろそろ優子マメを起こして飯にしようと思う。

優子マメ、そろそろ起きろ。」

「んん…あれ?話は終わったの?」

肩を揺すり声をかけると、優子マメは目をこすりながら目を覚ました。

「とっくに終わったよ。もう夜だし、上に登って夕飯にしよう。腹減った。」

「そう?それじゃご飯にしよう。適当で良いなら作るよ?」

「助かる。…とは言っても非常食くらいしか無いけどな。」

そう、ストレージリングに入っているのは、地球から持ってきた缶詰やインスタントの食料くらいで、調理するにしても食材がそもそも無いんだよね。
村に着いたら野菜とかを買っ…

「あ…」

「ん?どうかした?」

「い、いや、なんでもない…それより早く飯にしよう。リングを渡すから先に登って準備していてくれ。」

そう言い、中に入れていたストレージリングを取り出すが…

ズン!

出すと同時に、鈍い音を立てて地面にめり込んでしまう。
そろそろ受け渡しもしんどくなってきているが、それよりもさっき思い出した内容に、結構動揺してしまっているため、それどころではなかった。

「それじゃ、先に登ってるね。」

あまり気にした様子でもなかった優子マメは、落ちたストレージリングを自分のリングに収納し、いまだに眠っているのか動かないぬいぐるみを抱いたまま、スルスルと木の上に登って行った。

一人になり、とりあえずさっき思い出した事をナビさんに聞いてみる事にした。

(ナビさん、この世界のお金を持っていないことに気が付いたんだ。
この先村に着いても、このままだと宿にすら泊まれない気がするんだが、どうしたらいい?)

そう、財布に入っている日本円が異世界で使えるわけもなく、このままだと村に着いても何も買えないどころか、下手すると入村料的なものがあって、村に入ることすらできないかもしれない。
結構なピンチである。

『回答提示。討伐した魔物モンスターの素材を売る、若しくは、地球から持ち込んだ品を商店で売ることで、大陸共通貨を手に入れる事が出来ます。』

ふむ、魔物モンスターの素材は確かに売れるかもな、ゲームなんかでも買い取り対象だったし。
ただ、技術レベルが中世程度らしいから、金属製品や化学繊維ってだけでも貴重品だろうけど、地球から持ち込んだ物を軽々に売っても大丈夫なのか?
なんか、面倒ごとに巻き込まれる未来が見える気がするんだが…

『補足情報。魔物モンスターの素材から売却することを推奨します。』

なんか心を読まれた気がするが、まぁいい。
何にしても、素材化するには解体しないとなんだよな…
…ん?…そうか、ストレージリングの中で解体分離すれば良いのか。

(ナビさん、売却可能な部位は?)

『回答提示。現在ストレージリングに入っている追跡狼チェルフ快速蜘蛛スピーダーについては、ほぼ全身が素材として利用出来るため、そのまま売却可能です。
豚男ピッグマンについては、食用可能な各部位の肉と、骨が素材として売却可能です。
未解体ですと価格が下落する恐れがあります。
各地域によって買取可能な部位は異なるため、商店で確認を提案します。』

金額こそ分からないが、魔物モンスターはそのまま売れるようだ、豚男ピッグマンは肉と骨のみみたいだから、解体しないといけないみたい。
どの部位が売れるか分からないみたいだから、村に着いたらその辺を聞いてから売れそうなものだけを、その場で分離解体して売ろう。

金の算段が出来ると、少し気が楽になった気がした。
地球にいた頃は、幸いなことに裕福ではないが金のことで困った事はなかった。
出来ることなら、こちらでも金で困るようなことにはなりたくないものだ…
いくらになるか分からないし、村に着くまでに、もう少し魔物モンスターを狩っておきたいが…とりあえず飯にするか。

ーーーー
作者です。
説明回になってしまいました。
感想その他、お時間あれば是非。
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