君に恋したあの頃の夏

王太白

文字の大きさ
1 / 1

しおりを挟む
「チー!」というかけ声とともに、牌がカカッと触れ合う音が、広大な空間に響き渡る。ここは小学生麻雀大会の会場である、私立天台小学校の講堂。小学校に麻雀部があるために、今大会の会場に選ばれたのだ。小学生たちは四校ごとに一卓にわけられ、それぞれ25000点から始めて、最終的に最高点になった者が勝ち抜ける方式だ。
 この大会に参加している女の子が、危なげなく初戦を突破した。彼女の名前は秋月悠里。私立天台小学校の五年生で、よく家族と麻雀を打つ。
 そして迎えた二回戦。彼女の場は東!と親!
「私の配牌は! うん! 悪くない!」と思って、思わずニヤリと笑みがこぼれる。龍が昇天するような勢いのまま、一筒を切ると、南家から「立直」と先制立直をかけられて、安牌も何もない状況で、私が打った牌は、二筒! すると南家が「ロン! 立直、一発、タンヤオ、平和、三色、ドラ5、12000」と高い手で和了ってきたの。今度は南家の子が、してやったりと不敵に笑う番だ。これで、私の点棒は45000から33000点になり、和了った南家の点数は37000点とトップ。でも、まだ逆転できる範囲内にはとどめた! 私はまだ余裕の笑みを浮かべている。ここから巻き返し……と思った矢先に下家がツモ和了り、そして、私も負けじと「ロン! タンヤオ、三色、ドラ3」の3900点を下家から和了るが、南家が、「ツモ! 嶺上開花、ドラ2、4000オール」で和了る。
 私は内心、かなり焦っていた。そして、ついに東四局、オーラス、ここで勝てれば三回戦。
(私の配牌は、うん! 悪くないけど、同じ牌来すぎでしょ! まぁ、最悪カンできるけど、嶺上牌引けなかったらまずい!)
 東四局が始まり、三人が捨てた後、私が「カン!」と言って山上から一枚引いてくる。そして、「ツモ! 嶺上開花! タンヤオ三色ドラ3! 70符の二翻は3900オール!」で、二回戦も私のトップで終了した。私はホッと胸をなでおろす。
 そして、三回戦、準決勝も順調に勝ち進み、いよいよ決勝戦! これで勝てれば優勝できる。緊張で胸が高鳴るのを感じる。私は対戦卓に向かい、場所決めを先に済ませる。そして、対戦相手が次々と入ってきて、私は「宜しくお願いします!」と言って、席に座る。
 決勝戦、東一局、私に、とてつもなくいい手牌が入ってきて、私は「立直!」とダブル立直を掛けた。すると!「とある男の子が「ポン!」と鳴いてきて、一発を消してきたの。次に私が打ったのは四筒。すると、またさっき鳴いたばかりの男の子が、「カン!」と言って、嶺上牌を引いた瞬間、「ツモ! 嶺上開花! ドラ6、18000点」と高い手で和了ってきた。私には、龍に虎が牙をむき、かみついたように感じられた。
 その後もその男の子のペースが落ちることなく早くもオーラスに入った。
「これで、何連続和了よ! そろそろおとなしくしてもらうわよ! 立直」と四巡目に入り、ようやく立直できる手牌になり立直をかけた。私の手は三倍満も狙える手牌! 役でいうと国士無双かな! 私の中の龍がうずく。この手、絶対にものにしてみせる。
 そして、下家が、当たり牌である白を出してくれて、「ろ、ロン! 国士無双! 48000!」と言って900まで下げられた点数を48900点まで戻すことができた。その男の子の点数は48700点! 私の中の龍が勝どきをあげる。「か、勝った! ゆ、優勝だー」と喜んでいると、下家の人が「いやー、まさか国士無双の手で和了られるとはね、負けたよ! でも、五連続和了した男の子、あれ、僕の弟なんだよね! ま、何はともあれ、優勝おめでとう! またやろうね」と言ってくれた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...