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第2章 彼女の話は通じない
備え前には憂いあり 2
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話を切り出すべきかどうか、ザイードは考えている。
魔物の国にある「人の国」の情報は少なく、早いに越したことはない。
だが、まだ体も心も、キャスの傷は癒えていないのだ。
紫紺の髪のかかる肩には、3日も目覚められなかったほどの深い傷がある。
加えて、人の国のことを根掘り葉掘り聞くのは、精神的な負担も大きい。
「私に訊きたいことがあるんじゃないですか?」
急に話題を変えたのはキャスのほうだった。
ザイードは紫紅の瞳を見つめる。
助けた当初より、いくぶんか落ち着いてはいても、悲しみが薄らいでいないのが見て取れた。
「あるにはある。だが、無理にとは言わぬ」
「私も考えてたんですよ。もしかすると……人が、私を追って来るかもしれないって……」
「可能性がないとは言えぬのでな」
「でも、それは私が帰るか、投降すればすむ話ですよね」
ザイードは目を細めて、キャスを見る。
アヴィオの言った「捨てて来い」というのと、同じ理屈だ。
戦いを避けるのであれば、キャスを魔物の国から出せばいい。
もっと言えば、人の国に引き渡せばよかった。
「ガリダは1度かかえたものを見捨てはせぬ。ゆえに、そなたも考えるでない」
キャスは、少しだけ眉をひそめる。
困っているように見えたが、すぐに、その表情は消えてしまった。
「それなら、話せることは話します。ここを荒らされるのは、私にとっても本意じゃないので……ただ、私の知っていることは、非常に限られてるんですよ。役に立たないかもしれないし、あまり期待しないでください」
長い間、魔物は人を「略奪者」だと認識している。
壁ができる前だって、わざわざ人の国に出向くことはなかった。
そして、壁ができてからは、一切、関わらずにいる。
すでに2百年以上が経ち、今の「人の国」が、どういう状態になっているのか、まるきり知らない。
「現状、どうなっておるのかを知るだけでも、益となろう。我らは人を知らなさ過ぎるゆえ、新しい情報であれば、どのようなものでも欲しいのだ」
キャスが、小さくうなずいた。
魔力があるので、キャスは「人」ではない。
とはいえ、厳密に言えば「魔物」でもない。
それでも、キャスが「魔物側」に立とうとしているのを感じる。
「あの防御障壁ができて爆発的に人口が増えたことで、人の国には中小の国ができたんです。その後、そういう国々を支配する大きな国ができました。それが帝国と呼ばれてます」
「帝国、とな」
「ヴァルキアス帝国という名で知られ、今は、ほとんどの国を支配してます」
「なぜ支配なぞする? 人という同じ種ではないか」
たとえば、魔物は人ではない。
別の種だ。
理不尽ではあるが、種そのものが違うのだから、支配しようとするのは理解できなくもなかった。
たとえば、魔物とて魔獣を殺す。
場合によっては、連れて来て、労働力として使ったりもする。
だが、それは魔獣が魔物とは異なる「種」だからであり、同じ種であるコルコやルーポに対して支配しようなどとは思わない。
「人の数が多いこともあって、同じ種という認識が薄いんじゃないかと思います。助け合える許容量を越えてるっていうか……豊かな土地もあれば貧しい土地もありますからね」
「食糧の奪い合いをしておるのだな」
「最初は、それに近いものだったはずです。でも、お腹がふくれても、人は様々なことで不満を持ち、欲をいだきます。それが人の性質なのかはわかりませんが」
キャスは淡々と話している。
その口調には棘も感じられない。
なのに「人」を突き放しているように思えた。
(キャスの……大事なものを奪ったのは、人か……しかし……)
それだけではないような気がする。
人に大事な相手を奪われたものは、魔物の国にも大勢いた。
それが今もなお「人」というものに対しての忌避感や憎悪に繋がっている。
けれど、キャスからは、そういうものが、あまり伝わってこない。
「ただ、良くも悪くも帝国が支配をするようになって以降、人の国が平和になったのは間違いありません。国同士の小競り合いはなくなって、治安も良くなったようですからね。生活という意味では、上向いたと言えます」
「1度、大きな犠牲をはらわせることで、先々に生じ得る小さな犠牲をなくしたのであろう。それで支配か……」
キャスの話では、人の国は、中小の国に分かれていた。
国同士の小競り合いが繰り返し起きれば、そのたびに犠牲が出る。
だが、帝国の「支配」の元、秩序が保たれることで、そうした小競り合いは繰り返されなくなったのだろう。
その過程で「大きな犠牲」を伴うのは必然だ。
支配をするには、相手を屈服させる必要がある。
抗がう者が殺されたのは、想像に容易い。
ザイードには「人は平気で命を奪う生き物」だという刷り込みもあった。
魔物同士であれば、言うことを聞かないものがいたとしても殺しはしない。
罪を犯した場合でも、その場で殺すことはなかった。
他種族のものがした行いであれば、その種族に引き渡し、裁かせる。
たいていは、罪を犯したものを閉じ込める場所に放り込んでいた。
水も食糧も与えないため、死ねと言っているも同然だ。
だが、殺すという意味で、直接には手をくだしていない。
「では、その帝国は、人の国の中で強大な力を持っておるはずだ。ゆえに、抗いたくとも抗えぬ。人の平和とは、寂しきものよな」
キャスの言った「人の数が多い」のが、原因なのだ。
魔物にも個体による、考えかたの相違はある。
たった5種族の長で「話し合い」をしていてすら、意見は噛み合わない。
多くの考えが集まれば、必然的に軋轢が生じる。
それを抑えつけるためには「力」が必要だ。
帝国という強大な力が、人の平和を支えている。
その力が、ほかの小競り合いを「抑止」しているからこそ、平穏な暮らしが成り立っているのだ。
理屈はわかる。
だが、寂しいとも思う。
(力で頭を押さえつけておかねば、保てぬ平和か。同じ種だというに、仲良うはできぬのだな。我らは、それほど数が多くない。まだ助け合える範疇におることを感謝せねばならぬ)
ほかの種族が困っているのなら、自分たちの食べる量を減らしても支援する。
同様に自分たちが困っている時は、ほかの種族が助けてくれるからだ。
なにか取り決めをしているのではないが、それが当然とされている。
あの関りの薄いファニ族でさえ、同胞意識を持って行動していた。
「人は抑えつけられていないと、欲を捨てられない生き物なんですよ。でも……それが、悪いことばかりじゃないから……困るわけですけど……」
「良き面もあるのか?」
「たとえば、1日に1個しか採れない果物があったら、どうします?」
「どうすると言うても、採れぬのであれば、しかたなかろう?」
「木には果物がたくさん実っていて、お腹は1個じゃ満たされないのに?」
「採れるのが日に1個であるなら、我慢する。翌日に、また採ればよい」
キャスが、うなずく。
それが「正解」だとでも言うように。
「ですが、人は違うんです。どうすれば、1日に、たくさん採れるかを考えます。それは、自分のためであったり、家族のためであったりもします」
ふむ…と、ザイードは、尾を小さく揺らした。
自分だけであれば、我慢もしかたないと思える。
だが、妻や子がいれば、そういう考えに至るかもしれない。
「だから、人は技術を発展させられたんですよね。もっと良い生活ができるように、もっと快適に暮らせるようにって」
「自分のためだけでなく、ほかのものにとっても、ということか」
「そうです。武器も……殺すためだけじゃくて……守るためでもあって……」
キャスは感情を昂らせることなく、やはり淡々としている。
けれど、瞳が、わすがに揺らいでいた。
つらいことを思い出しているのではなかろうか。
心配にはなるが、キャスにとって「大事」なものでもあると、わかっている。
忘れるなと言ったのは、ザイードなのだ。
キャスが生き続けるための「痛み」だと、知っている。
それがなければ、またキャスは命を放り出してしまう。
生きている「理由」を見つけられなくなる。
(今は生きておるだけでよい。こうして話もできるようになった。いずれ……声を上げて泣くこともできよう)
キャスは、喪失を受け入れられてはいない。
涙を流していても、声が出せないのは、そのせいだ。
感情に体は引きずられているが、心は留まったたまま。
喪った相手を探し続けている。
「でも、私を追ってくる人たちは……守るために武器を使うわけじゃない。なにもしてなくても、攻撃してくる」
キャスは、布団を、ぎゅっと握りしめていた。
なにがあったのかは、まだ話せないようだ。
具体的な部分を飛ばして、結果だけを口にしている。
「人の武器は強い。我らの魔力での攻撃では、太刀打ちができぬほどだ」
「どうにかする方法を考えなきゃ、ですね……それでも、どうにもならなければ……」
キャスが、ザイードの目を見つめ返してきた。
助けた時にはあった、傷つき、すべてを敵だとしているような瞳ではない。
「私が、なんとかします」
きっぱりと言いきるキャスが、心配になる。
どんな手段を使うつもりでいるのかはわからないが、それをすることで、キャス自身も壊れてしまいそうな気がした。
手を伸ばし、キャスの頭を撫でる。
「それは、最後の手といたす。余の許しなく、動いてはならぬぞ。よいな?」
「……わかりました」
いったい、どういう手段なのか。
使わせることがないようにしたいが、最終的にはどうなるかわからないのだ。
ザイードは、近いうちに、キャスの持つ「力」を聞いておくことにする。
たとえ、人を退けられたとしても、キャスが壊れてしまっては意味がない。
魔物の国にある「人の国」の情報は少なく、早いに越したことはない。
だが、まだ体も心も、キャスの傷は癒えていないのだ。
紫紺の髪のかかる肩には、3日も目覚められなかったほどの深い傷がある。
加えて、人の国のことを根掘り葉掘り聞くのは、精神的な負担も大きい。
「私に訊きたいことがあるんじゃないですか?」
急に話題を変えたのはキャスのほうだった。
ザイードは紫紅の瞳を見つめる。
助けた当初より、いくぶんか落ち着いてはいても、悲しみが薄らいでいないのが見て取れた。
「あるにはある。だが、無理にとは言わぬ」
「私も考えてたんですよ。もしかすると……人が、私を追って来るかもしれないって……」
「可能性がないとは言えぬのでな」
「でも、それは私が帰るか、投降すればすむ話ですよね」
ザイードは目を細めて、キャスを見る。
アヴィオの言った「捨てて来い」というのと、同じ理屈だ。
戦いを避けるのであれば、キャスを魔物の国から出せばいい。
もっと言えば、人の国に引き渡せばよかった。
「ガリダは1度かかえたものを見捨てはせぬ。ゆえに、そなたも考えるでない」
キャスは、少しだけ眉をひそめる。
困っているように見えたが、すぐに、その表情は消えてしまった。
「それなら、話せることは話します。ここを荒らされるのは、私にとっても本意じゃないので……ただ、私の知っていることは、非常に限られてるんですよ。役に立たないかもしれないし、あまり期待しないでください」
長い間、魔物は人を「略奪者」だと認識している。
壁ができる前だって、わざわざ人の国に出向くことはなかった。
そして、壁ができてからは、一切、関わらずにいる。
すでに2百年以上が経ち、今の「人の国」が、どういう状態になっているのか、まるきり知らない。
「現状、どうなっておるのかを知るだけでも、益となろう。我らは人を知らなさ過ぎるゆえ、新しい情報であれば、どのようなものでも欲しいのだ」
キャスが、小さくうなずいた。
魔力があるので、キャスは「人」ではない。
とはいえ、厳密に言えば「魔物」でもない。
それでも、キャスが「魔物側」に立とうとしているのを感じる。
「あの防御障壁ができて爆発的に人口が増えたことで、人の国には中小の国ができたんです。その後、そういう国々を支配する大きな国ができました。それが帝国と呼ばれてます」
「帝国、とな」
「ヴァルキアス帝国という名で知られ、今は、ほとんどの国を支配してます」
「なぜ支配なぞする? 人という同じ種ではないか」
たとえば、魔物は人ではない。
別の種だ。
理不尽ではあるが、種そのものが違うのだから、支配しようとするのは理解できなくもなかった。
たとえば、魔物とて魔獣を殺す。
場合によっては、連れて来て、労働力として使ったりもする。
だが、それは魔獣が魔物とは異なる「種」だからであり、同じ種であるコルコやルーポに対して支配しようなどとは思わない。
「人の数が多いこともあって、同じ種という認識が薄いんじゃないかと思います。助け合える許容量を越えてるっていうか……豊かな土地もあれば貧しい土地もありますからね」
「食糧の奪い合いをしておるのだな」
「最初は、それに近いものだったはずです。でも、お腹がふくれても、人は様々なことで不満を持ち、欲をいだきます。それが人の性質なのかはわかりませんが」
キャスは淡々と話している。
その口調には棘も感じられない。
なのに「人」を突き放しているように思えた。
(キャスの……大事なものを奪ったのは、人か……しかし……)
それだけではないような気がする。
人に大事な相手を奪われたものは、魔物の国にも大勢いた。
それが今もなお「人」というものに対しての忌避感や憎悪に繋がっている。
けれど、キャスからは、そういうものが、あまり伝わってこない。
「ただ、良くも悪くも帝国が支配をするようになって以降、人の国が平和になったのは間違いありません。国同士の小競り合いはなくなって、治安も良くなったようですからね。生活という意味では、上向いたと言えます」
「1度、大きな犠牲をはらわせることで、先々に生じ得る小さな犠牲をなくしたのであろう。それで支配か……」
キャスの話では、人の国は、中小の国に分かれていた。
国同士の小競り合いが繰り返し起きれば、そのたびに犠牲が出る。
だが、帝国の「支配」の元、秩序が保たれることで、そうした小競り合いは繰り返されなくなったのだろう。
その過程で「大きな犠牲」を伴うのは必然だ。
支配をするには、相手を屈服させる必要がある。
抗がう者が殺されたのは、想像に容易い。
ザイードには「人は平気で命を奪う生き物」だという刷り込みもあった。
魔物同士であれば、言うことを聞かないものがいたとしても殺しはしない。
罪を犯した場合でも、その場で殺すことはなかった。
他種族のものがした行いであれば、その種族に引き渡し、裁かせる。
たいていは、罪を犯したものを閉じ込める場所に放り込んでいた。
水も食糧も与えないため、死ねと言っているも同然だ。
だが、殺すという意味で、直接には手をくだしていない。
「では、その帝国は、人の国の中で強大な力を持っておるはずだ。ゆえに、抗いたくとも抗えぬ。人の平和とは、寂しきものよな」
キャスの言った「人の数が多い」のが、原因なのだ。
魔物にも個体による、考えかたの相違はある。
たった5種族の長で「話し合い」をしていてすら、意見は噛み合わない。
多くの考えが集まれば、必然的に軋轢が生じる。
それを抑えつけるためには「力」が必要だ。
帝国という強大な力が、人の平和を支えている。
その力が、ほかの小競り合いを「抑止」しているからこそ、平穏な暮らしが成り立っているのだ。
理屈はわかる。
だが、寂しいとも思う。
(力で頭を押さえつけておかねば、保てぬ平和か。同じ種だというに、仲良うはできぬのだな。我らは、それほど数が多くない。まだ助け合える範疇におることを感謝せねばならぬ)
ほかの種族が困っているのなら、自分たちの食べる量を減らしても支援する。
同様に自分たちが困っている時は、ほかの種族が助けてくれるからだ。
なにか取り決めをしているのではないが、それが当然とされている。
あの関りの薄いファニ族でさえ、同胞意識を持って行動していた。
「人は抑えつけられていないと、欲を捨てられない生き物なんですよ。でも……それが、悪いことばかりじゃないから……困るわけですけど……」
「良き面もあるのか?」
「たとえば、1日に1個しか採れない果物があったら、どうします?」
「どうすると言うても、採れぬのであれば、しかたなかろう?」
「木には果物がたくさん実っていて、お腹は1個じゃ満たされないのに?」
「採れるのが日に1個であるなら、我慢する。翌日に、また採ればよい」
キャスが、うなずく。
それが「正解」だとでも言うように。
「ですが、人は違うんです。どうすれば、1日に、たくさん採れるかを考えます。それは、自分のためであったり、家族のためであったりもします」
ふむ…と、ザイードは、尾を小さく揺らした。
自分だけであれば、我慢もしかたないと思える。
だが、妻や子がいれば、そういう考えに至るかもしれない。
「だから、人は技術を発展させられたんですよね。もっと良い生活ができるように、もっと快適に暮らせるようにって」
「自分のためだけでなく、ほかのものにとっても、ということか」
「そうです。武器も……殺すためだけじゃくて……守るためでもあって……」
キャスは感情を昂らせることなく、やはり淡々としている。
けれど、瞳が、わすがに揺らいでいた。
つらいことを思い出しているのではなかろうか。
心配にはなるが、キャスにとって「大事」なものでもあると、わかっている。
忘れるなと言ったのは、ザイードなのだ。
キャスが生き続けるための「痛み」だと、知っている。
それがなければ、またキャスは命を放り出してしまう。
生きている「理由」を見つけられなくなる。
(今は生きておるだけでよい。こうして話もできるようになった。いずれ……声を上げて泣くこともできよう)
キャスは、喪失を受け入れられてはいない。
涙を流していても、声が出せないのは、そのせいだ。
感情に体は引きずられているが、心は留まったたまま。
喪った相手を探し続けている。
「でも、私を追ってくる人たちは……守るために武器を使うわけじゃない。なにもしてなくても、攻撃してくる」
キャスは、布団を、ぎゅっと握りしめていた。
なにがあったのかは、まだ話せないようだ。
具体的な部分を飛ばして、結果だけを口にしている。
「人の武器は強い。我らの魔力での攻撃では、太刀打ちができぬほどだ」
「どうにかする方法を考えなきゃ、ですね……それでも、どうにもならなければ……」
キャスが、ザイードの目を見つめ返してきた。
助けた時にはあった、傷つき、すべてを敵だとしているような瞳ではない。
「私が、なんとかします」
きっぱりと言いきるキャスが、心配になる。
どんな手段を使うつもりでいるのかはわからないが、それをすることで、キャス自身も壊れてしまいそうな気がした。
手を伸ばし、キャスの頭を撫でる。
「それは、最後の手といたす。余の許しなく、動いてはならぬぞ。よいな?」
「……わかりました」
いったい、どういう手段なのか。
使わせることがないようにしたいが、最終的にはどうなるかわからないのだ。
ザイードは、近いうちに、キャスの持つ「力」を聞いておくことにする。
たとえ、人を退けられたとしても、キャスが壊れてしまっては意味がない。
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