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晴翔
妄執と幼い独占欲は変化する。
3年になる前の春休みもいつものように郁哉を呼び出してはその身体を弄んだ。すっかり馴染んだ身体は簡単に俺を受け入れるし、多少無理をしても俺に組み敷かれて甘い声を出す郁哉だってそれなりに楽しんでいるのだろう。
だけどそれが腹立たしいと思ってしまった。
呼び出されればノコノコと部屋にやってきて簡単にベッドに登る。早く挿れろとでも言うように用意された胎は気持ちは良いけれど、ただそれだけ。
面白くなくて俺の代わりに玩具を使っても甘い声を出す郁哉に段々と冷めていく。
「ねぇ、大学って決めた?」
セックスの後でベッドに横になったまま郁哉が聞いてくる。高校生になってもあまり身長の伸びなかった郁哉は運動部で鍛えた俺を受け入れた後、しばらくは動けないようだ。
「郁哉は?」
「僕はもう決めたよ」
そう言って答えた大学はうちの高校からも進学率の高い学校。上位の成績の奴らが大抵選ぶそこは、通う事もできるけれど家を出る口実にはちょうど良い距離。
親の目を逃れ、それでも困った時にはすぐに助けを求める事ができる、そんな場所。
「俺も一応そこかな、大学も一緒に行けると良いな」
そう答えれば疲れの見える顔に笑みを浮かべる。口に出すことはないけれど、同じ大学を受ける事を喜んでいるのが伝わってくるけれど、俺の気持ちは郁哉が思っているような気持ちじゃない。
同じ場所なら入試対策だって同じだから利用しない手はない、そんな風に思っているだなんて郁哉は気付いてもいないだろう。
「そっか、学部は?」
「成績次第かな。
やりたい事とか思いつかないけど就職しやすいとこ」
「少し調べてみるよ」
この時に言った大学を選ばないなんて、そんな事があるわけがないと思っていた。郁哉がいなくなる事なんて想像したこともなかった。
「調べてみる」と言った言葉を違えるようなことはないだろうと勝手に決めつけていた。
だって、俺たちは幼馴染なのだからその関係が途切れる事なんて思ってもみなかった。
そんな風に郁哉を大切にしたいという想いが全く違う形になってしまっていたのに自分の欲を満たすために、自分の将来のために利用していた事に少しだけ後ろめたさを感じていたのか、3年のクラス替えで離れた時には正直ホッとした。
常に郁哉の存在を感じながら過ごす学校生活は息苦しかったから。
それが俺たちの関係を断ち切るきっかけになるなんて知らず、開放感のある学校生活を楽しんだ。
「ねぇ、晴翔と郁哉って付き合ってるの?」
そう聞いてきたのは遊星だった。幼稚園から一緒だった郁哉と比べれば小学校から一緒だった遊星の方が付き合いは短いけれど、お互いに面識はあるし仲が悪いわけじゃない。ただ、俺が郁哉に執着していたせいで郁哉以外に幼馴染と呼べるような相手がいないだけ。
「付き合ってるとか、そんな訳ない。
ただの幼馴染だし」
無意識に漏れた本音に自分でも驚く。
あんなに好きだと思っていたのに、あんなに大切にしたいと思っていたのに、それなのに今は〈幼馴染〉だからと言う理由で一緒にいるのだと自覚する。
幼馴染だからお互いの欲望を満たすためにセックスをして、郁哉の欲を満たした代償に俺の成績を保つ手助けをしてもらう。
郁哉だって俺の為のノートじゃなくて自分の復習のためのノートだと言っていたし、それならばwin-winじゃないか。
「幼馴染にしては仲良さ過ぎない?
昔からテスト勉強一緒にしようって声かけても2人だけの世界だし」
「まぁ、同じマンションだったし。
他の奴らと一緒だとつい他のことしたくなるし」
「本当にそれだけ?」
遊星の言葉に〈何か〉気付かれているのかと不安になるけれど平静を装う。大丈夫、仲がいいのは元々だし学校ではベタベタしていたわけじゃない。
幼馴染だからで誤魔化せないような行動はとっていないはずだ。
「…俺が部活に集中できるように勉強見てもらってたから。
郁哉に教えてもらわないと成績落ちるだなんて、知られたくないだろ?」
苦笑いと共にそう告げれば遊星は気不味そうな顔を見せる。自分の苦手を告げる事に抵抗はあったけれど、自分の弱みを見せた事で相手に取り入る事はできるだろう。
「でも晴翔だってそこそこ成績良かったよね?」
「でもここに入れたのは郁哉のおかげかな」
「何それ、郁哉ってそんな事言う奴なの?」
「何が?」
「恩着せがましいって言うか、郁哉が2人じゃないとダメとか言うとか」
俺の言葉を俺に都合がいいように解釈した遊星はそんな風に憤る。勉強を教えて欲しいと言ったのは俺だし、郁哉はちゃんと部活のことだって心配してくれていた。だけど、郁哉との関係を疎ましく思い出していた俺はその言葉に乗ってしまった。
「まぁ、郁哉ってあんな感じだから弄られやすいせいで大人数で何かしたがらないし。
復習も兼ねてるからってノート渡されれば断れないよな」
俺の言葉は嘘ばかりだ。
大人数を嫌ったのは俺だし、郁哉のノートが無くなって困るのは俺。
嘘つきな俺は遊星が何を考えているのかなんて気付かなかったし、この会話の意味にも気づいていなかった。
少しずつ広がる人間関係。
今まで郁哉を誰にも取られたくないと過ごしてきた事を後悔したくなるほど充実した毎日。
部活の仲間とはそれなりに仲良くしていたけれど、周りを見れば郁哉以上に魅力的な奴は山ほどいた。
そして気付く自分の気持ち。
郁哉に執着して、郁哉を大切にしたいと想い、郁哉の全てを手に入れて満足していた気持ちは偽物だったと。
自分よりも小さくて、自分よりも頼りなくて、自分のすぐそばにある玩具を誰かに奪われたくない。そんな幼い独占欲を満たすためだけに自分はどれだけの時間を無駄にしてきたのだろう。
あの春休み以降、長期休みは部活と郁哉とのセックスに明け暮れていた。親の不在をいい事に郁哉を抱き、郁哉を弄び、郁哉を囲い込んだ。
郁哉は恋愛的に俺のことが好きだったわけじゃないだろう。だけど俺の気持ちを知り、俺に流され、俺に絆された。
きっと今の郁哉は恋愛的に俺を慕っている。
素直にベッドに登り、素直に身体を開き、俺のすることに応えて甘い声を漏らす。俺だけの、俺にしか見せない郁哉のことを…今はもう好きじゃない。
「何、そのノートって」
「郁哉がそれぞれの科目の要点まとめて、テストに出そうなところをチェックしたヤツ。
確かによく当たるし、重宝はしてるんだけどね」
「…なんか、やな感じ」
「頭良いから悪意とかはないんじゃない?それのおかげで成績キープできてるんだし」
「オレ、勉強教えてやろうか?」
突然言われた言葉が理解できなかった。
「郁哉みたいにトップキープしてるわけじゃないけどそれなりに上位にはいるし、一緒に勉強してお互い補うのも実力付くよ。
晴翔、理科と国語得意でしょ?」
「なんで知ってるの?」
「実験好きみたいだし、運動部のくせによく本読んでるし」
「本当、なんで知ってるの?」
「だって、オレら小学校から一緒だし」
苦笑いと共に告げられた言葉は「何回も同じクラスになってるし」と言われた事で自分の視野の狭さを痛感する。
周りには見えていて俺には見えていなかった沢山のこと。
「とりあえず中間の勉強、一緒にしてみる?」
その言葉に頷いたのは良かったのか、悪かったのか…。
自分の本心に気付いてしまった俺は、郁哉の気持ちなんて全く考えたりしなかった。遊星の手を取り、周りに目を向け、少しずつ郁哉から距離を取ることは正しいとすら思っていた。
決別の始まり。
今までだってテスト週間以外は登下校は別だったし、クラスが違えば弁当を一緒に食べることもない。聞いたことは無かったけれど、郁哉だってクラスの誰かと食べているのだろう。
クラスが違えば部活をしていない郁哉と顔を合わせることも稀だし、少し時間をずらせばマンションの廊下やエレベーターで鉢合わせすることもない。
塾に行って、その帰りに食材を買ってくるようでコンビニで会うこともない。
コンビニの食事に飽きたと言って、簡単なものなら作って食べた方が美味しいと言ったのはいつだったのか。
俺の部屋に来ない日は家で簡単な食事を作っているなんて言っていたけれど、作って欲しいと言っても「人の家のキッチンは勝手に使えないよ」と断られてしまった。
正論過ぎて面白く無かったけれど、それを食べるためだけに郁哉の部屋に行く気はない。何も置いていない郁哉の部屋では組み伏せる事ができないから。
結局は身体だけの関係だったのだと今更ながらに気付いてしまう。
本当に郁哉のことが好きなら「部屋に行くから食べさせて」という言葉が出ただろう。それなのにセックスできないからと言う理由で手料理を諦めるくらいに気持ちが無くなっていたのだ、きっと。
もしも高校に入る直前の春休みに郁哉が料理をすると知ったら無理矢理にでも部屋に押しかけて、手料理を堪能しただろう。
それが美味しくても、不味くても、笑い合って腹を満たして「俺が片付けするよ」何て言っていたかもしれない。
あの時に郁哉に告白なんてしなければ。
あの時に郁哉を抱かなければ。
あの時に、
あの時に、
あの時に。
全て無かったことにすればいい。
きっとまだ遅くないはずだ。
少しずつ少しずつ距離を置いて、少しずつ少しずつただの幼馴染に戻ればいい。
自分の気持ちを押し付けて郁哉に好きななってもらったけれど、今度は自分への気持ちを無かったことにさせればいいんだ。
ただの幼馴染だったらたまに会って挨拶をして、少しだけ言葉を交わす関係に戻ればいい。
それは名案に思えた。
身勝手な俺の押し付けのせいで郁哉に会えなくなる日が来るだなんて、そんなこと考えもしなかった。
俺は何て身勝手だったのだろう…。
だけどそれが腹立たしいと思ってしまった。
呼び出されればノコノコと部屋にやってきて簡単にベッドに登る。早く挿れろとでも言うように用意された胎は気持ちは良いけれど、ただそれだけ。
面白くなくて俺の代わりに玩具を使っても甘い声を出す郁哉に段々と冷めていく。
「ねぇ、大学って決めた?」
セックスの後でベッドに横になったまま郁哉が聞いてくる。高校生になってもあまり身長の伸びなかった郁哉は運動部で鍛えた俺を受け入れた後、しばらくは動けないようだ。
「郁哉は?」
「僕はもう決めたよ」
そう言って答えた大学はうちの高校からも進学率の高い学校。上位の成績の奴らが大抵選ぶそこは、通う事もできるけれど家を出る口実にはちょうど良い距離。
親の目を逃れ、それでも困った時にはすぐに助けを求める事ができる、そんな場所。
「俺も一応そこかな、大学も一緒に行けると良いな」
そう答えれば疲れの見える顔に笑みを浮かべる。口に出すことはないけれど、同じ大学を受ける事を喜んでいるのが伝わってくるけれど、俺の気持ちは郁哉が思っているような気持ちじゃない。
同じ場所なら入試対策だって同じだから利用しない手はない、そんな風に思っているだなんて郁哉は気付いてもいないだろう。
「そっか、学部は?」
「成績次第かな。
やりたい事とか思いつかないけど就職しやすいとこ」
「少し調べてみるよ」
この時に言った大学を選ばないなんて、そんな事があるわけがないと思っていた。郁哉がいなくなる事なんて想像したこともなかった。
「調べてみる」と言った言葉を違えるようなことはないだろうと勝手に決めつけていた。
だって、俺たちは幼馴染なのだからその関係が途切れる事なんて思ってもみなかった。
そんな風に郁哉を大切にしたいという想いが全く違う形になってしまっていたのに自分の欲を満たすために、自分の将来のために利用していた事に少しだけ後ろめたさを感じていたのか、3年のクラス替えで離れた時には正直ホッとした。
常に郁哉の存在を感じながら過ごす学校生活は息苦しかったから。
それが俺たちの関係を断ち切るきっかけになるなんて知らず、開放感のある学校生活を楽しんだ。
「ねぇ、晴翔と郁哉って付き合ってるの?」
そう聞いてきたのは遊星だった。幼稚園から一緒だった郁哉と比べれば小学校から一緒だった遊星の方が付き合いは短いけれど、お互いに面識はあるし仲が悪いわけじゃない。ただ、俺が郁哉に執着していたせいで郁哉以外に幼馴染と呼べるような相手がいないだけ。
「付き合ってるとか、そんな訳ない。
ただの幼馴染だし」
無意識に漏れた本音に自分でも驚く。
あんなに好きだと思っていたのに、あんなに大切にしたいと思っていたのに、それなのに今は〈幼馴染〉だからと言う理由で一緒にいるのだと自覚する。
幼馴染だからお互いの欲望を満たすためにセックスをして、郁哉の欲を満たした代償に俺の成績を保つ手助けをしてもらう。
郁哉だって俺の為のノートじゃなくて自分の復習のためのノートだと言っていたし、それならばwin-winじゃないか。
「幼馴染にしては仲良さ過ぎない?
昔からテスト勉強一緒にしようって声かけても2人だけの世界だし」
「まぁ、同じマンションだったし。
他の奴らと一緒だとつい他のことしたくなるし」
「本当にそれだけ?」
遊星の言葉に〈何か〉気付かれているのかと不安になるけれど平静を装う。大丈夫、仲がいいのは元々だし学校ではベタベタしていたわけじゃない。
幼馴染だからで誤魔化せないような行動はとっていないはずだ。
「…俺が部活に集中できるように勉強見てもらってたから。
郁哉に教えてもらわないと成績落ちるだなんて、知られたくないだろ?」
苦笑いと共にそう告げれば遊星は気不味そうな顔を見せる。自分の苦手を告げる事に抵抗はあったけれど、自分の弱みを見せた事で相手に取り入る事はできるだろう。
「でも晴翔だってそこそこ成績良かったよね?」
「でもここに入れたのは郁哉のおかげかな」
「何それ、郁哉ってそんな事言う奴なの?」
「何が?」
「恩着せがましいって言うか、郁哉が2人じゃないとダメとか言うとか」
俺の言葉を俺に都合がいいように解釈した遊星はそんな風に憤る。勉強を教えて欲しいと言ったのは俺だし、郁哉はちゃんと部活のことだって心配してくれていた。だけど、郁哉との関係を疎ましく思い出していた俺はその言葉に乗ってしまった。
「まぁ、郁哉ってあんな感じだから弄られやすいせいで大人数で何かしたがらないし。
復習も兼ねてるからってノート渡されれば断れないよな」
俺の言葉は嘘ばかりだ。
大人数を嫌ったのは俺だし、郁哉のノートが無くなって困るのは俺。
嘘つきな俺は遊星が何を考えているのかなんて気付かなかったし、この会話の意味にも気づいていなかった。
少しずつ広がる人間関係。
今まで郁哉を誰にも取られたくないと過ごしてきた事を後悔したくなるほど充実した毎日。
部活の仲間とはそれなりに仲良くしていたけれど、周りを見れば郁哉以上に魅力的な奴は山ほどいた。
そして気付く自分の気持ち。
郁哉に執着して、郁哉を大切にしたいと想い、郁哉の全てを手に入れて満足していた気持ちは偽物だったと。
自分よりも小さくて、自分よりも頼りなくて、自分のすぐそばにある玩具を誰かに奪われたくない。そんな幼い独占欲を満たすためだけに自分はどれだけの時間を無駄にしてきたのだろう。
あの春休み以降、長期休みは部活と郁哉とのセックスに明け暮れていた。親の不在をいい事に郁哉を抱き、郁哉を弄び、郁哉を囲い込んだ。
郁哉は恋愛的に俺のことが好きだったわけじゃないだろう。だけど俺の気持ちを知り、俺に流され、俺に絆された。
きっと今の郁哉は恋愛的に俺を慕っている。
素直にベッドに登り、素直に身体を開き、俺のすることに応えて甘い声を漏らす。俺だけの、俺にしか見せない郁哉のことを…今はもう好きじゃない。
「何、そのノートって」
「郁哉がそれぞれの科目の要点まとめて、テストに出そうなところをチェックしたヤツ。
確かによく当たるし、重宝はしてるんだけどね」
「…なんか、やな感じ」
「頭良いから悪意とかはないんじゃない?それのおかげで成績キープできてるんだし」
「オレ、勉強教えてやろうか?」
突然言われた言葉が理解できなかった。
「郁哉みたいにトップキープしてるわけじゃないけどそれなりに上位にはいるし、一緒に勉強してお互い補うのも実力付くよ。
晴翔、理科と国語得意でしょ?」
「なんで知ってるの?」
「実験好きみたいだし、運動部のくせによく本読んでるし」
「本当、なんで知ってるの?」
「だって、オレら小学校から一緒だし」
苦笑いと共に告げられた言葉は「何回も同じクラスになってるし」と言われた事で自分の視野の狭さを痛感する。
周りには見えていて俺には見えていなかった沢山のこと。
「とりあえず中間の勉強、一緒にしてみる?」
その言葉に頷いたのは良かったのか、悪かったのか…。
自分の本心に気付いてしまった俺は、郁哉の気持ちなんて全く考えたりしなかった。遊星の手を取り、周りに目を向け、少しずつ郁哉から距離を取ることは正しいとすら思っていた。
決別の始まり。
今までだってテスト週間以外は登下校は別だったし、クラスが違えば弁当を一緒に食べることもない。聞いたことは無かったけれど、郁哉だってクラスの誰かと食べているのだろう。
クラスが違えば部活をしていない郁哉と顔を合わせることも稀だし、少し時間をずらせばマンションの廊下やエレベーターで鉢合わせすることもない。
塾に行って、その帰りに食材を買ってくるようでコンビニで会うこともない。
コンビニの食事に飽きたと言って、簡単なものなら作って食べた方が美味しいと言ったのはいつだったのか。
俺の部屋に来ない日は家で簡単な食事を作っているなんて言っていたけれど、作って欲しいと言っても「人の家のキッチンは勝手に使えないよ」と断られてしまった。
正論過ぎて面白く無かったけれど、それを食べるためだけに郁哉の部屋に行く気はない。何も置いていない郁哉の部屋では組み伏せる事ができないから。
結局は身体だけの関係だったのだと今更ながらに気付いてしまう。
本当に郁哉のことが好きなら「部屋に行くから食べさせて」という言葉が出ただろう。それなのにセックスできないからと言う理由で手料理を諦めるくらいに気持ちが無くなっていたのだ、きっと。
もしも高校に入る直前の春休みに郁哉が料理をすると知ったら無理矢理にでも部屋に押しかけて、手料理を堪能しただろう。
それが美味しくても、不味くても、笑い合って腹を満たして「俺が片付けするよ」何て言っていたかもしれない。
あの時に郁哉に告白なんてしなければ。
あの時に郁哉を抱かなければ。
あの時に、
あの時に、
あの時に。
全て無かったことにすればいい。
きっとまだ遅くないはずだ。
少しずつ少しずつ距離を置いて、少しずつ少しずつただの幼馴染に戻ればいい。
自分の気持ちを押し付けて郁哉に好きななってもらったけれど、今度は自分への気持ちを無かったことにさせればいいんだ。
ただの幼馴染だったらたまに会って挨拶をして、少しだけ言葉を交わす関係に戻ればいい。
それは名案に思えた。
身勝手な俺の押し付けのせいで郁哉に会えなくなる日が来るだなんて、そんなこと考えもしなかった。
俺は何て身勝手だったのだろう…。
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