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義兄 4
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毎日は変わりなく過ぎていく。
学生生活を無難に送り、冬の試験が終わったのをきっかけにアルバイトを始めた。十分に仕送りはもらってきたけれど〈社会勉強のため〉と言えば反対されることもない。
これは春休みに帰らない事への言い訳に使うために敢えて決めた事だけど、そんな意図には誰も気付く訳がない。
帰ればきっと進路のことを相談してくるだろう渉に対するお仕置きだ。
悪い虫と過ごした時間がこんなことで許せる訳ではないけれど、こうやって少しずつお仕置きをしていけば俺の気も晴れるだろう。
父の話によると渉は就職するとの考えは変えていないようで、渉のタブレット学習を管理している俺からしたら進学を拒む理由がわからないのだけど渉には渉の考えがあるのだろう。
父や義母から渉の動向を聞きながらどうやって渉を引き寄せようか画策する。
そろそろ揺さぶりをかけてみようかと夏休みには実家に顔を出した。
「出校日?」
就職見学に行った事を聞いていたけれどわざと聞いてみる。
渉の口から就職見学のことを話させて父が進学させたがっていたことを敢えて伝える。
「でも3人で話したよ?」
「そっか。
渉の人生だから自分で決めたならそれでいいと思うけど就職したらここから通うの?」
あえて突き放してから再び質問をしてみる。
「まだ決めてないけど職場の場所にもよるけど祖父ちゃんとこや父さんのとこでも良いかな、とも思ってるけどね」
「俺の部屋は?」
突き放しておいてその腕を引いてみる。言うなれば〈飴と鞭〉だ。
その選択肢はなかったとしどろもどろで答える渉に敢えて残念そうなそぶりで伝えたのは彼にとって甘い飴玉。
「俺の部屋も選択肢に入れておいてよ」
少し目を逸らし頷いた渉の目に悦びが隠れていたのは気のせいじゃない。
「進学は全く考えてない?」
「だね」
その会話が効いたのか、夏休みが終わるとすぐに渉が進学する事になりそうだと義母から連絡をもらった。
「真秋さんの部屋に渉が行ってもご迷惑じゃないかしら?」
答えは当然決まっている。
「渉が俺の部屋に来たら父さんと義母さん、新婚気分満喫できるね」
そう言って笑ったのは渉に父と義母の仲を邪魔していると気にする気持ちを植え付けるのと、俺との生活で新婚生活を意識させるため。
そして、また次の段階へと移っていく。
「兄さんさ、僕が一緒だと困らない?」
「何で?」
「彼女とか、呼べなくなるんじゃないの?」
「別に、部屋でしか会えないわけじゃないし。渉こそ、彼女大丈夫?渉が一人暮らしするの楽しみにしてなかった?」
別れていると知っているのにわざと聞いてみる。
「とっくに別れたし。兄さんにも言ったじゃん」
そう言って拗ねる様子を見て笑い、大学生になればまた出会いがあると〈彼女はいるのか〉という質問にYESともNOとも答えず煙に巻く。
特別彼女が欲しいわけでもない俺は、お互いに割り切った関係の相手を作りお互いに利用している。
渉との事ははっきりと話したわけではないけれど、やりたいことがあるので協力して欲しいと話しておいたため着々と準備は進んでいる。
俺のそんな思惑も知らず、渉は無事に指定校推薦で進学を決めたものの、誰に何を聞いたのか〈学力不足〉が心配だと相談されたのでタブレット学習のことを教える。
タブレットの管理は俺がしていたため進学を見据えたカリキュラムにしてあったこと。その成果は毎回チェックしていたことを告げる。
万が一入学してから困るようなことがあればちゃんと教えるとも言っておいた。
専門的なことを教えるのは無理だけど、基礎学力を上げる手助けは十分できる。
全てが順調に進み、卒業式翌日には渉が引っ越してきた。
さて、仕上げを始めよう。
はじめのうちは渉を気遣い2人で過ごしたものの、慣れてきた頃を見計らって外泊をするようにした。
「食事も作れるようになったし、1人で留守番大丈夫?」
と心配すれば「もう大学生だし」と不満気な顔を見せる。
これで俺が外泊することを了承したことになる。
渉は気付いていないのだ。
自分が独りに慣れていないことに。
俺だって、今でこそ平気だけれど1人で夜を過ごすのは苦手だった。
はじめて父が出張で家を空けた時はあの家で独り、身の置き場を探して家中を歩き回ったのだった。
そして見つけた場所は仏壇の前で、部屋から毛布を引っ張り出してきてその前で丸まって寝たんだ。
母が絶望する理由を作ったのは俺だけど、別に母が嫌いだったわけではない。
ただ、母以上に〈あの子〉に執着しただけで母が母であることに変わりはないのだからその存在に縋るのは悪いことではないだろう。
ただ子供は案外その環境に慣れるもので、出張が何度か続けばはじめの頃の焦燥は徐々に薄れて行った。
だけど大人になってから急に孤独を味わったらそれに耐えるのにどれだけかかるのだろう?
そんな悪意を持って外泊を増やしていく。
はじめは週に1~2回。
渉が寂しさを忘れた頃に外出することを繰り返し、渉の変化を見守る。
これは、俺以外の人間に身体を許した事へのお仕置きだから仕方ないのだ。
「渉、痩せた?」
頃合いを見て声をかけてみる。
俺が外泊をすると食欲がなくなるのか、外泊のあとは食材がほとんど減っていないことに気づいたのは梅雨入りした頃。
「痩せたじゃなくて締まったって言ってよ。筋トレの成果かな?」
無理しているのがバレバレの返事だけどそれを信じたふりをして話を続ける。
「授業は大丈夫?講義についていける?」
「大丈夫だよ、今のところ問題ない」
弱音を吐けば許してもいいかと思ったけれど、それでも強がる渉が愛おしくて次の段階に進むことに決める。
「じゃあ、俺は今日も泊まってくるから明日の朝戸締り忘れないようにな」
心配しているそぶりを見せるながらもその変化に目を瞑り、着替えを見せつけるようにして家を出る。
はじめは不定期にしていた外泊は、金曜日に固定した。
俺がいなくなると無気力になるようで学校を休みがちになっているけれど、金曜日には必須科目は入ってなかったはずだ。
金曜日の朝に外泊を告げ、日曜日に帰宅する事を繰り返し渉の変化を見守る。
徐々に精神の均衡を崩している渉はあの時の母を見ているようで、匙加減を間違えないようにその様子によっては外泊を取りやめる。
そんな時の渉は俺にべったりで、多少過剰なスキンシップをしても嬉しそうにしているのが可愛い。
ソファーに座り「癒して」とその身体を膝の間に座らせる。
元々細いくせに週末に食事を抜くせいで骨張ってきた身体は力を入れたら折れてしまいそうで、俺の情欲を駆り立てる。
考える事をやめてしまったのだろうか、渉の背中に情欲を主張したそれが当たっても何の反応もない。
首筋に唇を押し当てても何の反応も無く、悪戯に指を這わせても身じろぎひとつしない。
可愛い。
可愛い。
可愛い。
そんな風に週末を過ごすと月曜日には登校する元気が出るようで、朝からしっかりと食べて楽しそうに登校していく。
だけど金曜日が近づくと徐々に元気が無くなる様は眼福でしかない。
甘やかした次の週は鞭の出番で金曜日の朝には外泊を伝え、家を出る。
この頃は帰宅する時間や曜日を気まぐれに決め、泊まると言っておいて金曜日に帰ってみたり、日曜日の深夜まで帰らなかったりして渉の気持ちを弄んだ。
帰るはずのない日に帰宅し、そっと渉の部屋を覗き布団に包まり身じろぎしない姿を観察する。
じっとみていると気配で気づくのだろうか、布団から顔を出して目だけ動かし俺の姿を見つけるとその目に正気が戻るのが分かる。
我慢しないで早く俺を求めればいいのに。
俺のことが欲しいとその口で言ってしまえばいいのに。
「ぼくをすてないで」
そんな事を何度か繰り返したある日、いつものように覗く俺に気付き発した弱々しいその声に全身全霊で歓喜するのを止めることはできなかった。
堕ちた。
堕ちてきた。
〈あの子〉はもう俺のものだ。
これから始まる日々は俺と〈あの子〉の幸せの記録。
さあ、2人だけの世界の始まりだ。
学生生活を無難に送り、冬の試験が終わったのをきっかけにアルバイトを始めた。十分に仕送りはもらってきたけれど〈社会勉強のため〉と言えば反対されることもない。
これは春休みに帰らない事への言い訳に使うために敢えて決めた事だけど、そんな意図には誰も気付く訳がない。
帰ればきっと進路のことを相談してくるだろう渉に対するお仕置きだ。
悪い虫と過ごした時間がこんなことで許せる訳ではないけれど、こうやって少しずつお仕置きをしていけば俺の気も晴れるだろう。
父の話によると渉は就職するとの考えは変えていないようで、渉のタブレット学習を管理している俺からしたら進学を拒む理由がわからないのだけど渉には渉の考えがあるのだろう。
父や義母から渉の動向を聞きながらどうやって渉を引き寄せようか画策する。
そろそろ揺さぶりをかけてみようかと夏休みには実家に顔を出した。
「出校日?」
就職見学に行った事を聞いていたけれどわざと聞いてみる。
渉の口から就職見学のことを話させて父が進学させたがっていたことを敢えて伝える。
「でも3人で話したよ?」
「そっか。
渉の人生だから自分で決めたならそれでいいと思うけど就職したらここから通うの?」
あえて突き放してから再び質問をしてみる。
「まだ決めてないけど職場の場所にもよるけど祖父ちゃんとこや父さんのとこでも良いかな、とも思ってるけどね」
「俺の部屋は?」
突き放しておいてその腕を引いてみる。言うなれば〈飴と鞭〉だ。
その選択肢はなかったとしどろもどろで答える渉に敢えて残念そうなそぶりで伝えたのは彼にとって甘い飴玉。
「俺の部屋も選択肢に入れておいてよ」
少し目を逸らし頷いた渉の目に悦びが隠れていたのは気のせいじゃない。
「進学は全く考えてない?」
「だね」
その会話が効いたのか、夏休みが終わるとすぐに渉が進学する事になりそうだと義母から連絡をもらった。
「真秋さんの部屋に渉が行ってもご迷惑じゃないかしら?」
答えは当然決まっている。
「渉が俺の部屋に来たら父さんと義母さん、新婚気分満喫できるね」
そう言って笑ったのは渉に父と義母の仲を邪魔していると気にする気持ちを植え付けるのと、俺との生活で新婚生活を意識させるため。
そして、また次の段階へと移っていく。
「兄さんさ、僕が一緒だと困らない?」
「何で?」
「彼女とか、呼べなくなるんじゃないの?」
「別に、部屋でしか会えないわけじゃないし。渉こそ、彼女大丈夫?渉が一人暮らしするの楽しみにしてなかった?」
別れていると知っているのにわざと聞いてみる。
「とっくに別れたし。兄さんにも言ったじゃん」
そう言って拗ねる様子を見て笑い、大学生になればまた出会いがあると〈彼女はいるのか〉という質問にYESともNOとも答えず煙に巻く。
特別彼女が欲しいわけでもない俺は、お互いに割り切った関係の相手を作りお互いに利用している。
渉との事ははっきりと話したわけではないけれど、やりたいことがあるので協力して欲しいと話しておいたため着々と準備は進んでいる。
俺のそんな思惑も知らず、渉は無事に指定校推薦で進学を決めたものの、誰に何を聞いたのか〈学力不足〉が心配だと相談されたのでタブレット学習のことを教える。
タブレットの管理は俺がしていたため進学を見据えたカリキュラムにしてあったこと。その成果は毎回チェックしていたことを告げる。
万が一入学してから困るようなことがあればちゃんと教えるとも言っておいた。
専門的なことを教えるのは無理だけど、基礎学力を上げる手助けは十分できる。
全てが順調に進み、卒業式翌日には渉が引っ越してきた。
さて、仕上げを始めよう。
はじめのうちは渉を気遣い2人で過ごしたものの、慣れてきた頃を見計らって外泊をするようにした。
「食事も作れるようになったし、1人で留守番大丈夫?」
と心配すれば「もう大学生だし」と不満気な顔を見せる。
これで俺が外泊することを了承したことになる。
渉は気付いていないのだ。
自分が独りに慣れていないことに。
俺だって、今でこそ平気だけれど1人で夜を過ごすのは苦手だった。
はじめて父が出張で家を空けた時はあの家で独り、身の置き場を探して家中を歩き回ったのだった。
そして見つけた場所は仏壇の前で、部屋から毛布を引っ張り出してきてその前で丸まって寝たんだ。
母が絶望する理由を作ったのは俺だけど、別に母が嫌いだったわけではない。
ただ、母以上に〈あの子〉に執着しただけで母が母であることに変わりはないのだからその存在に縋るのは悪いことではないだろう。
ただ子供は案外その環境に慣れるもので、出張が何度か続けばはじめの頃の焦燥は徐々に薄れて行った。
だけど大人になってから急に孤独を味わったらそれに耐えるのにどれだけかかるのだろう?
そんな悪意を持って外泊を増やしていく。
はじめは週に1~2回。
渉が寂しさを忘れた頃に外出することを繰り返し、渉の変化を見守る。
これは、俺以外の人間に身体を許した事へのお仕置きだから仕方ないのだ。
「渉、痩せた?」
頃合いを見て声をかけてみる。
俺が外泊をすると食欲がなくなるのか、外泊のあとは食材がほとんど減っていないことに気づいたのは梅雨入りした頃。
「痩せたじゃなくて締まったって言ってよ。筋トレの成果かな?」
無理しているのがバレバレの返事だけどそれを信じたふりをして話を続ける。
「授業は大丈夫?講義についていける?」
「大丈夫だよ、今のところ問題ない」
弱音を吐けば許してもいいかと思ったけれど、それでも強がる渉が愛おしくて次の段階に進むことに決める。
「じゃあ、俺は今日も泊まってくるから明日の朝戸締り忘れないようにな」
心配しているそぶりを見せるながらもその変化に目を瞑り、着替えを見せつけるようにして家を出る。
はじめは不定期にしていた外泊は、金曜日に固定した。
俺がいなくなると無気力になるようで学校を休みがちになっているけれど、金曜日には必須科目は入ってなかったはずだ。
金曜日の朝に外泊を告げ、日曜日に帰宅する事を繰り返し渉の変化を見守る。
徐々に精神の均衡を崩している渉はあの時の母を見ているようで、匙加減を間違えないようにその様子によっては外泊を取りやめる。
そんな時の渉は俺にべったりで、多少過剰なスキンシップをしても嬉しそうにしているのが可愛い。
ソファーに座り「癒して」とその身体を膝の間に座らせる。
元々細いくせに週末に食事を抜くせいで骨張ってきた身体は力を入れたら折れてしまいそうで、俺の情欲を駆り立てる。
考える事をやめてしまったのだろうか、渉の背中に情欲を主張したそれが当たっても何の反応もない。
首筋に唇を押し当てても何の反応も無く、悪戯に指を這わせても身じろぎひとつしない。
可愛い。
可愛い。
可愛い。
そんな風に週末を過ごすと月曜日には登校する元気が出るようで、朝からしっかりと食べて楽しそうに登校していく。
だけど金曜日が近づくと徐々に元気が無くなる様は眼福でしかない。
甘やかした次の週は鞭の出番で金曜日の朝には外泊を伝え、家を出る。
この頃は帰宅する時間や曜日を気まぐれに決め、泊まると言っておいて金曜日に帰ってみたり、日曜日の深夜まで帰らなかったりして渉の気持ちを弄んだ。
帰るはずのない日に帰宅し、そっと渉の部屋を覗き布団に包まり身じろぎしない姿を観察する。
じっとみていると気配で気づくのだろうか、布団から顔を出して目だけ動かし俺の姿を見つけるとその目に正気が戻るのが分かる。
我慢しないで早く俺を求めればいいのに。
俺のことが欲しいとその口で言ってしまえばいいのに。
「ぼくをすてないで」
そんな事を何度か繰り返したある日、いつものように覗く俺に気付き発した弱々しいその声に全身全霊で歓喜するのを止めることはできなかった。
堕ちた。
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〈あの子〉はもう俺のものだ。
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