二世帯住宅から冒険の旅へ

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第83話 勇者チームと偽勇者2

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「て、てててててててんっ」

「どうした?」

「て、転生者ってなんで?」

「英語圏からの転生者じゃないのかね?」

「そ、そうだが、なんでわかったんだ?」

「たまに英語っぽいこと言ってただろ」

「ああ確かに」

「俺英語わからない」

「わたくしもわかりませんわ」

「えいご~?」

「ダメだったか。われわれは日本から転移して来た。彼が勇者だ」

「ゆ、勇者? ジャパニーズ勇者なのかい? 本当に?」

「十六年くらいまえに魔王を倒したのは俺だよ」

「勇者……でもぼくも転生者だから勇者の資格があるだろ?」

「勇者は適性が必要ですわ。適性診断をなさったことはおありですの?」

「適性? なんだいそれは?」

「水晶玉で見るやつだよ。転生者なら適性のほかに特殊能力が見れるはずだ」

「……見たことはない。ないが……」

「適性がなければ勇者にはなれませんわ」

「そんな……」

「よしよし~」

「丸くなっちゃったわね」

「勇者であることを支えにしてこの世界で生きてきたんだろう。田舎ではかなり浮いてたんじゃないか?」

「でしょうね」

「浮く?ってどういうことかしら?」

「ぷかぷか~?」

「俺は浮いたことないなあ」

「無自覚に浮いてるメンバーだったな。常識枠は俺だけか」

「ケンさんも無自覚側だと思うけどなんでもないです」

「ぼくだって……ぼくだって好きで浮いてたわけじゃないんだよおっ!」

「うおっ」

「常識が違いすぎるんだよ……なにをやってもおかしな目で見られるし」

「気にしなきゃいいのに」

「ちょっとは気にしてくれよぅ」

「先生は気にしすぎよね」

「野ブタ~食べないの~?」

「そうだな。野ブタは解体してもいいんだな?」

「ビッグボアの討伐証明部位は鼻と牙だよ。ほかは処理していいよ」

「なんで自然な流れで話題が変わってるんだろう」

「先生は細かいこと気にしすぎよね」

「はげるぞ」

「はげといえば王都の冒険者組合長め。ぼくをこんなとこに送りやがって」

「それは妥当だろ」

「王族にけんか売って生きていられるなんて平和な国だと思うが」

「野ブタ~」

「はいはい、無限収納スキルの応用でほいっと」

「ええっ?! なんだいそれは?」

「スキルで解体しただけだ」

「便利よね。スーパーでも使いたいわ」

「おにく~」

「こういうとき調理スキルと火魔法が使えたらいいのになあ」


すっとメイドが出てきて調理する。


「え? どっから出てきたの?」

「メイド? こんな森にメイド?」

「深く考えないほうがいい。王族つきのメイドだ」

「めいど~?」


メイドがさっと一礼して去ってゆく。


「消えた……」

「さあ料理が冷めないうちにいただきましょ」

「なんでなにごともなかったかのように受け入れてるんだ」

「それが日常だからだ」

「うちのメイドがどうかしたのかい?」

「なにも疑問に感じてないみたいだ」

「ファンタジーすぎるだろジャパニーズメイド」

「いやあれはジャパニーズじゃないぞ」

「変に勘違いされると大変困る」

「そしてうますぎる……なんだこれ……」

「アメイジング宮廷料理」

「さすが王族つき影メイド」

「うまうま~♪」

「スーパーの豚肉よりもちょっと硬めだけど独特の風味がくせになりそうね」

「俺は姫さまの買ってきた肉が好きだよ」

「勇者様(それはスーパーの半額になったお肉よ)」

「通常営業だな」

「毎日この飯食ってんのか……」
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