それは、噂から

戒月冷音

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第56話

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お義父様・・・

私たちの目の前には、ここで領民達と生活していた、前公爵様がいる。
「ち、父上・・・よかった。やっと会えました」
「わしは、会いたくなかったがな」
「な、何故そんなことを、言われるのですか?」
「お前はここで、何をしている?」
「えっ!?」
クラウスは、何の事を言っているのか分かっていない。

「お前はここに、仕事をしに来たのではないだろ?
 なら、この領地に何をしにきた?
 お前が手を貸したのは、北の辺境の地であって、
 ここには何にもしておらんだろう」
「何にも・・・何で、そんな事、知って・・・」
「母はお前に、会いたくないと言って、家に籠ってしまった。
 ここ数週間は、恥ずかしくて外に出ておらん」
「母上が?なんで・・・」
「何でだと?お前はまだ分かっておらんのか」
「何の事・・・ですか?」
「ここの領民は、わしらも含めて全て知っているぞ。
 わしらを支えてくれていたのは、メイリア様だ。
 お前が管理していたら、とっくにここはなくなっていただろう」
「そんなことは・・・」
「わしが、メイリア様に引き継ぎをしたこともいけなかったのだろうが、
 お前は真面目に、王城の仕事をしていると思っていたから、わしはそうした。
 しかし、その仕事も投げ出していたとは・・・」
お義父様の言葉に、クラウスはなにも言えなくなる。

するとそこに
「初めまして、お父様。私イザリアと言います。クラウスの妻ですのよ」
イザリア様が、満面の笑みを浮かべながら、真っ赤なドレスを広げ、お父様に突進していった。
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