それは、噂から

戒月冷音

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第96話

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メフィスト公爵領であるロンドベルクは、やっと災害からの復興の終わりが見えた。

領地が、クリストファ・メフィスト前公爵様の所有となってから、最後の橋を架け直し、放置されていた田畑区域にやっと手を出せるようになった。
場所によっては、20年以上手をつけていないから、完全に荒れ地に戻っている場所もあるが、若い家族がいる場所は地割れなどがない限り、自分達で手をいれていたようだ。
しかし、それが出来たのも、元々あった面積の半分以下。
だから収入が安定するまで、他領から野菜を沢山仕入れていた。
しかしこれで、収穫量が少しずつでも戻れば、他領から仕入れなくてもいいし、自給できるようになる。
そうすればここで、地産地消出来るものにかけるお金が、少なくなるというものだった。
これで、快適に生活するのに必要な、衣食住を整えることが出来る目安がたった。


それから数か月後、お義父様の指揮のもと、着々と開拓は進み、ほぼすべての田畑が戻ってきていた。
私は久しぶりに領地に顔を出し、お義父様とお義母様の様子を見に行っていた。
「お義父様。ご無理はされておられませんか?」
「俺は大丈夫だが、メーリアが思いの外張り切っていてな」
「貴方も同じではありませんか。でも、私は知らなかったのですよ」
「何をでしょうか?」
「畑でお野菜を育てたり、お庭の花壇でお花を育てたりするのが、
 こんなに楽しいなんて知らなかったの」
「お母様が、お育てになっておられるのですか?」
「最初は、俺について様子を見に来ただけだったんだが、重機を動かしている間に、
 畑に来ていたご婦人達と、仲良くなったようでな。
 色々、教えてもらったんだそうだ」
「その後に、まずはお花を、植えてみたの。
 そうしたらね。芽が出て、少しずつ大きくなっていって・・・花が咲いて。
 その度に、ワクワクしたの。
 どんな蕾がついて、どんな花が咲いて、どんな風に実がつくのかって・・・」
「そのまま、ハマってしまってな。
 今ではうちの畑は、メーリアの好きな野菜で埋め尽くされた」

そう言って大笑いしているお義父様を見て、陣頭指揮をとっていらっしゃるお義父様の方が、疲れているのではと心配していたが、どうやらお二人で、楽しくやっておられると知り安心した。

すると
「こっちは、今話した通り大丈夫なのだが、あちらとメイリア様の方は、大丈夫なのか?」
逆に、私の方が心配をかけてしまっていると思い、お互いがお互いを心配しあっていたのだなと、思った。
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