それは、噂から

戒月冷音

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第122話

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「あなたは、自分が忙しいからと、部屋から出て直ぐに会うメイドに、お金を渡し、
 侍女長に渡しておけと言って、部屋に帰っていたそうですね」
「なんで、そんな事知ってるんだ?」
「マリス侍女長から、聞いております。
 彼女は、金額がおかしいことに直ぐに気付き、調査したそうです」
「金は何処に?」
「イザリア様ですよ。
 貴方に会うように、決まったのメイドに指示をして、受け取った袋から
 一割がその子の取り分。
 そして、その残りの六割が、イザリア様。
 残った金額を子供に・・・と言う、指示だったそうです」
「あの女・・・」
「あんなに愛しておられたのに、そんな言い方をされるのですね」
「家の中のものを、ほとんど壊され、金になりそうなものは売られた。
 あの家は今、何にも残っていない。
 ただ唯一あると思っているのは、肖像画と、鍵かかかって開かなかった
 父と母の部屋にあるものだけだな」
さすがお義父様。
手を出されたくなかったのですね。

「私が使っていた部屋は?」
「メイリアの部屋は、書類だらけだと言って出てきたよ」
「そう・・・」
「なにか、置いてあったのか?」
貴方に言っても、分からないわ・・・
そう言いたかったが、辞めておいた。
あの部屋には、私が貴方と出席した夜会の服等が、残っているだけだった。
装飾も、何ももらっていないから、置いていくものもない。
確かにあるのは、今までやってきた工事の書類や、請求書の控えなどばかりだ。

「そんなことはどうでもいいの。
 でもね。貴方が自分の事だけになるから、母親に置いていかれた子供達が、
 犠牲になった。
 イザリア様は、貴方の家よりもお金だったのね」
私の言葉に、クラウスは何も言えなくなったようだ。


私はその場にクラウスを残し、マリフェリア様に
「もう遅いですから、私達は部屋に帰りましょう」
と言って、振り返って歩き出す。
その後ろから
「何で・・・どうして・・・」
と呟く声が聞こえるが、私達はそれを無視して部屋に戻った。

私の部屋の前でマリフェリア様が
「中に入った後、しっかり鍵を閉めてね」
と念を押す。
「大丈夫ですわ。中には、アイリスもおりますし・・・」
「あぁ、一緒に来た侍女の方ね。彼女にも、念を押さなきゃ」
マリフェリア様がそう言って、部屋の中に入る。
すると、初めて王弟夫人にあったアイリスは、ビックリして固まってしまった。

「アイリスさん。アイリスさん」
「・・・はいっ」
「大丈夫?」
「は、はいっ。大丈夫です」
「あのね、このフロアではないけれど、メフィスト公爵もここに泊まっているの。
 私は、少し先の部屋にいるけど、何があるか分からないわ。
 だから、しっかりと鍵を閉めてちょうだい」
「は、はぃ。鍵の事は、エドガー執事長にも言われておりますので、
 何度も確認いたします」
「お願いね。メイリア様は、私の大切なお友達なの」
そう言って頂けて、私は嬉しかった。
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