それは、噂から

戒月冷音

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第125話

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私は、夢を見ていた。
私の手を、誰かが優しく握り、広い草原をその誰かと一緒に走って行く。
【ほら、一緒に行こう】
【待って、待ってよ】


「お姉・・・さま?」
その声を聞いたアイリスが
「お起きになられましたか?メイリア様」
と、声をかけてくる。
私は、ベッドの上に、居て・・・

あれ?私、昨日いつ、ベッドに?
そう思いながら隣を見ると、マリフェリア様が、寝息をたてておられた。

「えっ!?・・・」
「メイリア様、マリフェリア様はまだ、眠っておられます。
 説明は、後でいたしますので・・・」
「わ、分かったわ」
アイリスと2人で小声で話すと、マリフェリア様がモゾモゾと動いた。

「うぅぅ~ん・・・・・・あれ?メイリア様、は?」
ぽけっとした顔で、私を見ているマリ様。
そんなことを、うわ言のように言った後、ガバッと起き上がり
「メ、メイリア様、大丈夫?」
と私の心配をしてくれた。

私は昨日泣きながら眠ったようで、目が赤く、目の周りも赤くなっていたため、アイリスが目の周りを冷ますための濡れタオルを、用意してくれていた。
私はそれを当てた状態でいたので、まだ、泣いているのかと勘違いをしたようだ。
「だ、大丈夫ですよ。
 ただ、目の周りが腫れてしまったので、冷やしているところです」
と言うと
「あぁー・・・しっかり冷やしておかないと、皆様の前には出れないわね」
と続けた。

そうだ。今回は納得しないクラウスに、納得してもらうために王宮に来たのだった。
それを思い出した私は、急いで顔を洗い、目の周りを冷やす。
私達が眠っている間に、アイリスがマリフェリア様の侍女に、私の部屋で眠られていることを伝えていたため、今日の準備は万全に整えてあるとの事だった。

「私は一度、部屋に戻るけど、準備が出来たらここに来るから、待っててね」
「は、はい。かしこまりました」
「かしこまり~?」
「わ、分かりました。待ってますね」
私がそう答えると、マリフェリア様はドレスを持ち上げ
「じゃあっ、また後でねっ」
と言って、走っていく。
本当に元気な方だ・・・
そう思いつつ、昨日の夜の事を思い出し、あまりに酷い醜態を、王弟夫人にさらしてしまったことを後悔した。

けれど、何故か心はスッキリしていた。

今まで、ずっと悩んでいたことを、昨日の夜全部出してしまった・・・みたいな、そんな感じがする。
あんなにこだわっていたクラウスの事も、何故かそんなに気にならなくなった感じがする。
昨日声をかけられた時には、心がしくしくと痛んだ。
それが、相手に伝わらないように、必死に取り繕ってはいたが、マリ様には分かってしまっていた。
私の付け焼き刃では、隠すことも出来ていなかったのでしょう
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