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第137話
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「そっか・・・私は、クラウス様の妻にも、なっていなかったのですね・・・」
そう呟いた私の言葉を聞いていたのは、マリフェリア様・・・だけではなかった。
「それは、貴方のせいではなく、クラウス殿の責任だ」
突然、後ろから聞こえた声にビックリすると、クルセイダ公爵が立っていた。
「なぁに、お兄様。趣味が悪いわ」
「王弟殿下の言伝てを伝えに来たら、聞こえただけだ」
「ジェフからの話は?」
「明日の朝、いつも通りに迎えに行く・・・だそうだ」
「何時もより、30分遅らせて」
「明日の朝は、相手が陛下だぞ」
「あっ・・・分かったわ。今日は早めに寝ます」
マリフェリア様はそう答えると、明日の予定などをぶつぶつと呟き始める。
「マリは、このままほっといていい。それより、メイリア嬢」
「・・・はい」
「貴方は、クラウス殿の家族になろうとしていたと、俺は思う」
「そうでしょうか?」
「そうでなければ、クリストファー殿やメーリア様が、貴方を頼ることはなかった」
「お義父様達は、渡りに船だと言っておられました」
「渡りに?」
「災害で、どうにも動けなくなった自分達を叱咤し、動く道をつけてくれたと・・・」
「それが、渡りに船?」
「はい。違うのですか?」
「それなら、その時の付き合いだけで終わる。
自分達が動けるようになったら、用がない」
「しかし、私に出来たのはそれぐらいで・・・」
「それぐらいしか、出来ないと分かっていても、貴方は手を貸した。
そして、それを取り続けたのはジャニス殿だ。
家族として認めていなければ、無償の信頼はあり得ない」
「ですが・・・」
「あの方は昔から、自分の信じた相手としか
取引を行わないと父上から聞いたことがある。
だから貴方の事は、クラウス殿がどうであろうと、義娘として
相手していたはずだ。
だから貴方は、メフィスト公爵の奥方として、この25年
立っておられたと、俺は思う」
クルセイダ公爵にそう言われ私は、今まで自分のしてきたことが報われたと思った。
そして今回、ここに来て良かったと思った。
帰ったら、沢山の仕事が待っているとしても、クラウスと話し、マリ様に話を聞いてもらって全てを吐き出した後、クルセイダ公爵に、今までの私を肯定して貰えた。
それだけで、来て良かった・・・
そうして私は、カロングラス子爵令嬢として、クーデルベルクに帰る。
帰ったら私はもう、領地に口を出すことはできなくなるが、お義父様と・・・じゃなかった。
クリストファー様とメーリア様が、私の事業を続けてくださる。
一度、クーデルベルクに帰り、引き継ぎを行ってから、クルセイダ公爵のお屋敷の離れを引き払おうと思っている。
エドガーはクリストファー様の元に戻って貰い、マリスと子供達は、クラウスと話し合ってから、住む家を決めればいいはず・・・
そんなことを考えながらマリ様と眠った私は、ベッドの中で一晩中、涙を流し続けた・・・
そう呟いた私の言葉を聞いていたのは、マリフェリア様・・・だけではなかった。
「それは、貴方のせいではなく、クラウス殿の責任だ」
突然、後ろから聞こえた声にビックリすると、クルセイダ公爵が立っていた。
「なぁに、お兄様。趣味が悪いわ」
「王弟殿下の言伝てを伝えに来たら、聞こえただけだ」
「ジェフからの話は?」
「明日の朝、いつも通りに迎えに行く・・・だそうだ」
「何時もより、30分遅らせて」
「明日の朝は、相手が陛下だぞ」
「あっ・・・分かったわ。今日は早めに寝ます」
マリフェリア様はそう答えると、明日の予定などをぶつぶつと呟き始める。
「マリは、このままほっといていい。それより、メイリア嬢」
「・・・はい」
「貴方は、クラウス殿の家族になろうとしていたと、俺は思う」
「そうでしょうか?」
「そうでなければ、クリストファー殿やメーリア様が、貴方を頼ることはなかった」
「お義父様達は、渡りに船だと言っておられました」
「渡りに?」
「災害で、どうにも動けなくなった自分達を叱咤し、動く道をつけてくれたと・・・」
「それが、渡りに船?」
「はい。違うのですか?」
「それなら、その時の付き合いだけで終わる。
自分達が動けるようになったら、用がない」
「しかし、私に出来たのはそれぐらいで・・・」
「それぐらいしか、出来ないと分かっていても、貴方は手を貸した。
そして、それを取り続けたのはジャニス殿だ。
家族として認めていなければ、無償の信頼はあり得ない」
「ですが・・・」
「あの方は昔から、自分の信じた相手としか
取引を行わないと父上から聞いたことがある。
だから貴方の事は、クラウス殿がどうであろうと、義娘として
相手していたはずだ。
だから貴方は、メフィスト公爵の奥方として、この25年
立っておられたと、俺は思う」
クルセイダ公爵にそう言われ私は、今まで自分のしてきたことが報われたと思った。
そして今回、ここに来て良かったと思った。
帰ったら、沢山の仕事が待っているとしても、クラウスと話し、マリ様に話を聞いてもらって全てを吐き出した後、クルセイダ公爵に、今までの私を肯定して貰えた。
それだけで、来て良かった・・・
そうして私は、カロングラス子爵令嬢として、クーデルベルクに帰る。
帰ったら私はもう、領地に口を出すことはできなくなるが、お義父様と・・・じゃなかった。
クリストファー様とメーリア様が、私の事業を続けてくださる。
一度、クーデルベルクに帰り、引き継ぎを行ってから、クルセイダ公爵のお屋敷の離れを引き払おうと思っている。
エドガーはクリストファー様の元に戻って貰い、マリスと子供達は、クラウスと話し合ってから、住む家を決めればいいはず・・・
そんなことを考えながらマリ様と眠った私は、ベッドの中で一晩中、涙を流し続けた・・・
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