貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第3話

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応接についてすぐ、私はノックをして
「失礼します」
と言って中に入る。部屋の中にはファル伯爵夫妻とクーディアス様と母が居た。

「マリアっ!」
名を呼び立ち上がって駆け寄り、私を抱きしめるクーディアス様。
「クーディアス様。突然どうなさったのですか?」
「マリア。俺、やったぞ」
本当にこの方…人の言葉を聞かないどころか、話の本筋を言わない。

求婚の時もそうだった。私を呼び出し自分の人生設計をずっと話して1時間。その後一言「俺と結婚して…」だけだった。
だから今回も同じだと思った。
ご両親と母に待ってもらい、彼の話をずっと聞く。今日は騎士団の中での話のようだ。
1年前、彼は騎士団に入った。半年で功績を上げるほど活躍し1年立つか立たないか位には団長補佐になっていたのは知ってた。
けれどここ2年、話を聞く時間がなかったから、止まらないみたい。

しびれをきらせた彼の両親と母は、私に任せて一旦部屋を出た。
私は2時間近く話を聞き続け、そしてやっと
「俺、国王様から騎士爵を頂けることになった」
教えてくれた。
「き、騎士爵?」
「そう、剣で功績を上げた者に与えられる爵位だ」
「爵位…」
「俺、念願の騎士爵を手に入れたんだ」
すっごい笑顔で私に伝えてくれるクーディアス様。

私はこの人の婚約者として、この笑顔を守れるなら私に出来るだけの事をやっていこう。
彼から聞いた騎士爵についても自分で学び、彼の邪魔にならないよう、役に立つことを…
この時から、それが私の目標になった。
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