貴方の✕✕、やめます

第56話

「お姉様…何故さん「着いたわよ」
「お姉様っ！」
「聞くならアルに聞いてちょうだい。
　私は貴女を迎えに行ってと言われたから、そうしただけよ」
「分かり、ました」
返事を返した所で馬車の扉が開き、その先にアルフォンス様の姿が見えた。


「おかえり、エル」
「ただいま、アル」
2人は挨拶を交わし、互いの手を取って姉が馬車を降りる。
そして、私が降りようとした時、
「叔父上。お願いします」
「私がか？」
「貴男以外に誰かいますか？」
「…了解した」

そして、私の近くまで来た第三の男性は、礼を取りこう名乗った。
「始めまして。スラヴェ・コーラルと申します。
　私がエスコート致しますがよろしいでしょうか？」
と…

ん゛？スラヴェ…様？……えっ!?まさ、か…王弟陛下？えっ…何、で？

「ま、マリア嬢？どうかされましたか？」
「えっ…あっ、いいえ。何でもありません。失礼いたしました」
まずは馬車を降り、軽くカーテシーをする。
「いいよ。今日は甥の家に遊びに来た、叔父さんだから」
「まぁ…」
私が笑うと、スラヴェ様は少し目を伏せる。

「叔父上。まだですか？」
「あぁ、すぐ行くよ。ではお嬢さん、行きましょうか」
そう言って、私に手を差し出す。
私はその手を取り、ニッコリと笑うとスラヴェ様のエスコートでイーディアス邸に向かった。