貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第70話

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「なにか面白いことでもあったか?」
コーラル様の声が近いことにドキッとした私は、びっくりするとコーラル様の顔が真横に合った。

「あっ、いえ。別に」
「そんな感じじゃなかったぞ。何を想像したんだ?」
「えっと…その、コーラル様は少女趣味…」
「えっ!?」
「…なの、かなって…」
「ちょっ、待って、違うからね」
慌てて否定するコーラル様を見ていると、やっぱり笑えてきた。
「ふふふっ」
口元を隠して笑っていた私に、コーラル様が
「このっ」
と言って両手を掴みバフッと後ろに押し倒され、そしてソファに縫い止められた。

「えっ…」
「君は、私に求婚されていると、分かっているのかな?」
「えっ、それは…はい。分かっております」
「ううん。分かっていないよ。
 二人っきりの時に、そんな顔をされると我慢できなくなるじゃないか…」
私はその言葉に慌てた。
コーラル様は、国王様より18下の32歳。まだまだ男盛りだと分かっている。
分かってはいるが…
私は、こんなふうになったことがない16歳。
きょとん…と、コーラル様を見つめるしか出来なかった。

「君は、男性が好きな女性をこうした時、何をしたがっているのか
 分かっているのか?」
「…多、分」
「ふっ…分かってないね」
そう言うと、体を起こすコーラル様。
「あ、あの…」
「起きなさい」
「はい」
ゆっくりと体を起こすと、ふっと笑ったコーラル様が
少し目を伏せた瞬間、胸のあたりがキュンとした。
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