貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第144話

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ティスミル様は、聞いたと言った。
誰に?何の目的でそんな的はずれな事を…
そう思った時、色々繋がった。

公爵夫人は、私のお母様と親友…と言っていたが、実際はお父様に学園の頃から片思いしていて、お母様を婚約者と紹介された時からずっと、嫉妬してきていたのだ。
だからその娘が、英雄の婚約者になった時、何故自分の子ではないのだろう、何故自分は何にも選ばれないのだろう…と友だちに話していた。
そして婚約式…自分の子供に思わせぶりなことをいい、婚姻式に出席させ、その時に聞いた出立時間に間に合うように娘を戦地に送った。
そして狙い通り、娘が寝取るという形で英雄を手に入れ、自分は英雄の義母となった。
やっと自分に、運が向いてきたと思ったのもつかの間、英雄の前妻の名が領内に残るのが気に食わなかった。
だから、自分の名に変えた。
その名に、どんな思いが詰まっているのか、考えもせず…


そして今、リーザ様はイルデアス侯爵に公開処刑されている。
「あの抗議文は、お前が原因だったのかっ」
「こ、抗議文って…」
「ファル家の領地の者達が、自分達の街を乗っ取るつもりかと
 抗議してきている。
 私には、何の事か解らなかったが、自分達の恩人の事を悪く言う上に、
 あの方が起こした事業を、全て横取りしたと」
そこで、公爵夫人は青ざめた。

たしかに今年、予想していなかった金額が、自分の口座に入り、何のお金か解らなかったが、ありがたいと一気に使った。
いま着ているドレスも、そのお金でオーダーしたものだった。

公爵夫人が何もいえずに居ると、
「私が金の流れを調べたのは、
 毎年そのお金を領地に戻していると、マリアから聞いていたからだ。
 だが今年は、その手続をするはずが金が入らない。調べるのは当然だろ」
と、スラヴェ様が最後の一撃を入れた。
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