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第151話
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その後、侍従に両腕を抱えられ、運ばれて行くティスミル様を横目で見ていたクーティアス様は、やっとお父様の話をしっかりと聞き、手続きを終えた。
「ファル卿。
君と子供には辛いことであろうが、高位の者にはそれ相応の責任がある。
それを理解し、自分自身に責任をかせるものでなければ、
務めることは出来ぬのだ」
「はい…」
「そなたの妻は、離縁すれば侯爵令嬢に戻る。
けれど侯爵は、高位貴族。
規律と規則、そして常識の範囲で、動かねばならぬ。
それが、あの娘に出来ると思うか?」
「…出来ないと、思います」
「だから俺は、イルデアスにも言ったのだ。縁を切れと」
「ですがそうすれば、彼女はどうやって生きるのですか?」
「では、逆に問う。
そなたはこれからどうするのだ?奥方がいない状態で、子を育てねばならん」
「それは、俺が稼いでなんとかします」
「では、あの娘も同じだ。自分にで何とか、するしか無い」
「ですが、ティスミルは…」
「そなたは、その娘ばかりかばうが、マリア嬢の時はどうだったのだ?
そんなに、気にしたか?」
私の時…
その時にはもう、ティスミル様が身重で、クーティアス様が頑張るしか無かった。
全てが彼の肩に乗り、それでも自分が設計していた予定に沿ったものだから、頑張れた。
「…マリア様の時は、私は何もしませんでした」
「出来なかった…のではなく?」
「はい。
あの時はティスミルが身重で、マリア様が引き継ぎを終えるまでは
いてくれましたが、終えたと同時に、マリア様は家を出ました。ですから…」
「何も、しなかった…と」
「はい」
クーディアス様はそう言う、と小さな声で
「すまなかった」
と言った。
「ファル卿。
君と子供には辛いことであろうが、高位の者にはそれ相応の責任がある。
それを理解し、自分自身に責任をかせるものでなければ、
務めることは出来ぬのだ」
「はい…」
「そなたの妻は、離縁すれば侯爵令嬢に戻る。
けれど侯爵は、高位貴族。
規律と規則、そして常識の範囲で、動かねばならぬ。
それが、あの娘に出来ると思うか?」
「…出来ないと、思います」
「だから俺は、イルデアスにも言ったのだ。縁を切れと」
「ですがそうすれば、彼女はどうやって生きるのですか?」
「では、逆に問う。
そなたはこれからどうするのだ?奥方がいない状態で、子を育てねばならん」
「それは、俺が稼いでなんとかします」
「では、あの娘も同じだ。自分にで何とか、するしか無い」
「ですが、ティスミルは…」
「そなたは、その娘ばかりかばうが、マリア嬢の時はどうだったのだ?
そんなに、気にしたか?」
私の時…
その時にはもう、ティスミル様が身重で、クーティアス様が頑張るしか無かった。
全てが彼の肩に乗り、それでも自分が設計していた予定に沿ったものだから、頑張れた。
「…マリア様の時は、私は何もしませんでした」
「出来なかった…のではなく?」
「はい。
あの時はティスミルが身重で、マリア様が引き継ぎを終えるまでは
いてくれましたが、終えたと同時に、マリア様は家を出ました。ですから…」
「何も、しなかった…と」
「はい」
クーディアス様はそう言う、と小さな声で
「すまなかった」
と言った。
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