この生の理

戒月冷音

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第265話

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なにも言わず、冷や汗をながし続けるクランベル侯爵を放置し、僕は国王陛下に話しかける。
「国王陛下に、進言いたします。
 この者、クランベル侯爵から私に対して、訴えるとの言葉をいただきました。
 ですが私には、訴えられる理由がございません」
「なっ!なにを言うておる。私を侮辱したではないか」
「あれは、僕のとなりで呟かれたことを、皆様に聞いてもらうため
 もう一度言ってと言ったのですが、すぐに忘れていらっしゃったので、
 侯爵という立場では、心配だと思ったまでですが?」
「ぐっ・・・」
「その事で侮辱された・・・と思うのは、個人の見解なのでどうこう言わない。
 けど、それぐらいで訴える必要はないですよね」
「だが、私は・・・」

「それよりも、クランベル侯爵がした事の方が、責任重大なのでは?」
「はぁ?私は、何・・・も」
クランベル侯爵がそう言うと、マルガス公爵が
「あなたは先程、国王陛下ではなく、ムスタファの王弟殿下に
 挨拶をされました。
 国王陛下には一度もされておりません」
「い、一度、も?」
「はい。あなたは一度もしておりません」
クランベル侯爵は、カタカタと震える。
「それを踏まえて、質問いたしましょう。
 あなたはジョージ・アドルファス殿を、訴えられるのですか?」
マルガス宰相からそう聞かれたクランベル侯爵は、目を大きく見開くと
「は?いま、何と?」
と聞き返す。
「ですから、ジョージ・アドルファス殿を、訴えるのかと聞いたのです」
その瞬間、顔を真っ赤にしたクランベル侯爵。

そう、あんたは、自分の主から、手に入れろと言われている者を、訴えようとしている。
あなたの大切な国の方の命令を、達成できなくなっても、僕には関係ないですがね。

「どうされるのですか?」
「・・・ほ、本当に、このガ・・・
 この方が、ジョージ・アドルファス様なのですか?」
いま、ガキっていいかけた。
「ジョージ様ですよ。第2王位継承者の」
「だ・・・第2王位け・・・」
そのまま口を閉ざしたクランベル侯爵。

その時
「国王陛下に申し上げます」
「なんだ?」
「本日、クランベル侯爵に、はじめてお会いしましたところ、
 こんなガキがと言われました。
 ですが、僕としましてはいくらガキであっても、ここに居る以上は
 きちんとした出てあると納得していただく必要があると考えます。
 ですので、申し訳ございませんが、
 クランベル侯爵との試合をいたしたいと思うのですが、いかがでしょうか?」
俺の言葉に、クランベル侯爵はもう一度固まり、国王陛下とその場に居合わせたムスタファの王弟殿下は
「俺は構わんが、侯爵は戦えんし、ムスタファの特使も待たせてしまうが・・・」
「クランベル侯爵は、私の国と仲は良いですが、私には口出しできませんね。
 そちらの事が終わるまで、大人しく待つとしましょう」
と、やんわりと国王から許可が出た。
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