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第68話
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「本日はご招待いただき、感謝申し上げます」
「今日は、私が開いた食事会だ。
肩肘を張らず、参加してくれるとありがたい」
エルフィン殿下の言葉に、カーテシーで返すアリステリア公爵令嬢。
まだ、固いわね。
「エマ・アリステリア公爵令嬢、そんなに緊張なさらず」
私がそう声をかけると、パッとこちらをむいて
「カサンドラお姉さま。またお会いできて、嬉しいですわ」
と笑った。
「だから、お姉さまではないわ」
「あのときは、許してくださいました」
「あの時と今は、違うわ」
その言葉にシュンとしてしまいましたが、エマ様は相変わらず、しっかりしていらっしゃった。
「エマ。君はカサンドラと仲が良いの?」
そこに、エルデシア殿下が、爆弾を落とす。
「・・・殿下。どうして呼び捨てなのですか?」
「あぁ、カサンドラのことか」
「ですから、何故?」
突然、エルデシア殿下に詰めよったアリステリア公爵令嬢に、皆が戸惑う。
『やっぱり、諦めてないな』
そうみたいね。
エルデシア殿下が言う言葉は、全て水に油。
アリステリア公爵令嬢は、ピリピリしている。
「はーーっ・・・エルデシア殿下。まだ諦めて、いないのですね」
「自分が楽をするためなら、何だって・・・」
その横で、アリステリア公爵令嬢がダンッと足を慣らした。
あら?中々やるわね。
『こいつに、任せるか』
そうしようかしら?
「エルデシア様」
「は、はい」
「あなた様は、ルイさまと同じことをなさるの?」
「い、いや。同じではない」
「では、カサンドラ様を、どうなさるおつもり?」
「どう・・・とは?」
「ルイさまと同じように、道具になさいますか?」
「いや、道具ではない」
「ですが、執務室で書類を片付けさせるのでしょ?」
「そうしてもらえると、俺は君と、過ごす時間が増えるのだが?」
「私は、お姉さまを犠牲にしてまで、エルデシア様と2人でいようとは
思いませんわ」
「えっ!?違うの?」
「貴方は私に、エリスと同じになれと言われますか?
それでしたら私は、婚約破棄させていただきます」
「ちょーーーーっと待って。
俺が間違ってた。間違ってたから、破棄だけは勘弁してください」
そういうとエルデシア殿下は、アリステリア公爵令嬢の足元にひれ伏した。
これって、どう言うこと?
『エルデシアより、公爵令嬢の方が上ってこと』
ってことは?
『これで決着』
「カサンドラお姉さま。申し訳ございませんでした。
エルデシアには十分言って聞かせますので、ご安心ください」
「ありがとうございます。エマ様」
「あーーーっ、やっと、お姉さまに名前を呼んでいただけましたわ」
そうして、エルデシア殿下の策略は、失敗に終わった。
アリステリア公爵令嬢は、この日の昼食を楽しみまくったあと、エルデシア殿下と共に退席した。
この後、女王様と下僕のやり取りがあったことは、王城の数名しか知らないことだった。
「今日は、私が開いた食事会だ。
肩肘を張らず、参加してくれるとありがたい」
エルフィン殿下の言葉に、カーテシーで返すアリステリア公爵令嬢。
まだ、固いわね。
「エマ・アリステリア公爵令嬢、そんなに緊張なさらず」
私がそう声をかけると、パッとこちらをむいて
「カサンドラお姉さま。またお会いできて、嬉しいですわ」
と笑った。
「だから、お姉さまではないわ」
「あのときは、許してくださいました」
「あの時と今は、違うわ」
その言葉にシュンとしてしまいましたが、エマ様は相変わらず、しっかりしていらっしゃった。
「エマ。君はカサンドラと仲が良いの?」
そこに、エルデシア殿下が、爆弾を落とす。
「・・・殿下。どうして呼び捨てなのですか?」
「あぁ、カサンドラのことか」
「ですから、何故?」
突然、エルデシア殿下に詰めよったアリステリア公爵令嬢に、皆が戸惑う。
『やっぱり、諦めてないな』
そうみたいね。
エルデシア殿下が言う言葉は、全て水に油。
アリステリア公爵令嬢は、ピリピリしている。
「はーーっ・・・エルデシア殿下。まだ諦めて、いないのですね」
「自分が楽をするためなら、何だって・・・」
その横で、アリステリア公爵令嬢がダンッと足を慣らした。
あら?中々やるわね。
『こいつに、任せるか』
そうしようかしら?
「エルデシア様」
「は、はい」
「あなた様は、ルイさまと同じことをなさるの?」
「い、いや。同じではない」
「では、カサンドラ様を、どうなさるおつもり?」
「どう・・・とは?」
「ルイさまと同じように、道具になさいますか?」
「いや、道具ではない」
「ですが、執務室で書類を片付けさせるのでしょ?」
「そうしてもらえると、俺は君と、過ごす時間が増えるのだが?」
「私は、お姉さまを犠牲にしてまで、エルデシア様と2人でいようとは
思いませんわ」
「えっ!?違うの?」
「貴方は私に、エリスと同じになれと言われますか?
それでしたら私は、婚約破棄させていただきます」
「ちょーーーーっと待って。
俺が間違ってた。間違ってたから、破棄だけは勘弁してください」
そういうとエルデシア殿下は、アリステリア公爵令嬢の足元にひれ伏した。
これって、どう言うこと?
『エルデシアより、公爵令嬢の方が上ってこと』
ってことは?
『これで決着』
「カサンドラお姉さま。申し訳ございませんでした。
エルデシアには十分言って聞かせますので、ご安心ください」
「ありがとうございます。エマ様」
「あーーーっ、やっと、お姉さまに名前を呼んでいただけましたわ」
そうして、エルデシア殿下の策略は、失敗に終わった。
アリステリア公爵令嬢は、この日の昼食を楽しみまくったあと、エルデシア殿下と共に退席した。
この後、女王様と下僕のやり取りがあったことは、王城の数名しか知らないことだった。
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