140 / 141
第142話
しおりを挟む
街に住み始めた数日後、メイサが一緒に住むと言って、王宮メイドを辞めてやってきた。
「王宮メイドを、辞めたの?って言うか、辞めれたの?」
「はい」
「なんで?」
「カサンドラ様と、一緒にいたかったから・・・
でも、一緒に生活とまでは、言いませんので」
「じゃあ、どこに住むの?」
「この近くの、宿屋です」
「宿屋?なんで?すぐにキャンセルして、ここに来なさい」
「え!?いいのですか?」
いいもなにも、女性一人で宿屋なんて、不用心過ぎる。
『カサンドラも着いていって、一回で荷物運んでこい』
やっぱり、アイルークもそう思う?
『思うと言うか、外に一人いる。メイサについて来た奴だ』
そう、もう着いてきちゃったの。
『本人は気付いてないけどな』
「はぁ~・・・
私も着いていくから、一回で荷物を全て持ってきましょう」
「いいえ、カサンドラ様のお手を、煩わせるわけには・・・」
私は、このとき気付いた。
街に住む人達は、煩わせるなんて言わない。
そして、そんな風に皆と違うことをしている者は、必ず盗難に遭うのだ。
「メイサ。外でもその話し方なの?」
「はい。そうですが?」
「だからか」
『だからか~』
私とアイルークの言葉が、ダブった。
「?なんです?何かあるのですか?」
そしてメイサは、それに気付いていない。
「メイサ。すぐに話し方を、ライヤさんと同じにしなさい」
「えっ!?何故ですか?」
「貴方、こんな街中で、丁寧な言葉使ってる人いる?」
「商売人は・・・」
「使ってないわ」
「宿屋とか」
「貴方、宿屋に勤めるの?だったらここに来る必要は、ないわ」
「いいえ。ここで働かせてください」
「何のために?」
「えっ・・・」
私は、離宮で私の侍女だったから、メイサに手伝ってもらった。
ただ、それだけだった。
「私が言った通りに出来ないのなら、すぐに帰って}
「あの・・・」
「私は、貴方が私の侍女だったから頼っただけ。
私はあの場所で、長い間一人だったから、頼ることもなかったの。
けれど貴方が、私の専属になった時、私はどうすればいいのか分からなかった。
けれど、てきぱき動いてくれる貴方は、私の事を気にせず動くから、
任せて安心だった。ただ、それだけよ」
そう話したあと、メイサは家に帰ると言った。
あの母親と、ライヤさんが居るところが自分の帰る場所なのだと、彼女は言った。
しかし彼女の帰る場所は・・・
「貴方の帰る場所は、そこではないわ」
「私は、もうそこしか、行くところはありません」
「あるわよ」
そう言って私は、外を指差す。
そこには、侍女長が立っていた。
「王宮メイドを、辞めたの?って言うか、辞めれたの?」
「はい」
「なんで?」
「カサンドラ様と、一緒にいたかったから・・・
でも、一緒に生活とまでは、言いませんので」
「じゃあ、どこに住むの?」
「この近くの、宿屋です」
「宿屋?なんで?すぐにキャンセルして、ここに来なさい」
「え!?いいのですか?」
いいもなにも、女性一人で宿屋なんて、不用心過ぎる。
『カサンドラも着いていって、一回で荷物運んでこい』
やっぱり、アイルークもそう思う?
『思うと言うか、外に一人いる。メイサについて来た奴だ』
そう、もう着いてきちゃったの。
『本人は気付いてないけどな』
「はぁ~・・・
私も着いていくから、一回で荷物を全て持ってきましょう」
「いいえ、カサンドラ様のお手を、煩わせるわけには・・・」
私は、このとき気付いた。
街に住む人達は、煩わせるなんて言わない。
そして、そんな風に皆と違うことをしている者は、必ず盗難に遭うのだ。
「メイサ。外でもその話し方なの?」
「はい。そうですが?」
「だからか」
『だからか~』
私とアイルークの言葉が、ダブった。
「?なんです?何かあるのですか?」
そしてメイサは、それに気付いていない。
「メイサ。すぐに話し方を、ライヤさんと同じにしなさい」
「えっ!?何故ですか?」
「貴方、こんな街中で、丁寧な言葉使ってる人いる?」
「商売人は・・・」
「使ってないわ」
「宿屋とか」
「貴方、宿屋に勤めるの?だったらここに来る必要は、ないわ」
「いいえ。ここで働かせてください」
「何のために?」
「えっ・・・」
私は、離宮で私の侍女だったから、メイサに手伝ってもらった。
ただ、それだけだった。
「私が言った通りに出来ないのなら、すぐに帰って}
「あの・・・」
「私は、貴方が私の侍女だったから頼っただけ。
私はあの場所で、長い間一人だったから、頼ることもなかったの。
けれど貴方が、私の専属になった時、私はどうすればいいのか分からなかった。
けれど、てきぱき動いてくれる貴方は、私の事を気にせず動くから、
任せて安心だった。ただ、それだけよ」
そう話したあと、メイサは家に帰ると言った。
あの母親と、ライヤさんが居るところが自分の帰る場所なのだと、彼女は言った。
しかし彼女の帰る場所は・・・
「貴方の帰る場所は、そこではないわ」
「私は、もうそこしか、行くところはありません」
「あるわよ」
そう言って私は、外を指差す。
そこには、侍女長が立っていた。
7
あなたにおすすめの小説
貴方の幸せの為ならば
缶詰め精霊王
恋愛
主人公たちは幸せだった……あんなことが起きるまでは。
いつも通りに待ち合わせ場所にしていた所に行かなければ……彼を迎えに行ってれば。
後悔しても遅い。だって、もう過ぎたこと……
騎士の妻でいてほしい
Rj
恋愛
騎士の父を持ち自身も騎士になったイーサンは、幼馴染みで騎士の娘のリンダと結婚し幸せだったが妻の献身にあぐらをかき離婚の危機をむかえた。かろうじてやり直しのチャンスを得たイーサンだが、リンダが環境をかえ今後のことを考えるために王都で働くことになった。リンダに捨てられると恐怖にかられたイーサンはリンダを追い王都へむかう。イーサンはリンダと本当の意味でやり直すことができるのか。
*所々に下品な表現があります。
『騎士の妻ではいられない』の続編ですが前作を未読でも問題なくお読み頂けます。
皇太女の暇つぶし
Ruhuna
恋愛
ウスタリ王国の学園に留学しているルミリア・ターセンは1年間の留学が終わる卒園パーティーの場で見に覚えのない罪でウスタリ王国第2王子のマルク・ウスタリに婚約破棄を言いつけられた。
「貴方とは婚約した覚えはありませんが?」
*よくある婚約破棄ものです
*初投稿なので寛容な気持ちで見ていただけると嬉しいです
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
【完結】死に戻り王女カレンデュラの地獄〜死に戻るのは処刑の一時間前、紅茶の時間〜
海崎凪斗
恋愛
革命が起きて共和国になった国の「元王女」、カレンデュラは、処刑によって死ぬと「処刑の一時間前、最期の紅茶の時間」に死に戻り、自分の処刑人である元婚約者と紅茶を飲む。
地獄のループに囚われた元王女は、やがて静かに、独白を始めるのだった。
※シリアス、革命、復讐要素あり。バッドエンド作品なのでご注意ください。
全てを奪われてしまいそうなので、ざまぁします!!
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
義母に全てを奪われたジュディ。何とかメイドの仕事を見つけるも義母がお金の無心にやって来ます。
私、もう我慢の限界なんですっ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる