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第38話
「ただのエリス、ですか…貴女はやっぱり、こうなりましたねぇ」
そう言って、座り込んでいるエリスさんに近づくと、そのまま見下ろす。
トラビィス様は体格が良く、身長も高いので、誰の隣に来ても見下ろす体制になってしまう。
けれどいつもであれば、見下されても気にならないくらい、温和な顔をしておられるのだが、今日はそうではない。
「ト、トラ…トラビィス、様。何故ここに?
トラビィス様を見たエリスさんは、顔がひきつっている。
「貴女を迎えに来たに、決まっているでしょう」
「えっ、あっ、あり、がとう?ございますぅ?」
「はぁ、太った上に、言葉まで忘れましたか…
これでは、どうにもなりませんね」
「だから、太ってないってぇ~、言ってるのに~」
「太りましたよ。
顔は丸くなっていますし、おそらく今、コルセットはしていないでしょう」
ぎくっ…という音が聞こえてきそうなほど、ビクつくエリスさん。
私もイアルークも、そうだろうと思ってはいたが、口にもしたくなかった。
だって…
「コルセットをしていない女性が、男性の前に出るということは、
犯されても、文句は言えないですからね」
トラビィス様の言葉に、エリス様は、何故か目を輝かせて
「ルイーーっ!いつでも良いわよ~」
と叫んだ。
「大司教様。この平民、連れ帰るより、子供と女性の少ない地域の
修道院にでも、送ったほうが良いのではないですか?」
マルク様が、真面目な顔でそう言った。
「それでは、修道院が、ふらちな場所に変わってしまいます」
「ああそうか。では、どうすれば…」
うーーんと、二人で悩み始めてしまった。
『コイツラ何で、悩んでだ?修道院じゃなく、娼館でいいじゃねぇの?』
そう言う場所に、娼館があると思う?
『…ないか。じゃあ、作れば?』
そんなお金は村にはないし、王家からはこれ以上、あの人にお金は出せないの。
『そうか…そうだよな…』
そんな事をしていると、少し落ち着いたルイアンク様が、ノックをして入ってきた。
「ルイ~~っ、待って…グエッ」
「貴女が行くとまた、体調を崩されてしいますよ」
エリス様の首を、ガっと掴んだトラビィス様が、飛び込んでいこうとしたのを、阻止してくださった。
「助かりました。大司教様」
「ルイアンク様も、大変でしたねぇ。
こんな、異世界から来て、好き勝手しかしない女の相手をさせられて」
「いや。俺も、過去と同じだと、勝手に想像していた」
「過去?」
「はい。王家には、昔に召喚された女性の事が、書かれた書物があって、
それを、読んでおりましたので…」
「エリスも、その女性たちと同じ様に、頑張る…
そう、錯覚してしまったのですね」
「…はい。
そう言って、座り込んでいるエリスさんに近づくと、そのまま見下ろす。
トラビィス様は体格が良く、身長も高いので、誰の隣に来ても見下ろす体制になってしまう。
けれどいつもであれば、見下されても気にならないくらい、温和な顔をしておられるのだが、今日はそうではない。
「ト、トラ…トラビィス、様。何故ここに?
トラビィス様を見たエリスさんは、顔がひきつっている。
「貴女を迎えに来たに、決まっているでしょう」
「えっ、あっ、あり、がとう?ございますぅ?」
「はぁ、太った上に、言葉まで忘れましたか…
これでは、どうにもなりませんね」
「だから、太ってないってぇ~、言ってるのに~」
「太りましたよ。
顔は丸くなっていますし、おそらく今、コルセットはしていないでしょう」
ぎくっ…という音が聞こえてきそうなほど、ビクつくエリスさん。
私もイアルークも、そうだろうと思ってはいたが、口にもしたくなかった。
だって…
「コルセットをしていない女性が、男性の前に出るということは、
犯されても、文句は言えないですからね」
トラビィス様の言葉に、エリス様は、何故か目を輝かせて
「ルイーーっ!いつでも良いわよ~」
と叫んだ。
「大司教様。この平民、連れ帰るより、子供と女性の少ない地域の
修道院にでも、送ったほうが良いのではないですか?」
マルク様が、真面目な顔でそう言った。
「それでは、修道院が、ふらちな場所に変わってしまいます」
「ああそうか。では、どうすれば…」
うーーんと、二人で悩み始めてしまった。
『コイツラ何で、悩んでだ?修道院じゃなく、娼館でいいじゃねぇの?』
そう言う場所に、娼館があると思う?
『…ないか。じゃあ、作れば?』
そんなお金は村にはないし、王家からはこれ以上、あの人にお金は出せないの。
『そうか…そうだよな…』
そんな事をしていると、少し落ち着いたルイアンク様が、ノックをして入ってきた。
「ルイ~~っ、待って…グエッ」
「貴女が行くとまた、体調を崩されてしいますよ」
エリス様の首を、ガっと掴んだトラビィス様が、飛び込んでいこうとしたのを、阻止してくださった。
「助かりました。大司教様」
「ルイアンク様も、大変でしたねぇ。
こんな、異世界から来て、好き勝手しかしない女の相手をさせられて」
「いや。俺も、過去と同じだと、勝手に想像していた」
「過去?」
「はい。王家には、昔に召喚された女性の事が、書かれた書物があって、
それを、読んでおりましたので…」
「エリスも、その女性たちと同じ様に、頑張る…
そう、錯覚してしまったのですね」
「…はい。
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