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第41話
その次の日から、今まで私がしていたルイアンク様の執務が全て、本人に戻った。
エリス様は教会に戻り、ルイアンク様の側妃は居なくなり、この後正妃である私も、ここから居なくなるのだ。
「カサンドラ。此処に残る気は…」
「ありませんね」
仕事の引き継ぎのため、私の執務室で仕事をするルイアンク様。
「では、実家に戻るのか?」
「いいえ。戻りませんわ」
「じゃあ、どこに…」
「そんなことより、さっさと仕事を終えてください。
貴男も、エリスさんと同じなのですか?」
「同じなわけ、無いだろ」
「それでは、続きをお願いします。さっきから、一枚も進んでおりません」
「す、済まない…」
その後、ルイアンク様は黙々と仕事をこなしたが、一日かかって、私の半分も消化できず今日を終えた。
その後、夕食を終え、私は自室までの廊下を歩く。
「本当に、バカバカしい結婚だったわ」
『本当にな。まぁ今回得したのは、ミルティア公爵だけか』
「あそこも、碌でも無い事に、なってるようよ」
『へぇ~……そのようだな』
アイルークは、私の記憶をたどる。
ミルティア公爵家は、私を追い出した後、アレクに同じ公爵位の令嬢を、キャシーに侯爵位の令息を婚約者とした。
が、どちらも本人が気に入らなったため、アレクは平民の宿屋の娘を妊娠させ、キャシーはアレクの婚約者の兄を寝取るという、醜態を晒した。
父・マイクラウドは怒りを表したが、ブリアナによって言いくるめられ、今は傀儡のようになっていた。
『多分ブリアナが、うまくお膳立てしたんだろう』
「おそらく…けれど『しっ…誰か来る』
アイルークがそう言うと、靴音が聞こえてくる。
私は、窓の外を見る体制で話していたので、そのまま横を見ると、月明かりの中にエルデシア王太子殿下が姿を表した。
私は直ぐに、頭を下げ
「エルデシア王太子殿下にご挨拶申し上げます」
と挨拶をした。
「そんな、硬っ苦しい挨拶はいらないよ。まだ、ルイの正妃なのだから」
「ですが、
ルイアンク様の周りもあのようなことになり、なんと申し上げて良いのか…」
「大丈夫だよ。叔父上達から聞いてるし。
ただ、君にとっては、災難だったと言うしか無い状態だったね。
謝るのはこちらの方だ。本当に弟が、迷惑をかけだ」
「いいえ、そんな。私はただ、執務をこなしただけで…」
「それがいちばん大変なんだ。
自分がその場に行って、指示を出したり、女性のお茶会でご機嫌を取ったりするのは
自分と人の目に見えるため、やりがいがある。
だが、書類ごとは違う。
自分で処理した後、また誰かのもとに行き、最終決断は私か父上だ。
ルイアンクが見たと言う印など残らない」
まぁ、書類って、そう言うものですわね。
エリス様は教会に戻り、ルイアンク様の側妃は居なくなり、この後正妃である私も、ここから居なくなるのだ。
「カサンドラ。此処に残る気は…」
「ありませんね」
仕事の引き継ぎのため、私の執務室で仕事をするルイアンク様。
「では、実家に戻るのか?」
「いいえ。戻りませんわ」
「じゃあ、どこに…」
「そんなことより、さっさと仕事を終えてください。
貴男も、エリスさんと同じなのですか?」
「同じなわけ、無いだろ」
「それでは、続きをお願いします。さっきから、一枚も進んでおりません」
「す、済まない…」
その後、ルイアンク様は黙々と仕事をこなしたが、一日かかって、私の半分も消化できず今日を終えた。
その後、夕食を終え、私は自室までの廊下を歩く。
「本当に、バカバカしい結婚だったわ」
『本当にな。まぁ今回得したのは、ミルティア公爵だけか』
「あそこも、碌でも無い事に、なってるようよ」
『へぇ~……そのようだな』
アイルークは、私の記憶をたどる。
ミルティア公爵家は、私を追い出した後、アレクに同じ公爵位の令嬢を、キャシーに侯爵位の令息を婚約者とした。
が、どちらも本人が気に入らなったため、アレクは平民の宿屋の娘を妊娠させ、キャシーはアレクの婚約者の兄を寝取るという、醜態を晒した。
父・マイクラウドは怒りを表したが、ブリアナによって言いくるめられ、今は傀儡のようになっていた。
『多分ブリアナが、うまくお膳立てしたんだろう』
「おそらく…けれど『しっ…誰か来る』
アイルークがそう言うと、靴音が聞こえてくる。
私は、窓の外を見る体制で話していたので、そのまま横を見ると、月明かりの中にエルデシア王太子殿下が姿を表した。
私は直ぐに、頭を下げ
「エルデシア王太子殿下にご挨拶申し上げます」
と挨拶をした。
「そんな、硬っ苦しい挨拶はいらないよ。まだ、ルイの正妃なのだから」
「ですが、
ルイアンク様の周りもあのようなことになり、なんと申し上げて良いのか…」
「大丈夫だよ。叔父上達から聞いてるし。
ただ、君にとっては、災難だったと言うしか無い状態だったね。
謝るのはこちらの方だ。本当に弟が、迷惑をかけだ」
「いいえ、そんな。私はただ、執務をこなしただけで…」
「それがいちばん大変なんだ。
自分がその場に行って、指示を出したり、女性のお茶会でご機嫌を取ったりするのは
自分と人の目に見えるため、やりがいがある。
だが、書類ごとは違う。
自分で処理した後、また誰かのもとに行き、最終決断は私か父上だ。
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まぁ、書類って、そう言うものですわね。
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