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第54話
私は部屋に帰ってから、ミルティア公爵邸での事を思い出していた。
毎日毎日、やることは執務代行。
公爵の書類。夫人の書類。全て片付けたのは私だった。
執務室にいくと、毎朝山積みの書類が私を待っていた。
朝起きて、朝食を食べることなく執務をこなし、昼前に一度、エドガーが書類の進捗を確認に来て、終わったものと新しいものを入れ換える。
その時に、エドガーが何か持ってきていたら、少しだけ食べるが、後は夜遅くまで、椅子から動くことはない。
執務が終わり、真っ暗な屋敷の中を部屋に戻ると、冷たくなった夕食が床においてあった。
固くなったパンと、冷えきったスープ・・・
最初はそれを、暖める術を知らなかった。
だから、固すぎて食べれないパンは、そのまま返す。
スープだけ飲み込んで、眠った。
それから数年たって、魔法が少しずつ使えるようになると、夕食を暖めて食べた。
しかしその代わりに、夕食すらない日が、増えていった。
帰ってきても、置いてないのだ。
「今日もなしか・・・」
理由は、わかっている。
今までは、ブリアナ様だけの指示だったのが、そこにキャシーが参加するようになったから。
「その夕食、誰の?」
部屋に持っていこうとする侍女を捕まえて、そういうのだ。
「カサンドラ様の「それ、私がいただくわ。私の部屋へ」
そういって、自分の部屋に持っていくまで、張り付く。
だから仕方なく侍女は、キャシーの部屋へ持っていくのだ。
食事がなかった次の日。一度だけ、確認した時
「私は、カサンドラ様のお部屋に行こうとしたんです。
ですが、キャシー様が後ろから押されて・・・」
「ひっくり返したのね」
「はい。申し訳ございません」
となる。
だから私は、夕食を断ることにした。
そして、魔法で夜の町に行けるように魔方陣を準備し、たまにお店で食べるようにしたのだ。
本当に、魔法を独自に学んでいてよかった。
そうでなければ今ごろ、立派な白骨死体が、ミルティア公爵邸の執務室にいたでしようね・・・
その日は、執務途中で王太子様と、ミルティア公爵夫妻の相手をして、1日が終わってしまった。
明日は、エマ・アリステリア公爵令嬢に会う日。
あの方をうまくなだめなければ、私に明後日は来ないかもしれない。
『ルイアンク妻の立場は、使えないのか?』
それは分からないわ。王太子殿下の婚約者だから、もう伝わっているかもしれないし・・・
そうしてアイルークと話していると、入り口をコンコンとノックされた。
「はい」
「エルフィンだ。入って良いか?」
「どうぞ」
私は、座っていたソファーから立ち上がり、扉へと向かう。
扉が開き、エルフィン様が入ってきた。
「ミルティア公爵は、夫人と共に帰ったよ」
「そうですか。それであの後、何か言っておられましたか?」
「これと言ってはなかったが、やっぱり・・・と言う感じだった」
「自分達のために、帰ってこいと?」
「私には言えなそうだったが、そのようだ」
その後、エルフィン様は、私が部屋を出た後の事を話してくださった。
毎日毎日、やることは執務代行。
公爵の書類。夫人の書類。全て片付けたのは私だった。
執務室にいくと、毎朝山積みの書類が私を待っていた。
朝起きて、朝食を食べることなく執務をこなし、昼前に一度、エドガーが書類の進捗を確認に来て、終わったものと新しいものを入れ換える。
その時に、エドガーが何か持ってきていたら、少しだけ食べるが、後は夜遅くまで、椅子から動くことはない。
執務が終わり、真っ暗な屋敷の中を部屋に戻ると、冷たくなった夕食が床においてあった。
固くなったパンと、冷えきったスープ・・・
最初はそれを、暖める術を知らなかった。
だから、固すぎて食べれないパンは、そのまま返す。
スープだけ飲み込んで、眠った。
それから数年たって、魔法が少しずつ使えるようになると、夕食を暖めて食べた。
しかしその代わりに、夕食すらない日が、増えていった。
帰ってきても、置いてないのだ。
「今日もなしか・・・」
理由は、わかっている。
今までは、ブリアナ様だけの指示だったのが、そこにキャシーが参加するようになったから。
「その夕食、誰の?」
部屋に持っていこうとする侍女を捕まえて、そういうのだ。
「カサンドラ様の「それ、私がいただくわ。私の部屋へ」
そういって、自分の部屋に持っていくまで、張り付く。
だから仕方なく侍女は、キャシーの部屋へ持っていくのだ。
食事がなかった次の日。一度だけ、確認した時
「私は、カサンドラ様のお部屋に行こうとしたんです。
ですが、キャシー様が後ろから押されて・・・」
「ひっくり返したのね」
「はい。申し訳ございません」
となる。
だから私は、夕食を断ることにした。
そして、魔法で夜の町に行けるように魔方陣を準備し、たまにお店で食べるようにしたのだ。
本当に、魔法を独自に学んでいてよかった。
そうでなければ今ごろ、立派な白骨死体が、ミルティア公爵邸の執務室にいたでしようね・・・
その日は、執務途中で王太子様と、ミルティア公爵夫妻の相手をして、1日が終わってしまった。
明日は、エマ・アリステリア公爵令嬢に会う日。
あの方をうまくなだめなければ、私に明後日は来ないかもしれない。
『ルイアンク妻の立場は、使えないのか?』
それは分からないわ。王太子殿下の婚約者だから、もう伝わっているかもしれないし・・・
そうしてアイルークと話していると、入り口をコンコンとノックされた。
「はい」
「エルフィンだ。入って良いか?」
「どうぞ」
私は、座っていたソファーから立ち上がり、扉へと向かう。
扉が開き、エルフィン様が入ってきた。
「ミルティア公爵は、夫人と共に帰ったよ」
「そうですか。それであの後、何か言っておられましたか?」
「これと言ってはなかったが、やっぱり・・・と言う感じだった」
「自分達のために、帰ってこいと?」
「私には言えなそうだったが、そのようだ」
その後、エルフィン様は、私が部屋を出た後の事を話してくださった。
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