有って無き者

戒月冷音

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第55話

話を聞いて思った。

やっぱり、お父様は私を、書類整理に使いたかったようだ。
私に全てを任せ、自分は遊びほおける。
ついでに、アレクも自由になり、一石二鳥・・・とでも思ったのでしょう。

ブリアナ様は相変わらず、私を金蔓だと思っている。
私が働いて稼いだお金は、自分の物と思っていたあの時と同じ・・・

「私は、前にも申し上げた通り、実家に戻る気持ちは全くございません。
 出きることならば、自分で決めた場所を、
 自由に旅できるような自由がほしいです」
「旅か・・・確かに君は、そういうことが一度も出来なかったからなぁ」

エルフィン様の言葉には、ルイアンク様の事が入っているのだろう。
彼は、聖女様と色々なところへ旅をした。
ただそれは、巡業とか言う仕事ではなく、ただ聖女様が行きたいと言ったため。
彼女を愛していた時は、色んな所へ遊びに行っていた。
その間の執務を、私に押し付けて。

しかし私は、遊びに行きたいのではない。
私の中のアイルークが、行ってみたいと言っていたところに、行きたいのだ。
『お前が行きたいところで、良いぞ』
いいえ。貴方が言っていたところが良いの。
『なんで?』
私は、外なんて知らないもの。だから、興味もなかった。
けどね、貴方が話してくれた景色は見てみたいの。
大きな湖や一面花畑の広野・・・そんなところがあるなら一緒に見てみたいわ。
『そうか・・・ありがとな』
どういたしまして。


話が終わると、エルフィン様は帰っていかれた。
私は、明日のために、片付けを始める。
明日、アリステリア公爵令嬢様から逃げられるかどうか・・・
それが私の運命のラインとなる。

本当に、厄介なことにしてくれたわ。

しかし、エルデシア王太子殿下に文句を言うわけにはいかないため、自分で何とかするしかない。
「アイルーク・・・アリステリア様は、私をどう思っているのかしら?」
珍しく私から、話しかけた。
『うぉっ!珍しいな』
「ごめんなさい。嫌な予感がとれないのよ」
『どう思っているかとかはわかんねぇけど、公爵令嬢は
 独占欲が強いんだよな?』
「えぇ、恐ろしいぐらいにね」
『だったら、無関心を装えば?』
「めんどくさいことに、自分の大切な人が興味を持ってもらえないことにも、
 腹を立てられる人なのよ」
『ほんっっとうに、めんどくせぇな』
「でも、その人を何とかしないと、楽しい未来はないの」
『はぁ~・・・どうすっかなぁ・・・』
私とアイルークは、夜通し考えた。
しかしこれといって良い案は出てこず、結局一睡もせず朝になってしまった。


「こうなってしまったら、仕方ないわね」
『行き当たりばったりか?』
「そうするしかないわ」
『それもそうか・・・』

そして私は、戦場へ向かう準備をする。
侍女に、気合いを入れるために絞れるだけ絞ってと頼み、コルセットをつけてもらう。
ドレスは、ルイアンク様の色を取り入れたものにし、エルデシア殿下の色は統べてなくした。
そうしているうちに、時間となり、私は馬車でアリステリア公爵邸に向かう。

ここからが本番。

自分を守るため・・・そして、自分の未来を守るため、私は気合いを入れるのだった。
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