私の存在

戒月冷音

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第108話

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あのマークって、ハートマーク♥️のこと?
そう思っていると
「マルクス!あのマークってなんだ?」
と、ヘンドリック様がマルクス様に聞く。
「あのマークは、あのマークだよ。言ったら恥ずかしいもん」
「もんじゃないだろ。絶対なにか、いい形のマークなんだろっ」
ヘンドリック様・・・そこまでむきになるようなものでも、ございません。
ハートマークひとつで、兄弟ゲンカが始まってしまった。
私は男兄弟同士のけんかは初めてな為、ワタワタしてしまうが、他の皆様はいつも通りでほったらかしにしていた。

「あの・・・カサンドラ様」
「なぁに?ミシェル様」
「お二人は、あのままで良いのでしょうか?」
「まぁ、そんなに心配なさらなくても大丈夫よ」
「そ、そうなのですね。
 私、男性方のああいう姿は初めてで・・・
 しかも、私が持ってきた箸が、原因なので」

その声が聞こえたのか、マルガ様も心配そうに私のもとに来てしまった。
「ミシェル様、大丈夫ですわ。こうすれば、すぐに終わるわよ」
そういったマルガ様は、スッと立ち上がると
「マルクス、ヘンドリック様。
 これ以上ミシェル様に、心配をかけないで!!」
そう、声を張り上げた。

「ミシェルっ、ごめん」
「ミシェル嬢、そんなつもりではなかったんだ」
そういって走り寄ってきたお二人は、ワタワタしている。
「二人とも、婚約者をほおって、二人だけで遊ぶとは何事ですかっ!」
「母上、分かりました。申し訳ございません」
「マルガ様、すみませんでした。調子に乗ってしまいました」
「分かれば、よろしいのです」
そう言ったマルガ様は、私を見てにっこりと笑うと
「マイルズ様。納めて参りました」
と何時ものお淑やかに戻り、国王様の元に帰った。

「やっぱり、母上には叶わないな」
そういうマルクス様を見て、クスクスと笑うと
「ミシェルも、母上のようになるのか?」
と、心配そうな顔で聞いた。
「そうなるかどうかは、マルクス様次第かと・・・」
「「どういうこと?」」
マルクス様とヘンドリック様の声が、揃った。
「ヘンドリック様、聞き耳はダメです」
「だけどカサンドラ、気にならない?」
「なります。なりますが・・・」
そう言いながら、私に目線をむけるカサンドラ様。

「大丈夫ですよ。私がそう言ったのは、お母様から聞いた言葉があったからです」
「メリテッサ様から?」
「お母様がいっていたのは、女性は夫次第で恐妻、悪妻、良妻の
 どれにでもなれる。
 夫が気を遣ってくれれば、良妻に。
 夫が自分の事しかしなければ、恐妻に、
 そして、他に現を抜かせば悪妻となる・・・と」
私の話に、カサンドラ様はふむふむと聞き入っていた。
マルクス様とヘンドリック様は
「俺達次第で、変わるらしいぞ」
「ミシェルは絶対、良妻だな」
「カサンドラもだよ」
といってまた、衝突しそうになっていた。
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