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第112話
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まずは、
「料理長、ここにマイはありますか?」
「はい」
「ではそれを、3合お願いします」
「さ、3合ですか?」
「はい。それと・・・」
魚は、鱒に似た魚があるし、卵はラン。
「後は・・・副菜ですか」
「副菜?」
「はい、小鉢と言われるもので、少しずつたくさん種類を作るのです」
「それは・・・大変ですね」
「後は、お汁」
「しる?」
「みんそをといた、スープですね」
そんな会話をしながら、手元は何かしら作っている。
ランを5個割り、だし粉をいれて水をいれる。
それを、四角いフライパンはないので、普通のフライパンに流し込んで、まずは芯を作った。
「これをこうやって、何度も巻いていくと・・・」
ちょっと形がいびつな、卵焼きが出来た。
「一品完成です」
「これが?」
「はい。たま・・・違いますね。ラン焼きです」
「ラン焼き・・・」
「なんそうにも巻いてありますので、フワッとしていると思います」
「ほんとだ」
ラン焼きのはしを食べた料理長が、ビックリした顔をしていた。
「な、何故、こんなに柔らかく?」
「水分を足してから焼くと、こうなります。乳をいれると洋風になりますよ」
「乳ですか?」
そんな話をしていると、マルクス様が駆け込んできた。
「な、何か、スッゴク懐かしい匂いがするんだけど・・・」
「はい。和食を作っております」
「和食っ!?じゃ、じゃあ、米は?」
「有ります」
「味噌汁」
「作ります」
「焼き魚・・・は、匂いがしてる」
「はい」
「・・・卵、焼き」
「先程、作りました」
「えっ、卵焼きを?」
「はい。ランで作ったので、ラン焼きですが」
「出来たの?」
「出来ました」
「じゃ、じゃあ・・・」
その後は、マルクス様の要望に全て答えるため、話を聞きながら私が材料を予想し、その材料で作っていくと言う策を取った。
マルクス様は多分、今まで我慢していたものを、手当たり次第に挙げていた。
けれどその中には私が今まで作ったものもあり、次々と運ばれてくる材料を、指示通りに刻んでくださる料理長に、感謝しつつ、どんどん作り上げていく。
そして、小鉢の数は10を越えた。
「これくらいで大丈夫です」
「マルクス様?」
気がつくと、マルクス様は膝を抱えて座り込んでいた。
体育座りだ。
「マルクス様、大丈夫ですか?」
「だい、じょ・・・ばない」
「それは、嬉しくて・・・ですか?」
「・・・うん」
それを聞いて私は嬉しくなり、両手を広げた後、ぎゅーーーっとマルクス様を抱き締めた。
そうしてやっと出来た和食の朝食を、食事室に並べたのだった。
「料理長、ここにマイはありますか?」
「はい」
「ではそれを、3合お願いします」
「さ、3合ですか?」
「はい。それと・・・」
魚は、鱒に似た魚があるし、卵はラン。
「後は・・・副菜ですか」
「副菜?」
「はい、小鉢と言われるもので、少しずつたくさん種類を作るのです」
「それは・・・大変ですね」
「後は、お汁」
「しる?」
「みんそをといた、スープですね」
そんな会話をしながら、手元は何かしら作っている。
ランを5個割り、だし粉をいれて水をいれる。
それを、四角いフライパンはないので、普通のフライパンに流し込んで、まずは芯を作った。
「これをこうやって、何度も巻いていくと・・・」
ちょっと形がいびつな、卵焼きが出来た。
「一品完成です」
「これが?」
「はい。たま・・・違いますね。ラン焼きです」
「ラン焼き・・・」
「なんそうにも巻いてありますので、フワッとしていると思います」
「ほんとだ」
ラン焼きのはしを食べた料理長が、ビックリした顔をしていた。
「な、何故、こんなに柔らかく?」
「水分を足してから焼くと、こうなります。乳をいれると洋風になりますよ」
「乳ですか?」
そんな話をしていると、マルクス様が駆け込んできた。
「な、何か、スッゴク懐かしい匂いがするんだけど・・・」
「はい。和食を作っております」
「和食っ!?じゃ、じゃあ、米は?」
「有ります」
「味噌汁」
「作ります」
「焼き魚・・・は、匂いがしてる」
「はい」
「・・・卵、焼き」
「先程、作りました」
「えっ、卵焼きを?」
「はい。ランで作ったので、ラン焼きですが」
「出来たの?」
「出来ました」
「じゃ、じゃあ・・・」
その後は、マルクス様の要望に全て答えるため、話を聞きながら私が材料を予想し、その材料で作っていくと言う策を取った。
マルクス様は多分、今まで我慢していたものを、手当たり次第に挙げていた。
けれどその中には私が今まで作ったものもあり、次々と運ばれてくる材料を、指示通りに刻んでくださる料理長に、感謝しつつ、どんどん作り上げていく。
そして、小鉢の数は10を越えた。
「これくらいで大丈夫です」
「マルクス様?」
気がつくと、マルクス様は膝を抱えて座り込んでいた。
体育座りだ。
「マルクス様、大丈夫ですか?」
「だい、じょ・・・ばない」
「それは、嬉しくて・・・ですか?」
「・・・うん」
それを聞いて私は嬉しくなり、両手を広げた後、ぎゅーーーっとマルクス様を抱き締めた。
そうしてやっと出来た和食の朝食を、食事室に並べたのだった。
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