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第27話
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しばらくしてお母様が
「あのね、マルクス様。ミシェルが渡したいものがあるみたいなの」
と、突然話を振られた。
私はビクッとしてお母様を見ると、今よ…と言っているようだった。
「あ、あの…マルクス様」
「はい」
「お、お菓子を作ってきたのですが…」
「えぇっ!?ミシェル様が?」
「はい…」
「調理場に、入られて?」
「はい。少し手伝ってはもらいましたが、私が言った材料で作ってもらいました」
「貴女か…言った?」
「はい」
返事をすると同時に、クッキーとフィナンシェの入った小袋を差し出す。
「それから…
そこのお皿にある四角い形のケーキは、私が持ってきたパウンドケーキです」
そう言うとマルクス様は、私のもっていた小袋を取り袋を開く。
「これは…アイスボックスクッキーか?こっちはフィナンシェ?」
「はい。そうです。記憶を頼りに作りました」
私の答えに、マルクス様は躊躇することなくクッキーを手にし、パクっと食べた。
「マ、マルクス殿下、毒見…」
護衛と侍女が慌てる中
「マルクス、どうしたの?」
と側妃様が声をかけた。
マルクス様はボロボロと涙を流しながら、クッキーを食べていた。
「マルクス様?」
私が声を掛けると、はたっとした後、ワタワタと目元を擦る。
「そんなに擦ると晴れてしまいます」
「す、すまない。泣く筈はなかったのだが…
母上も、心配させてしまって申し訳ございません」
「いいえ。それは良いのですが…大丈夫なの?」
「はい。あまりにも美味しいお菓子でしたので…」
「泣くほど喜んでいただけたのでしたら、良かったです」
「美味しいおみあげを、ありがとう。
あっ、母上。多分このパウンドケーキというお菓子は、母上に合うと思います」
「そうなの?初めて見るものなのだけれど…」
「大丈夫です。俺が保証します。
ミシェル様、この茶色のものは紅茶ですね」
「はい。黄色っぽいのがプレーン、茶色がアールグレイ、
最後の一つは、干したフルーツを混ぜたものです」
お皿の上のパウンドケーキは3種類準備していた。
その説明をするとマルクス様は直ぐに、干したフルーツに手を出した。
「うまいっ。甘すぎないのがいいが、干したフルーツがケーキの中で
色んな味を出してくれていて、美味しい」
ニコニコしながらマルクス様は、パクパクと食べる。
側妃様はそれを見て
「マルクスがこんなに美味しそうに食べるの、初めてじゃないかしら。私も少しだけ頂くわ」
そう言ってマルクス様の薦めた、紅茶味をぱくりと食べた。
「まぁ、ふわふわのスポンジかと思ったのに、紅茶の味がしっかりしていて…
これは、レモン?」
「はい。レモンを砂糖で煮た後、乾燥させたものを混ぜております」
「甘いものを食べた後なのに、お口がスッキリしているわ。
これなら、もう少し食べれるかしら」
側妃様は、体調が良くなったばかりで、あまり食が多くないと聞いていた。
けれど、紅茶のパウンドケーキを二切れほど食べ
「もう…お腹いっぱいだわ」
と、侍女や給仕がびっくりするほど食べてくださった。
「あのね、マルクス様。ミシェルが渡したいものがあるみたいなの」
と、突然話を振られた。
私はビクッとしてお母様を見ると、今よ…と言っているようだった。
「あ、あの…マルクス様」
「はい」
「お、お菓子を作ってきたのですが…」
「えぇっ!?ミシェル様が?」
「はい…」
「調理場に、入られて?」
「はい。少し手伝ってはもらいましたが、私が言った材料で作ってもらいました」
「貴女か…言った?」
「はい」
返事をすると同時に、クッキーとフィナンシェの入った小袋を差し出す。
「それから…
そこのお皿にある四角い形のケーキは、私が持ってきたパウンドケーキです」
そう言うとマルクス様は、私のもっていた小袋を取り袋を開く。
「これは…アイスボックスクッキーか?こっちはフィナンシェ?」
「はい。そうです。記憶を頼りに作りました」
私の答えに、マルクス様は躊躇することなくクッキーを手にし、パクっと食べた。
「マ、マルクス殿下、毒見…」
護衛と侍女が慌てる中
「マルクス、どうしたの?」
と側妃様が声をかけた。
マルクス様はボロボロと涙を流しながら、クッキーを食べていた。
「マルクス様?」
私が声を掛けると、はたっとした後、ワタワタと目元を擦る。
「そんなに擦ると晴れてしまいます」
「す、すまない。泣く筈はなかったのだが…
母上も、心配させてしまって申し訳ございません」
「いいえ。それは良いのですが…大丈夫なの?」
「はい。あまりにも美味しいお菓子でしたので…」
「泣くほど喜んでいただけたのでしたら、良かったです」
「美味しいおみあげを、ありがとう。
あっ、母上。多分このパウンドケーキというお菓子は、母上に合うと思います」
「そうなの?初めて見るものなのだけれど…」
「大丈夫です。俺が保証します。
ミシェル様、この茶色のものは紅茶ですね」
「はい。黄色っぽいのがプレーン、茶色がアールグレイ、
最後の一つは、干したフルーツを混ぜたものです」
お皿の上のパウンドケーキは3種類準備していた。
その説明をするとマルクス様は直ぐに、干したフルーツに手を出した。
「うまいっ。甘すぎないのがいいが、干したフルーツがケーキの中で
色んな味を出してくれていて、美味しい」
ニコニコしながらマルクス様は、パクパクと食べる。
側妃様はそれを見て
「マルクスがこんなに美味しそうに食べるの、初めてじゃないかしら。私も少しだけ頂くわ」
そう言ってマルクス様の薦めた、紅茶味をぱくりと食べた。
「まぁ、ふわふわのスポンジかと思ったのに、紅茶の味がしっかりしていて…
これは、レモン?」
「はい。レモンを砂糖で煮た後、乾燥させたものを混ぜております」
「甘いものを食べた後なのに、お口がスッキリしているわ。
これなら、もう少し食べれるかしら」
側妃様は、体調が良くなったばかりで、あまり食が多くないと聞いていた。
けれど、紅茶のパウンドケーキを二切れほど食べ
「もう…お腹いっぱいだわ」
と、侍女や給仕がびっくりするほど食べてくださった。
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