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第60話
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マルクス様は楽しそうに、お兄様と話す。
「後は、何を食べた?」
「君が知っているのは、パウンドケーキとシフォンケーキ」
「クッキーとドーナツも貰った」
「ドーナツ?それは俺が知らない」
「私は、ミルクゼリーを作ってもらったわ」
お姉様が一度、体調を崩された時に、さっぱりしたものをと思って作ったゼリーだ。
「「ミルクゼリー?」」
すごく羨ましそうに叫ぶ男性二人に、お姉様は満足そうだった。
それを見ていた国王陛下は
「君たちは、食べ物の話ばかりだな」
と言ったが、マルクス様が
「父上。ミシェル嬢の作るお菓子や料理は、絶品なのです」
と力いっぱい言った。
「そ、そうなのか?」
「はい。いつか父上にも、食べてほしいです」
というマルクス様の言葉に合わせ、私はメイドさんに合図を出した。
カラカラカラ…
ワゴンがたくさん並び、紅茶とお菓子が運ばれてくる。
「並べさせて頂いても、よろしいでしようか?」
私の横に立ち、国王様に伺いを立ててくれたのは、私が離宮に行くと、何時も手伝ってくれる、マルガ様の侍女の方。
ここでも仕切ってくれたようだ。
「いつもありがとうございます」
私の言葉に、ニッコリと笑ってくれたその人は、国王様の
「良い」
という言葉の後礼をして、皆様の紅茶とお菓子を、国王様、側妃様、お父様。
そして、子供達の順に配っていく。
配られたお菓子を見たマルクス様は、私を見て目をパチクリさせていた。
お菓子は2種類あり、一つは側妃様が用意された、人気のケーキ屋のケーキ。
もう一つは…
「これって…きんつば?」
マルクス様の言葉に、皆首を傾げる。
私は、和菓子の作り方もいくつか知っていた。
それは前世で、和菓子屋さんのバイトをした時に、お手伝いさせてもらったことがあり、そこのおばちゃんが色々と教えてくれたからだった。
この世界に片栗粉と同じような、クリコというのがあり、中の餡子はイモでも豆でも作れた。
だから中の餡を固めて、外側をクリコをつけて焼いてみたら出来た。
皮の厚さを調節し、一番近いものを、今日持ってきたのだ。
「きん…つば、とは、この長方形のものか?」
国王陛下の言葉に、マルクス様はハッとして、気まずそうな顔をする。
なので、
「はい。中に豆で作った餡が入っており、外側をクリコをつけて焼いたお菓子です」
「どうして、きんつば?」
「私が勝手につけた名前ですが、少し前に離宮にお邪魔した時、
このような形のお菓子なら、
簡単に食べれるのにと、マルクス様とお話をいたしました」
「簡単に?」
「はいこの形であれば手で摘んで食べられます。男性にはありがたい形かと…」
「そうだな。甘い物好きの男性もいる。戦場にも持っていけるか?」
「そうですね。もう少し細くなれば、数持っていけます」
お父様が話しに入り、名前のことが興味が離れた。
マルルクス様はホッとして、嬉しそうにきんつばをほうばった。
「後は、何を食べた?」
「君が知っているのは、パウンドケーキとシフォンケーキ」
「クッキーとドーナツも貰った」
「ドーナツ?それは俺が知らない」
「私は、ミルクゼリーを作ってもらったわ」
お姉様が一度、体調を崩された時に、さっぱりしたものをと思って作ったゼリーだ。
「「ミルクゼリー?」」
すごく羨ましそうに叫ぶ男性二人に、お姉様は満足そうだった。
それを見ていた国王陛下は
「君たちは、食べ物の話ばかりだな」
と言ったが、マルクス様が
「父上。ミシェル嬢の作るお菓子や料理は、絶品なのです」
と力いっぱい言った。
「そ、そうなのか?」
「はい。いつか父上にも、食べてほしいです」
というマルクス様の言葉に合わせ、私はメイドさんに合図を出した。
カラカラカラ…
ワゴンがたくさん並び、紅茶とお菓子が運ばれてくる。
「並べさせて頂いても、よろしいでしようか?」
私の横に立ち、国王様に伺いを立ててくれたのは、私が離宮に行くと、何時も手伝ってくれる、マルガ様の侍女の方。
ここでも仕切ってくれたようだ。
「いつもありがとうございます」
私の言葉に、ニッコリと笑ってくれたその人は、国王様の
「良い」
という言葉の後礼をして、皆様の紅茶とお菓子を、国王様、側妃様、お父様。
そして、子供達の順に配っていく。
配られたお菓子を見たマルクス様は、私を見て目をパチクリさせていた。
お菓子は2種類あり、一つは側妃様が用意された、人気のケーキ屋のケーキ。
もう一つは…
「これって…きんつば?」
マルクス様の言葉に、皆首を傾げる。
私は、和菓子の作り方もいくつか知っていた。
それは前世で、和菓子屋さんのバイトをした時に、お手伝いさせてもらったことがあり、そこのおばちゃんが色々と教えてくれたからだった。
この世界に片栗粉と同じような、クリコというのがあり、中の餡子はイモでも豆でも作れた。
だから中の餡を固めて、外側をクリコをつけて焼いてみたら出来た。
皮の厚さを調節し、一番近いものを、今日持ってきたのだ。
「きん…つば、とは、この長方形のものか?」
国王陛下の言葉に、マルクス様はハッとして、気まずそうな顔をする。
なので、
「はい。中に豆で作った餡が入っており、外側をクリコをつけて焼いたお菓子です」
「どうして、きんつば?」
「私が勝手につけた名前ですが、少し前に離宮にお邪魔した時、
このような形のお菓子なら、
簡単に食べれるのにと、マルクス様とお話をいたしました」
「簡単に?」
「はいこの形であれば手で摘んで食べられます。男性にはありがたい形かと…」
「そうだな。甘い物好きの男性もいる。戦場にも持っていけるか?」
「そうですね。もう少し細くなれば、数持っていけます」
お父様が話しに入り、名前のことが興味が離れた。
マルルクス様はホッとして、嬉しそうにきんつばをほうばった。
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