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第71話
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「母上~。何で、そこなのですかー」
マルクス様の叫びに、ヘンドリック様とカサンドラ様が笑っている。
「まあ、今は使わなくてもいいじゃないか。
おいおい、使うようになるかもしれないだろ?」
「兄上。そんな下世話なことを、言わないでください」
「そうですわよ。
お二人にはお二人のペースがあるのですから、ヘンドリック様が
口を出すことではありませんわ」
カサンドラ様の言葉に、私とマルクス様はウンウンと頷いた。
「とりあえず、マルガ様からの伝言は伝えたからな」
そう言うと、カサンドラ様をエスコートして、玄関の方に向かわれてしまうヘンドリック様。
「本当に兄上は、何時もこうやってからかっていくのです。
ではミシェル嬢、部屋までお送りします」
「よろしくお願いします」
そうして、マルクス様にエスコートされながら部屋に向かう。
「本当に仲の良い、ご兄弟なのですね」
「ハハッ…これでも、子供の時は色々ありましたけどね。
兄上とは、仲良くさせてもらっています」
「ヘンドリック様も、ご存知なのでしょうか?」
「多分知らないと思います。
父上も、おいそれと言って良いこととは思わないでしょうし…
って、知ったのはいつですか?」
私はそこを、笑って濁した。
眼の前に、マルガ様の姿が見えたからだ。
「まぁ、まぁ、ミシェル様。落ち着かれましたか?」
「は、はい。ご心配をおかけしました」
「まだ少し目が赤いわ。
マルクス、お部屋でのケアを、しっかりしてあげてね」
「母上。何故、隣に?」
「ん?隣のほうが、何かと都合がいいかと思っただけよ」
「はーーーっ…、無自覚か」
マルキス様のその言葉で、マルガ様には、ヘンドリック様のような考えはないと思った。
「あ、あの、マルガ様。
今日は突然、泊まることになってしまって申し訳ございません」
と、私は頭を下げた。
「ミシェル様、良いのよ。
私は何時も、マルクスと二人だけで淋しいから、今日はミシェル様と
マイルズ様も居て下さるから、嬉しくて…」
「えっ!?今日、父上もこっちに居るの?」
「えぇ、二人に聞きたいことがあるみたい」
「「聞きたいこと…」」
そう言って私達は、互いを見る。
聞きたいことは唯一つ、転生の事。
あの時に、私のことも伝えたので、それしか無いと思った。
「えぇ、だから夕食後に、2人に時間を作って欲しいそうよ」
「分かりました」
「それじゃあ、夕食ができたら呼びにこさせるわ。
それまでは、自由にしてちょうだい」
「ありがとうございます」
マルガ様は嬉しそうに、部屋の方に戻っていく。
「父上が、待っているんだろうな」
マルクス様のそう言ったときの顔は、とても優しそうで、マルガ様の幸せを喜んでいることが、伝わってきた。
マルクス様の叫びに、ヘンドリック様とカサンドラ様が笑っている。
「まあ、今は使わなくてもいいじゃないか。
おいおい、使うようになるかもしれないだろ?」
「兄上。そんな下世話なことを、言わないでください」
「そうですわよ。
お二人にはお二人のペースがあるのですから、ヘンドリック様が
口を出すことではありませんわ」
カサンドラ様の言葉に、私とマルクス様はウンウンと頷いた。
「とりあえず、マルガ様からの伝言は伝えたからな」
そう言うと、カサンドラ様をエスコートして、玄関の方に向かわれてしまうヘンドリック様。
「本当に兄上は、何時もこうやってからかっていくのです。
ではミシェル嬢、部屋までお送りします」
「よろしくお願いします」
そうして、マルクス様にエスコートされながら部屋に向かう。
「本当に仲の良い、ご兄弟なのですね」
「ハハッ…これでも、子供の時は色々ありましたけどね。
兄上とは、仲良くさせてもらっています」
「ヘンドリック様も、ご存知なのでしょうか?」
「多分知らないと思います。
父上も、おいそれと言って良いこととは思わないでしょうし…
って、知ったのはいつですか?」
私はそこを、笑って濁した。
眼の前に、マルガ様の姿が見えたからだ。
「まぁ、まぁ、ミシェル様。落ち着かれましたか?」
「は、はい。ご心配をおかけしました」
「まだ少し目が赤いわ。
マルクス、お部屋でのケアを、しっかりしてあげてね」
「母上。何故、隣に?」
「ん?隣のほうが、何かと都合がいいかと思っただけよ」
「はーーーっ…、無自覚か」
マルキス様のその言葉で、マルガ様には、ヘンドリック様のような考えはないと思った。
「あ、あの、マルガ様。
今日は突然、泊まることになってしまって申し訳ございません」
と、私は頭を下げた。
「ミシェル様、良いのよ。
私は何時も、マルクスと二人だけで淋しいから、今日はミシェル様と
マイルズ様も居て下さるから、嬉しくて…」
「えっ!?今日、父上もこっちに居るの?」
「えぇ、二人に聞きたいことがあるみたい」
「「聞きたいこと…」」
そう言って私達は、互いを見る。
聞きたいことは唯一つ、転生の事。
あの時に、私のことも伝えたので、それしか無いと思った。
「えぇ、だから夕食後に、2人に時間を作って欲しいそうよ」
「分かりました」
「それじゃあ、夕食ができたら呼びにこさせるわ。
それまでは、自由にしてちょうだい」
「ありがとうございます」
マルガ様は嬉しそうに、部屋の方に戻っていく。
「父上が、待っているんだろうな」
マルクス様のそう言ったときの顔は、とても優しそうで、マルガ様の幸せを喜んでいることが、伝わってきた。
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