あいして…

戒月冷音

文字の大きさ
156 / 189

第157話

それから二人は部屋に籠り、色々と話をしていた。


それから三時間後、私の部屋の戸がノックされる。
「はい」
「今、良いか?」
「どうぞ」
そう答えると、ウォルツさんが入ってくる。
「話し合いは、終わったの?」
「・・・やっぱり、ここの扱いがどうにもならん」
「無くなるの?」
「最悪は、そうなる」
「じゃあ、私が援助して、続けるって言うのは?」
私は部屋にいる間に考えていた事をウォルツさんに伝えた。

「お前が?」
「ウォルツさんがってなると、公爵って立場だから皆構えるけど、私だったら
 そんなにだと思うの。
 それに、突然無くなったら、おばちゃん達どうするの?
 一緒に料理作ってきたグランさんだって、困ってしまうわ」
「まぁ・・・それは、そうなんだが」
「ウォルツさんの味は、グランさんが引き継いでないの?」
「継いではいるが、一人じゃ苦しいぞ?」
「じゃあ、もう一人料理人をいれて、修行しなきゃ」
私がウォルツさんの前で、あれが必要で、これはいる?・・・等と、聞いたりしていると、ウォルツさんのブスッとしていた顔が、どんどん明るくなってくる。

そして突然、私をガバッと抱き締めると
「ミルカ。俺を選んでくれてありがとな」
と言った。
「どうしたの?わたし、なにか力になれたってこと?」
「あぁ、お前のお陰で、ヴォルフの野郎を黙らせれる」
「あっ、陛下はまた、お兄様に無理難題を押し付けたのね。
 だからウォルツさんは、あんな顔してたんだ」
「ん?あんな顔?」
「ん~んとね。困ったような怒りそうな・・・でも、仕方ないような?そんな複雑な顔」
「今は?」
「なんかスッキリして、嬉しそうな顔」
「そうか。その顔になったのは、お前のお陰だ。
 ミルカを手放さなくて、良かった。愛してるぞ」
そう言うとウォルツさんは、私の額にチュッと口づけてから、自分の部屋に戻っていった。
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

完結 どうぞお好きなように

音爽(ネソウ)
恋愛
異常なまでに義妹を溺愛する夫。 新婚早々に裏切られ邪魔者扱いされた妻は仕返しに動き出す。

仮面王の花嫁

松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。 しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

すれ違いのその先に

ごろごろみかん。
恋愛
転がり込んできた政略結婚ではあるが初恋の人と結婚することができたリーフェリアはとても幸せだった。 彼の、血を吐くような本音を聞くまでは。 ほかの女を愛しているーーーそれを聞いたリーフェリアは、彼のために身を引く決意をする。 *愛が重すぎるためそれを隠そうとする王太子と愛されていないと勘違いしてしまった王太子妃のお話

トキメキは突然に

氷室龍
恋愛
一之瀬佳織、42歳独身。 営業三課の課長として邁進する日々。 そんな彼女には唯一の悩みがあった。 それは元上司である常務の梶原雅之の存在。 アラフォー管理職女子とバツイチおっさん常務のじれったい恋愛模様