あいして…

戒月冷音

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第176話

「良く覚えていたな」

この言葉は、あの日から数日後、私達の目の前に連れてこられた女性と会った時に、ウォルツ様からかけられた言葉だ。
この女性を見付ける役目は、第3騎士団が受け持ったのだが、メルギウス様の感が良すぎて一週間もかからずに見つかった。
「この女は、プレシャス様が居なくなってからもあの部屋に入り、物を物色していた。
 そしてつい最近、それを売った」
「そこから、足がついたということですか?」
「そう言うことだな」
私とウォルツ様が話す部屋の隣では、その女の尋問が行われていた。

「マグレイヤと、名乗ったのは?」
「名乗ってないわ」
「では、お前の名は?」
「ケイトよ」
「ではケイト。これは、どこで手に入れた?」
騎士団長の手にあるのは、皇家所蔵とされていた紫水晶のネックレスだ。

3代前の皇帝の母上が、皇妃に与えるために用意したもので、皇帝陛下夫妻の名前が、透かしで入っている。
「これには、3代前の皇帝夫妻の名が掘られている。
 それを、お前のような下級の侍女が持っていることが、まずおかしい」
「そ、それは、メリオラ様がくださったのです」
「だ、そうですよ。メリオラ様」
「えっ!?」
まさか、そこにいるとは思ってもいなかったのでしょう。
しかし、私とウォルツ様、そして、メリオラ様とジャイルズ様が、隣の部屋にいた。

「私は、渡していないわ。
 だって、私のものではないもの。
 触ったことも、見たこともない物を、貴方に渡せるわけないでしょ。
 って言うかそれ、どこにあったの?」
隣の部屋からの声が、尋問の部屋に聞こえる。
「ど、どこにいらっしゃるのですかっ?」
声だけ聞こえる状態に、怖がっているようだ。
「隣の部屋にいるんだよ。
 お前と直接会うことは、陛下から禁じられているための処置だ。
 だが・・・ どう言うことかな。もう一度聞く。これはどこで?」
「あ・・・あの、それは」
これで、この人の窃盗罪および、脅迫罪が確定した。
脅迫は、ある程度話を聞いたら、しっかりとプレシャスを脅し、毎朝メリオラの書類を持って部屋に行き、一番最初に処理をさせて、皇帝陛下の侍従に渡しに行っていたと話した。
自分は、その侍従を狙っていて、声をかけて気を引く口実にしたかったのだと。
ただ、それがばれて、こっぴどく振られた時には、プレシャスはいなくなっていた・・・と。
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