貴方は・・・いらない

戒月冷音

文字の大きさ
1 / 58

第1話

しおりを挟む
私は、私の世界から一度消えた・・・

愛する人をこの手で殺し、その場で私も命を絶った。
私の愛する人には、別に愛する人がいて、その人と生きていくために、私との婚約を破棄したところだった。
私はそれを聞いた瞬間、半狂乱となり、自分の髪に差していた、彼からもらった簪で、彼の心臓をひとつきにした。
彼はその場で血を吐き、倒れた。
それを見た私は、悦に浸りながら、彼の愛する女性の紙に刺さっていた簪を取り、自分の胸を貫いた。

彼と同じように息ができなくなり、変わりに血を吐いた。
私は微笑みながら彼の上に倒れると、互いの心臓に刺さった簪が体を貫き・・・そのまま、意識が途絶えた・・・






「・・さま、起きてください。学園に遅れますよ」
ゆさゆさと体を揺さぶられて目覚めると、私は椅子に座っていた。
「えっ!?・・・何でっ?」
私は、さっき死んだ筈・・・だった。
心臓を貫かれた感覚が、まだ残っている。

フーッフーッ・・・と息を吐き、呼吸が出来るかを確認する。
「お嬢様?」
「大、丈夫・・・大丈夫よ。何でもないわ」
私は・・・生きている。
何故?
心臓を、貫いた筈なのに・・・
そう思って鏡を見ると、さっきまでの私ではなかった。


「誰?」


そう呟くと私は、意識を失った。




さっきの顔は、彼を殺した私ではない。
だったら、誰?

そう思った時、沢山の声が聞こえてきた。
おそらく、この顔の女性の、家族だろう。
私はゆっくりと、目蓋を開く。

化粧台からベッドに移動していた私の回りに、男性と女性・・・そして、
「大丈夫か?」
そう私を見下ろしながら言う男の顔は、消したくて消せないあの男の顔と、全く同じだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました

唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」 不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。 どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。 私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。 「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。 身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。

幸せになれると思っていた

里見知美
恋愛
18歳になったら結婚しよう、と約束をしていたのに。 ある事故から目を覚ますと、誰もが私をいないものとして扱った。

だって悪女ですもの。

とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。 幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。 だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。 彼女の選択は。 小説家になろう様にも掲載予定です。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

婚約者の心が読めるようになりました

oro
恋愛
ある日、婚約者との義務的なティータイムに赴いた第1王子は異変に気づく。 目の前にいる婚約者の声とは別に、彼女の心の声?が聞こえるのだ。

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

運命の番より真実の愛が欲しい

サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。 ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。 しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。 運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。 それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。

処理中です...