貴方は・・・いらない

戒月冷音

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第10話 アウグスト殿下side

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「・・・どなたか、・・・・・・ませんか。助けてください」
その声を聞き、教室のドアを開けると、侍女の上に誰かが倒れていた。
すくに駆け寄り体を起こすと、エレノア様だった。

「大丈夫ですか?」
そう声をかけても、返事がない。
俺はすぐに、エレノア様を抱き抱え、侍女に帰りの馬車を準備するよう指示を出す。
廊下を歩いている途中で、やっと気がついたのか、声をかけてきたが、黙っているように言った。
そして、校舎から出ると、先に行った侍女が、俺を見付けて手を振っていた。
その馬車までエレノア様を運び、椅子に降ろした時だった。

何か・・・声が聞こえた。
ルクシオ兄上だ。

そう思ったとき俺は、すぐに馬車から出ようとした。
しかし
「エレノアっ、なぜ、アウグストと一緒にいるんだっ!」
兄上には、俺が見えていたが、エレノア様の状態は見えていなかった。

体調の悪そうなエレノア様に説明させるわけには・・・
そう思い
「兄上。体調が悪そうにしていらしたエレノア様を、偶然見つけまして、
 歩くのもままならないようでしたので、馬車までお連れした次第です」
と俺が説明したとたん、黙ってしまう兄上。
それを見た俺は、兄上は何か知っていると思った。

その時
「ルクシア殿下ー。どこですかー」
さっきの、礼儀知らずの声が聞こえた。
「兄上。あれはなんですか?
 婚約者のエレノア様を放置して、他の女性と、お話でもしておられたのですか?」
俺がそう言うと、兄上は説明を始めた。
が、
後から、エレノア様に声をかけられ、体調が悪いままのエレノア様を、放置するわけにはいかなかった。
だから、兄上には俺が説明すると言って馬車を降り、エレノア様は帰路に着いてもらった。


今、俺の目の前には、説明が途中になってどう話していいのか分からなくなっている兄上と
「やっと見付けたー」
と笑いながら、兄上に飛び付く、女・・・

どう考えてもエレノア様の体調不良は、これが原因にしか見えない。

俺は腕を組んで、兄上に説明を求める。
兄上の婚約者は、エレノア様である事が、兄上の王位継承条件でもある。
なのにこれは、どう言うことなのか・・・
きっちり説明して貰おうと、俺はルクシア兄上を睨みつけた。
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