人の心の裏表

第13話

日が暮れだした頃、両親の乗る馬車が正面玄関に到着したとの連絡がレイノルズ様に届いた。
「…エリス嬢、到着したそうです。行きましょうか」
「はい…」
手を差し出されるが、
「申し訳ございません。婚約者がいる者同士…エスコートは…」
「そうですね。失礼しました。では、行きましょう」
そう言って歩き出す。わたしはその3歩後を付いて行った。

「ようこそいらしゃいました」
レイノルズ様は両親を迎え入れる。
父は王宮にも行っているから大丈夫。しかし母はカタカタと震えている。

私の家は子爵。母の出は男爵。だから、父の兄伯爵以上の付き合いは全くと言ってない。
下位は上位と交わることはあってはならない。
それは母と一緒に父の兄から何度も何度も言われた言葉。
だから…母を見た瞬間わたしの体がい言うことをきかなくなった。

震える手足を押さえ込もうとしても止まらない震えにギュッと自分を抱きしめる。
そんな私と母の異変に気付いたのはアンナさんだった。
「失礼致します」
「どうした？」
「エリス様、大丈夫ですか？」
そう言って私の前の跪くと、私を見上げる。
私は自分を抱きしめたまま下を向いていたのでパチリと視線が合った。
声を出そうとしたが出なかった。しかし口の動きは読めたようで
「ご主人様っ!　エリス様と奥様を寝所へ。ポール、お医者様を急いで」
エリスさんが叫んだ事でそこにいる人たちが動く。

私は意識が朦朧としながらも、レイノルズ様に抱えられ運ばれている事を感じながら意識を失った。