人の心の裏表

戒月冷音

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第37話

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「イングレイスの太陽であらせられる国王陛下に拝謁出来ましたこと心より御礼申し上げます」
そう言うラングワース公爵様に会わせて私達も礼をとる。

「よいよい堅苦しい挨拶は。それでデニスよ、何があった?」
「はい。ミラー伯爵のことに御座います」
「ああ、あの男か」
「その事で我が家だけではなく、マヴィラス家とグランド家を巻き込んで好き放題しておりますので、ラングワースとマヴィラスはミラーから手を引かせてもらいます」
「それだと婚約か?」
「はい。家には優秀なレイが居ます。他の種を持ってきそうなクズは必要ない」
「辛辣だな」
「相手も屑なので」
「そうか。で、マヴィラス家の方は?」
「私共は、娘が幸せにならない婚姻は必要ございません」
父はハッキリと国王陛下に伝える。
その姿に惚れ直す母を横目に私は兄を見る。

兄はレイノルズ様と話すと、自分が持っている書類を侍従に渡し、必要なことを伝えている。
それを聞いた従者は驚いて、直ぐに宰相閣下を呼び何かを話す。
そして書類を渡し、部屋を出ていった。

「何かあったのですか?」
戻ってきた兄に小声で聞いてみる。
「あの女、他に何人か手を出していてね。そこから横領が発生している様なんだ」
「横領…もしかしてお強請りに応えるため?」
「そう」
「なんてこと…」
それを聞いた母が返した。
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