短編集

いといしゅん

文字の大きさ
21 / 21
桜と恋

【桜と恋 番外編】トリックオアキッス

しおりを挟む
僕はテレビを見てふとこう呟く。
「あ、今日ってハロウィンか……」
テレビには渋谷の交差点で待機する大勢の警察官が映っていた。
警察官以外には、吸血鬼や魔女といったコスプレをしている人たちがちらほらといる。
きっと、夜になればもっと大勢の人々が集まってくることだろう。
ま、僕には関係ない話だ。
僕はハロウィンというものに、全くといっていいほど関心がなかった。
今年もきっと同じようにハロウィンのことなど頭の隅にすら置かれないだろう。

……とその時の僕は思っていた。

--------------

「う~ん、疲れた~!」
僕の隣で大きく背伸びをする恵奈先輩。
なんだか見ているだけで、心が安らいでくるような気がした。
ふと、先輩は何かを思い出したかのような相槌をうって、唐突にこう言った。
「そういえば今日ハロウィンじゃん!」
僕は何故かドキッとした。
何故なら先輩の口元はニヤリと何かを企んでいるかのような動きをしたからだ。
僕はちょっとした不安を抱えながら、彼女は何故かニヤついたまま、帰路を共にした。

そして、それは人通りが全くないと言っても過言ではないような道で起きた。
僕より半歩ほど先を歩いていた先輩は不意に僕の方に振り返った。
そして、少し頰を赤らめながらこう言った。
「トリックオアキッス……、キスしてくれなきゃイタズラしちゃうぞ♪」

イタズラされたい……。
そう思ってしまう僕であった……。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~

水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。 婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。 5話で完結の短いお話です。 いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。 お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

泣きたいくらい幸せよ アインリヒside

仏白目
恋愛
泣きたいくらい幸せよ アインリヒside 婚約者の妹、彼女に初めて会った日は季節外れの雪の降る寒い日だった  国と国の繋がりを作る為に、前王の私の父が結んだ婚約、その父が2年前に崩御して今では私が国王になっている その婚約者が、私に会いに我が国にやってくる  *作者ご都合主義の世界観でのフィクションです

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

処理中です...