俺と代われ!!Re青春

相間 暖人

文字の大きさ
7 / 15
1章

ep7 代替制度~修~

しおりを挟む
修はその後も話しかける事によって由美達女子グループと仲良くなる事に成功した。

名前のわからなかったショートカットの子も後でクラスメイトの名簿を見る事で佐藤 春乃さとう はるのである事がわかった。

由美は結局、吹奏楽部に入部した。

初めはレンタルのを借りて練習するつもりらしく、時々はアルバイトをしながら自分のフルートを買えるようにお金を貯めるらしい。

楽しそうにしている由美を見るのは嬉しかった。

しかし、そうなると聞かれるのは優紀の事だった。

由美、理沙、春乃の3人にも優紀が中学時代に野球をやっていた事が知れ渡り、何でやらないの?帰宅部してたら勿体ないよと言われたものだ。

野球の事となると何処からともなく健人も現れてしつこく優紀を勧誘してきた。

修はジムで身体を鍛えたいからと言う理由で断り続けて、5月末頃になってようやくこの話題は出てこないようになったのだ。

その頃には由美達は放課後は直ぐに教室から出て行き、部活動に精を出すようになっていた。

ただ教室から出て行く時にタイミングが合えばこちらに手を振ってくれるのが嬉しかった。



5月末になると雨が降り続けていた。

いつもなら何でもなく傘を差して帰る修だが、この日は違った。

玄関で一人、理沙が立っていたのだ。

理沙は雨を眺めながら困った表情をしている。

流石に無視はできないなと思った修は声をかけるようにする。

「どうしたの?」



「あ、有田君。」

「ちょっと急に帰らないと行けなくなってね。部活も抜けてきたんだけど雨が。」



そう俯く理沙に聞く。

「傘もってないの?」

この状況だから予想はできたが案の定、

「うん。」という返事が返ってきた。



傘立てにはまだ何本かの傘が刺さっていたがそれを使えなんて言うのもおかしい。

急に帰らないといけないというと急ぎの用なのだろう。

修は何で由美じゃないんだと思ったが、普段から由美と仲良くしている理沙を邪険にする事はできなかった。



「一緒に帰る?送ってくよ。」

そう言うと修は傘を理沙の前で差した。

理沙は少し考えたようだが、ニコリと微笑んで優紀の傘の中に入る。

「理沙が濡れないように気をつけろ。」

修からの指示で優紀は濡れないように気をつける。

相合傘なんて優紀には初めての経験だ。

修がどう会話をするかを考えてるうちに、先に理沙の方から切り出してきた。

「ごめんね、弟が熱だしちゃってさ、本当はお母さんが帰ってる時間だったんだけど、職場でトラブルがあったみたいで。」

「いや、それなら仕方ないよ。」

修は言う。

「私の両親、共働きでねぇ。たまに今日みたいに帰りが遅くなるの。」

「大丈夫だよ、気にしないで。」

「ふふっ、有田くんは家こっちの方なの?」



本当は全然違う方向だが、修は気を利かせて嘘を言う。



「うん、家からそんなに離れていないから大丈夫。」



優紀を見る理沙。



「ふふっ、有田君って優しいんだね。」

「あっ、顔真っ赤だよ。」



この言葉に優紀の顔は紅潮してるようだ。

理沙もクラスで1番というタイプではないがそこそこに可愛らしい顔立ちをしている。

そんな子と二人きりの相合傘で良い雰囲気になっているのだ、優紀も男の子だなと思う修。

まぁ、そんな事よりせっかくだから情報収集でもするかと思ったのが、よろしくなかった。

修は優紀に指示を出す。



「ねぇ、宇野さんと園田さんはいつから友達なの?」



するとモニターに映る理沙は少し不機嫌そうな顔をする。



「由美と?んーー。」



少し間を置いてから理沙は直球で聞いてきた。



「ねぇ、有田君って由美の事好きなの?ここ最近いつも見てるけど。」



修はこの直球の質問に困る。

好きだと言って理沙を味方につけた方が恋愛に進捗があるか?それとも変に噂をされて亀裂が入るか?この年頃の子達の横の繋がりは恐ろしい。

噂は瞬く間に広まり、由美が恥ずかしがって優紀を拒絶する可能性も有りうる。



「ねぇ、なんでだんまりなの?」

「………。」

「うん、気にはなってる。」



我ながら完璧な答えを捻り出したと思う修。

好きでもないし、意識していない訳でもない絶妙なラインの返しだ。



「ふーん、それじゃぁまだ好きではないんだ。」

「うん。」

「じゃぁ、どうしよっかなぁ。由美の事教える代わりにちょっと家に来て。」



元からそのつもりだったが、この家に来てという誘いは送るだけではなくて家に上がっていけという意味だろう。

直ぐに何かあるわけではないだろう。

修は、

「ちょっとだけなら。」



と言い、誘いに応じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。 将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。 サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。 そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。 サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

処理中です...