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第一話:選ばれし七名。
02選ばれし七名。
しおりを挟む部屋に入れば既に人が数名集まっていた。
(これはなんの集まりなんだろう?)
手紙に詳しい事は書かれていなかった。
日時と場所。後は遅れないようにとの事。
それだけだ。
政府と言われれば流すわけにもいかず、恐る恐るこうして訪れたわけだけれど。
見た限り知り合いは一人も居ない。
ふと目が合ったスーツ姿の男の人が、小さな会釈(えしゃく)をしてにこりと笑った。
紗紀も慌ててお辞儀を返す。
その彼は目を見張るほどに綺麗な白髪だった。
(この人は呼ばれた人じゃ無いのかな?まだ若いのに白髪だ……)
室内にいる八名程はスーツ姿で紗紀を合わせて五名は私服と制服姿だった。
(まさか学生も居るの?あの娘セーラー服だ……)
本当にどうして呼び出されたのか分からない。
周りを確認するも共通点が見い出せなかった。
「ようこそ。もうしばらく待ってくれ」
恰幅の良いおじさんが高そうな革製の椅子に腰かけたままニカリと笑ってそう言う。
サングラスのせいで目元の表情は良く分からなかった。
政府を名乗るにはあまりに柄が悪い。
(政府と言うより極悪人みたい……。ヤバい薬とか売りつけられたらどうしよう)
紗紀は返事をして会釈を返すけれど、異様な緊張感に駆られた。
手汗がヤバいと自分ですら思う。
未分不相応な場所なのも、それを増長させる要因だった。
(逃げ出してしまいたい)
そう思っていると再びノック音が鳴って重い扉が開いた。
「失礼します!」
「失礼します」
凛とした女性のしっかりとした声が室内に響く。
それに続いて落ち着きのある少年の声がした。
「これで全員揃ったようだな。突然呼び出してすまない。我々で吟味に吟味を重ね、君達を選ばせてもらった。事態は最高によろしく無い」
そう言って俯く呼び出したであろう男性。
(一体何が最高によろしく無いのだろう?そしてここに居る私達は吟味されて選ばれた……?何の為に?)
政府の男の言葉に、紗紀は思案しつつも続きを待つ。
「順を追って説明しよう。実はこの国のとある神社の七つには、ある妖怪を封印するべく御札が貼ってある。この七つの御札が破壊されるとその妖怪がこの地で大暴れする危険性がある。神社には結界を張り巡らせてあるのだがここ最近頻繁にその結界を越えようとする妖怪達が多く存在するようだ。何がきっかけなのかは未だ分からない。だがしかし、なんとしてでも結界を死守する必要がある」
突然の話に頭が付いていかない。
(妖怪?結界?ファンタジー小説や漫画でよく読むあれ?)
それにしても現実味が無さ過ぎる。
「そこで君達に集まってもらった。以前から準備は進んでおり、ついに万全の用意が整ったのだ。この七つの神社に似せたフェイクの神社。この装置の上にその神社にまつわる狛犬と共に立つ事でフェイクの神社へと転送される」
「それって……仮想世界へ飛ぶって事ですか?」
先程入って来たばかりの女性が片手を上げて発言をする。
(仮想世界?転送?フェイク?)
紗紀の頭は混乱していた。
(以前からそんな準備をしていたって事はいずれこんな時代が来ると把握していたって事かな?)
「まさにその通り。世界の技術は日々進化している。新たな次元、異空間をも生み出し、そこへの転送、暮らしが可能となりつつある。そこで君達には狛犬と共に神社へ現れるだろう妖怪と戦ってもらう」
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