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第十四話:ウカノミタマ。
16ウカノミタマ。
しおりを挟む顔面ごと布団に倒れ、ミタマが紗紀の上にのしかかる形になる。
重くてなかなかに苦しい。
もがいてみるもののミタマは微動だにしない。
「み、ミタマさん……!!」
声を絞り出せば耳をパクリと噛まれた。
ぞわりと背筋が粟立つ。
「……っ!?な、何して!って、起きてるなら退いてください!!」
「紗紀、好きだよ」
「……っ!!」
微塵も人の話を聞いていない。
(これが酔っ払いか!)
耳元で甘く囁かれれば、身震いしてしまう。
くすぐったくもあるのに、体の芯がしびれるようにも感じる。
ただでさえお酒を飲んだミタマの体は妙に熱くて、のしかかられてるとそれを直に感じてしまう。
紗紀は必死に抜け出そうとするけれど、今度は腕で抱き寄せられて身動きとれなくされてしまった。
「紗紀、どこへ行く気だい?」
「どこって!まずはちゃんと布団に入りましょう?このままじゃ風邪ひきますよ」
「……いやだ」
(いやだって。風邪を引きたいのかな)
予想外なミタマのワガママに、紗紀はほとほと困ってしまう。
逃げ出そうにも、ギュッとしがみつかれていて抜け出すのは不可能だ。
となれば説得するしか他ならない。
「……ミタマさん、重たいです……。手足が痺れて来ました」
「……うーん……」
嘘ではない。
そろそろ限界を迎えそうだ。
血が通ってる感覚が既に無いのだから。
ミタマは気怠げに返事とも言い難い声を出すと、ゆっくりと体を起こした。
やっと自由になった体に、ほっと安堵の息を吐く。
かと思えば、うつ伏せだった姿勢から仰向けへとされてこれはこれでマズイと察する。
「……っ、あの!ミタマさん。ここにはウカノミタマ様もいらっしゃいますし、現状それどころじゃ無いって言いますか……」
慌てて言葉を並べて逃げ出そうとするけれど、手足が痺れていて思うようにいかない。
そうこうしているうちにミタマに両手を絡め取られて組み敷かれてしまった。
バクバクと心拍数が上がっていくのが分かる。
いつものミタマと違うその雰囲気が怖くて、触れ合う体温の熱や漂うお酒の匂いに酔ってしまいそうだ。
「紗紀、俺はサグジだよ」
「えっ?」
突然の事で頭がついていかない。
(サグジって……あ!)
そこでふと紗紀は思い出す。
(そう言えばミタマさんの真名って“サグジ”だったっけ?)
「ミタマ、ミタマってキミは……、あれから二人きりになっても一度も呼んでくれないじゃないか」
(すみません、うっかり忘れてました)
なんて口が裂けても言えない。
“ミタマ”と言う名にあまりに慣れ親しみ過ぎて、逆に“サグジ”に違和感しかない。
「まさかウカノミタマ様に嫉妬する日が来るなんて……。ミタマなんて名乗らなければ良かった……」
「ミタマさ……。サグジ、さん。酔ってますね?」
紗紀は困りながらも、彼の希望に沿って真名を呼ぶ。
すると、見たことも無いような顔で、にへらっと笑った。
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