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24 過去との遭遇
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私と圭吾さんは世間話をするような関係じゃない。なのに、隣でニコニコしているこの人は一向に立ち上がらない。いっそ私が立ち去るべきかとも思ったけど、久世社長が帰ってくるからそれでも出来ない。
ていうか――この状態を久世社長に見られたくない。
この前ちょっと男性モデルと話してただけで嫉妬されたことを考えると、今の状態は非常にマズイ。せっかく今日はいい雰囲気で久世社長と食事をしていたのに、部屋に戻る前に気まずい雰囲気なんかになりたくない。
早くどっか行ってください。そう言おうとして唇を動かす。だけど、それより前に頬に人肌を感じた。
「――っ!」
「相変わらず可愛いね茉乃ちゃん」
「な……っ!」
頬を撫でる圭吾さんの指先に反射的に身体を反らして逃げる。いきなりなに!?
たった数秒、触れられただけなのにぞわっと背筋が震える。嫌だ、と全身が訴えてるみたい。
私にトラウマを植え付けておいて「可愛いね」なんて言って欲しくない。
「いつもおしゃれさんだったよね。今日の格好もすごい似合ってる。可愛い系の格好も似合うけど、今日みたいな大人っぽいのも悪くないね」
「……圭吾さんには関係ないから」
今日の格好は圭吾さんの為じゃない。服も髪も、メイクも全部……久世社長との時間の為に用意したもの。だから……今日私に「可愛い」って言ってくれる唯一の人は久世社長じゃないとダメなの。
無意識の内に心の中で願う。久世社長に早く戻って来てほしいって。
「ところで今日はデートかな? 誰かいい人がいるの?」
「……関係ないでしょ」
「茉乃ちゃんを一人にするなんて酷い男だね」
「……っ今はただ電話しに行ってるだけで……!」
挑発するような圭吾さんの声に反応して、少し睨むように彼を見上げる。柔らかい笑みを武器にして、全部を誤魔化そうとする。そんな男の指先がまた伸びてきた。頬から耳へと、髪をかけるように動く指先。
「また茉乃ちゃんと会いたいなってずっと思ってたんだよ」
「……私は会いたくないです」
触らないで、そう言いたいのに言葉に出来ない。驚きと、混乱と、いろんなものが入り交じって胸の奥に黒くて重たいものが渦巻く。一気に記憶が蘇ったせいだと思う。
隣にいる人は過去に私を夢中にさせた人。
私はこの人が好きだった。大好きで、いつも「可愛い」って言ってくれるこの人に溺れていた。
だけど、今は違う。
もう笑顔を見てもときめかない。頭の中に浮かぶのは――悔しいけど久世社長の姿で、優しい笑顔よりも、冷たい瞳の方が今は私の心をときめかせる。
だから――早く離れないと。今私が欲しいのは……この手じゃない。
ていうか――この状態を久世社長に見られたくない。
この前ちょっと男性モデルと話してただけで嫉妬されたことを考えると、今の状態は非常にマズイ。せっかく今日はいい雰囲気で久世社長と食事をしていたのに、部屋に戻る前に気まずい雰囲気なんかになりたくない。
早くどっか行ってください。そう言おうとして唇を動かす。だけど、それより前に頬に人肌を感じた。
「――っ!」
「相変わらず可愛いね茉乃ちゃん」
「な……っ!」
頬を撫でる圭吾さんの指先に反射的に身体を反らして逃げる。いきなりなに!?
たった数秒、触れられただけなのにぞわっと背筋が震える。嫌だ、と全身が訴えてるみたい。
私にトラウマを植え付けておいて「可愛いね」なんて言って欲しくない。
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「……圭吾さんには関係ないから」
今日の格好は圭吾さんの為じゃない。服も髪も、メイクも全部……久世社長との時間の為に用意したもの。だから……今日私に「可愛い」って言ってくれる唯一の人は久世社長じゃないとダメなの。
無意識の内に心の中で願う。久世社長に早く戻って来てほしいって。
「ところで今日はデートかな? 誰かいい人がいるの?」
「……関係ないでしょ」
「茉乃ちゃんを一人にするなんて酷い男だね」
「……っ今はただ電話しに行ってるだけで……!」
挑発するような圭吾さんの声に反応して、少し睨むように彼を見上げる。柔らかい笑みを武器にして、全部を誤魔化そうとする。そんな男の指先がまた伸びてきた。頬から耳へと、髪をかけるように動く指先。
「また茉乃ちゃんと会いたいなってずっと思ってたんだよ」
「……私は会いたくないです」
触らないで、そう言いたいのに言葉に出来ない。驚きと、混乱と、いろんなものが入り交じって胸の奥に黒くて重たいものが渦巻く。一気に記憶が蘇ったせいだと思う。
隣にいる人は過去に私を夢中にさせた人。
私はこの人が好きだった。大好きで、いつも「可愛い」って言ってくれるこの人に溺れていた。
だけど、今は違う。
もう笑顔を見てもときめかない。頭の中に浮かぶのは――悔しいけど久世社長の姿で、優しい笑顔よりも、冷たい瞳の方が今は私の心をときめかせる。
だから――早く離れないと。今私が欲しいのは……この手じゃない。
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